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金が金を生むシステムの暴走と崩壊が、世界を混乱に陥れる
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2013年10月17日 Darkness - ダークネス
「金融」とは「金を融通する仕組み」が基礎になっている。
それ自体は何ら面白みのない経済行為である。早い話が、人に金を貸して金利を取る。それが金融の基礎だ。しかし、昨今はその仕組みが高度化していた。
金利の低いところから金を融通してきて金利の高いところで運用する「キャリートレード」。債権・為替等の変動を拡大させてサヤ取りをするものを「アービトラージ」。レバレッジをかけて瞬時のサヤ取りを行う「デリバディブ」。
そのようなものが次々と生み出されて、それらの仕組みや知識や状況判断に秀でた人間が覇者になる時代となっていった。
しかし、よく考えてみると、これらは「金を動かして金を得る」だけのものだ。それ自体に何らかの生産性があったわけではない。
そのような金融・会計の業界が主導する世界は、労働力から得られる資本の横取りでしかないのだ。
結局、そのような金儲けは2008年9月15日のリーマン・ショックで世界中に激震を与えた。金融業界の野放図なギャンブルで、世界経済は崩壊寸前にまで見舞われた。
■バーチャル・マネーが実体経済を破壊する世の中
よく言われる裁定取引(アービトラージ)は金融の基本になる原理原則だ。
「サヤ取り=アービトラージ」は、そもそも利益のかすめ取りであり、労働から生み出されたものではない。また何かを生み出すものでもない。
それらは、数字の差額から利益を生み出すものであって、世の中に何か貢献した風でもない。世界を複雑化させ、不安定化させることには貢献したかもしれない。
また先物取り引きやデリバディブについても、それらは本来の資本主義のために存在しているようにも見えない。
本来の資本主義というのは、事業のための資金調達の場としてマーケットがあって、そこでリスクを取って株主が事業を支援するものだった。
先物取り引きについても、将来に対するリスク管理が主で生み出されたものである。
ところが、現在は実体経済以上の資金がそこに流れ込んでそれが大きな価格変動を引き起こし、逆に実体経済を破壊していくようになっている。
実在しない金がマーケットの中で膨らまされて、その数字を元にして金融的駆け引きが行われている。これがレバレッジ取り引きだ。
限度などないに等しいから、レバレッジは10倍にも20倍にも100倍にも膨らませることができる。理論的にいくらでも数字を膨らませる。
その原資は実在するが、その原資に対してのレバレッジの度合いで存在しない金がどこまでも膨らんでいく。これがバーチャル・マネーである。
■膨らんだ数字だけがひとり歩きしているだけ
デリバティブは、膨らんだ数字だけがひとり歩きしているだけで実体は「空っぽ」だ。
理論的にあると仮定した金だが、実体としては存在しないし、最初から誰もそんな金を持っていない。
持っていない金で取り引きするために金融工学が必要になり、コンピュータによって全世界が結びつく。
グローバル化によって空っぽの資金(単なる数字)が瞬時にして国から国へと移動する。異様な世界だ。このバーチャル・マネーが跋扈して世界を破壊しつつある。
現在は誰もがこのような金融の世界にどっぷりと浸っているから、その存在の是非を問う前に染まってしまう。善悪はそこにはない。儲かるか、儲からないかの世界である。
もちろん、レバレッジで膨らませた架空の金でも、差額が儲かったらその金を「現金化」することが可能だ。
しかし、損をしたら元々持っていない金なので返済不能になって会社も吹っ飛んでいく。会社のみならず、金融システムそのものが崩壊の危機に瀕する。
このことは、1998年のLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)というノーベル経済学賞を取った科学者が集まった伝説のファンドが金融システムを崩壊寸前にまで追いやって、はじめてそれが認識された。
そのレバレッジ体質は是正されるどころかさらに増長されたので、2008年にはリーマン・ブラザーズが破綻した。さらに、すべての銀行・証券・保険会社・投資銀行が金融システムもろとも吹き飛ぶ寸前にまで行った。
その後始末が今も続いており、あちこちで危機を生み出しているのである。
■数字を売買する最先端のバクチが現在の資本主義
このような世界が、世の中のためになっているのだろうか。単なるマネー・ゲームがそこにあるだけではないのか。
マネー・ゲームとは洒落(しゃれ)た言い方だ。
日本人にはバクチという言葉のほうが合う。結局、レバレッジで膨らませた金で「数字」を売買するバクチが現在の資本主義である。
それを投資銀行や商業銀行がやっているというのであれば、それらは現代のバクチ屋であって、ゴールドマン・サックスなどはさしずめバクチ屋の親玉みたいなものだろう。
また、株や為替で先物やデイトレードをしている人間もいるが、これも単にバクチを打っているだけだ。
それがバクチであることを自覚していない人間も多い。それは「投資」だと言われているからだ。しかし、実体はバクチなので、いずれはバクチ打ちの末路を歩んでいくことになる。
確率的に考えて、バクチ屋は遅かれ早かれすべてをすってしまう。
人間は誰でも「自分は特別だ」と勘違いしているものだから、全額すってしまうまでそれに気がつかない。
負け続けても、欲望に釣られているので、「次こそ勝つ」「投資の損は投資で取り戻す」みたいな気持ちになって資金がゼロになるまでそれが続く。
要は、投機熱に浮かされて一時的に正気を失っている。しかし、投機に狂っているときは、まわりが何を言っても無駄なのである。
狂っている人間は、いつも本人だけが自分は狂っていないと思い込んでいる。
そして、あらゆる取り引きは短期になればなるほどノイズの世界に入るから、プロでも短期では勝てない。ノイズは読めないからノイズであって、ファンダメンタルの分析はまったく役に立たないのである。
■バクチ屋を助けた政府自身が倒れそうになっている
まして、昨今のコンピュータの高速化は人間の判断をはるかに超越する1マイクロ秒の世界である。今や数字が秒速回転するバクチになったということだ。
そんなところに顔を出してもカモにされるだけだ。
それでも個人のバクチ打ちはバクチがしたいわけだから、端的に言えば彼らは金を巻き上げられるためにそこに存在している。
すべてを失って、それがバクチだったと分かる。個人は単なる愚かだったで済ませれば個人の問題だが、銀行・証券会社・保険会社はそういうわけにはいかない。
これらの社会の基盤のような会社が吹っ飛んだら、世界中がパニックになる。
だからこそ、FRBは「大きすぎてつぶせない」銀行を2008年に救済した。今ではそれがさらに悪化していて、バクチ屋を助けたアメリカ政府自身がデフォルトの危機に苦しんでいる。
バクチ屋を国の税金で救うというのは、バクチ屋の損を国民に押しつけるのと同じだ。
税金とは、バクチとは無縁に、毎日こつこつと働いてきた人たちの金である。それらの大切な資金がバクチ屋の後始末のために使われる。あまりにも不自然で不条理な世界ではある。
そう考えると、「企業に投資して成長の分け前を得る」という本来の投資から外れた金融工学的なマネー・ゲームは、資本主義を蝕む癌(がん)のようなものだと分かる。
癌である以上、除去しない限りは資本主義を蝕んでいき、やがては癌細胞が全身に転移して資本主義と共に消えていくことになる。
末期癌でないことを祈るばかりだ。
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