http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/336.html
Tweet |
羽田国際線枠配分でもANAに軍配が上がった Photo by Ryosuke Shimizu
羽田発着枠問題でJAL惨敗 国交省の決定に漂う不透明感
http://diamond.jp/articles/-/43243
2013年10月21日 週刊ダイヤモンド編集部
来年3月の羽田空港国際線の発着枠増に伴う配分で、今回も全日本空輸(ANA)に軍配が上がった。
国土交通省は、国内航空会社に割り当てる16枠のうち、ANAに11枠、日本航空(JAL)に5枠を配分することを決定。「公的支援によって再生したJALとANAとの間で大きな体力差が生じており、このまま放っておくと競争環境にゆがみが生じかねない」(国交省)というのが理由だが、ANAや自民党の意向をくんだとみられており、羽田国内線に続く傾斜配分に、不透明感が漂っている。
国交省の試算はこうだ。JALが会社更生法を適用したことによって免除される税金は、今後6年間にわたり約2000億円が見込まれる一方で、羽田の国際線の発着枠は1枠で年間約10億円の利益をもたらすとされる。今回は6枠差であるから、1年間でANAとJALの間で生じる利益の差は60億円。10年間で600億円、20年間だと1200億円になり、今回の傾斜配分をもって「格差がある程度是正される」(平岡成哲・国交省航空事業課長)という。
■格差是正はいつまで続く
ところが、この試算はあまりにも丼勘定と言わざるを得ない。
そもそも、国際線の枠は、国内線と違って回収再配分がなされない。企業が存続する限り、いつまでも続く。20年間の根拠は薄い。
もう一つが、増枠によるプラス面しか見ていないことである。供給量の増加は、航空会社にとって競争激化を意味する。今回、ANAだけに羽田枠が配分され、JALにゼロ配分だったのは、ドイツ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、カナダの5カ国だ。いずれの国へもJALは成田から便を飛ばしているが、「都心に近い羽田に新路線ができれば、地理的に不利な成田路線は競争力を失う」(航空関係者)。
加えて、通称“成田縛り”と呼ばれるルールがあり、羽田から路線を開設しても同じ国への成田路線は残さなければならない。例えば、現在、東京(成田、羽田)−ドイツ便は、JAL、ANA、ルフトハンザ ドイツ航空の3社合わせて1日6便だが、来年の3月以降は8〜10便が飛ぶことになる。供給過剰の中で苦戦し、真っ先に路線撤退に追い込まれるのは、JALの成田便とみられている。
こうした点を勘案すれば、JALの“実害”は1200億円にとどまらないだろう。
問題なのは、今回の枠配分に関する説明でも、JALへの公的支援による格差是正問題をいつまで論点にするつもりなのか、国交省が時期を明確に示さなかったことだ。航空行政に必要なのは、明確な市場ルールを設けることであり、政治の顔色を見ながら場当たり的に対応することではない。
今回の枠配分決定を受け、JALは国交省に対して配分のやり直しを求める文書を提出、行政訴訟もにおわせている。これに対して、航空局幹部は「ある程度のJALの反発は予想していた。もしそうなったら、受けて立つしかない」と緊張感が高まっている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。