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閣僚が関係業界に賃上げ要請するおかしな国「日本」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20131018-00029022/
2013年10月18日 15時4分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
先日、経産大臣以下、経産省の幹部が関係業界に賃上げを要請するということが報じられていたのですが‥本日は、その動きが全省庁に及ぶと報じられています。
どういうことかと言えば、甘利経済再生担当大臣と茂木経産大臣が18日の閣僚懇談会で、所管業界に賃金引き上げを要請するよう関係閣僚に求めたのだ、と。
どう思いますか、この動き?
確かにサラリーマンであれば、どんな手法によろうとも賃上げが実現するならば大歓迎だ、という向きが多いかもしれません。しかし、私からすれば、「本当にもう、全くもう‥」と言いたくなってしまうのです。
本日も言います。日本は、これで法治国家と言えるのか!?
何の権限もないことを各省庁が大臣以下、関係業界に要請をする、と。
いいのでしょうか、そんなことをしても? もし、どうしても賃上げが必要であると信じるのであれば、何故立法化しないのか、と言いたい!
それが法治国家というものではないのでしょうか? 違いますか? どうして、法律に基づかずに、行政指導でそのようなことを実現しようとするのでしょう?
賃上げが現実的に難しいところもあるから、できる範囲での協力を求めるためですか?
だとすれば、そのような内容の法律にすればいいだけでしょう。つまり、法律でもって、経済的余裕のある企業にだけ賃上げを要請すればいいだけのこと。 つまり、立法化はするものの、強制力はなく、従って、政府の要請に従わなくても罰則などは伴わないものとすればいいのです。
しかし、飽くまでも行政指導として、賃上げを求めようとする今の自民党。
それに、先日の話ですと、経済産業省の関係業界の場合には、協力しない企業の名を公表するとまで言っていましたよね。それ、明らかにペナルティでしょう? だとすれば、罪刑法定主義にも反する、と。
バブルが崩壊して‥そして、金融危機が起こった後、我が国は、そうした行政指導が様々な弊害を生んだことを大いに反省した筈ではなかったのでしょうか?
役所は、各企業が行うことにいろいろと口を出すようなことはするな、と。何かを行う場合には、必ず法律の規定に基づかなければいけない、と。
10年、15年が経過し、もうすっかりそのようなことを忘れてしまった政治家たち。一体、貴方がたは何を学んだのか、と言いたい。
こうして全閣僚が関係業界に対して賃上げ要請に動けば、どの省庁の関係業界が一番協力的であるかということが明るみになるでしょう。そして、各業界のなかでも、協力的な企業とそうでない企業が明るみになるでしょう。そして、協力してくれた企業に対して、各役所はそれなりの恩義を感じることになる、と。
だって、そうでしょう? それこそが、今の安倍政権の最大の関心事であるからです。つまり、賃上げ実現にどの大臣が、そしてどの役所が最大に貢献したかが分かることになるので、大臣や役人は、賃上げ実現に必死になり、だから、協力をしてくれた企業には借りができる、と。
協力してくれた企業に借りができれば‥後々、その借りを何からの形で返さなければならない。また、そうしたことを期待して、企業は賃上げ要請に応じるのです。
結局、こうしてまた企業と役所の癒着が酷くなってしまうだけなのです。
役所から仕事を受注する割合の多い業界などは、役所の要請を無視する訳にはいかないでしょう。そして、役所の要請に応えてくれた業界や企業に対しては、役所としてできる限りのこと(本当はそれ以上のこと)をしようとする、と。
結局、ふるーい体質に逆戻りしようとしているだけなのです。
いいんでしょうか、こんなことで。でも、マスコミは全然反応しない。
マスコミも、賃金が上がることを望んでいるからかもしれませんが‥こうしたことを批判すると、如何にも賃上げの実現に反対しているかのように映るのが怖いのかもしれません。
そんなに賃上げを実現したいのなら、本当は公務員の給与を上げるべきなのでしょうが‥しかし、そんなことをすると、世間から大ブーイングが起きるのが必至であるので、考えも及ばないのでしょう。
しかし、役所が採用する職員には、臨時職員もいるのです。純粋のアルバイトとかも含めてです。
そのような人々は、決して一生勤める訳でもないし‥その上、天下りとも縁がないし‥ボーナスだって出ないのが普通でしょうから、そのような人々の賃金を上げてあげたら如何でしょう?
公務員の給与をもっと下げるべきだと主張する人々は、そうした役所の臨時職員の賃金の引き上げにも反対するのでしょうか?
公務員の給与総額は増やさないにしても、初任給を増やすという手もあると思うのですが‥
以上
小笠原 誠治
経済コラムニスト
小笠原誠治(おがさわら・せいじ)経済コラムニスト。1953年6月生まれ。著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」「経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(いずれも秀和システム)など。「リカードの経済学講座」を開催中。難しい経済の話を分かりすく解説するのが使命だと思っています。
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