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2013/10/17 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
ちょうど40年前の今ごろ、日本中のスーパーマーケットの棚からトイレットペーパーが消えた。世界経済を混乱に陥らせた石油危機である。
日本は省エネ技術開発があったので切り抜けられたが、東電福島第1原発事故でまた、石油・天然ガス依存のリスクを抱えることになった。
そんな中、10日前に久しぶりに明るいニュースが米国から舞い込んだ。米政府エネルギー情報局(EIA)の予測で、米国が今年、世界一の石油・天然ガス生産国になるというのだ。
それによると、石油と天然ガスを合わせた1日当たりの生産量は石油換算で、1位が米国で2200万バレル、2位はロシアで2180万バレル。3位サウジアラビアは天然ガス生産量が非常に少なく、米国の半分強になる。
過去5年間で米国の輸入量は石油が15%、天然ガスが32%と大幅減少した。シェール石油・ガスの生産が大幅に伸びているテキサス、ノースダコタ州などは活況を呈し、石油・ガス輸出への期待が高まっている。
日本でも、コストの安いシェールガス輸入に期待をかける向きが多い。
だが、ことはそう簡単ではない。そもそも、シェール石油・ガス生産は、頁岩から石油・ガスを取り出す水圧破砕法(フラッキング)という技術開発の成功がもたらしたものだ。
しかし、最近はそれに伴う環境汚染が問題化、ピュー研究センターの先月の全米世論調査によると、この技術による生産に反対する意見が半年前の38%から49%に上昇したのだ。
輸送コストも問題だ。従来の米国内のパイプラインはメキシコ湾から工業州向けが大半で、ノースダコタ州などから東西両海岸向けを新規建造する必要がある。
鉄道輸送も可能だが、さまざまな投資が必要。今年7月にはカナダ東部ケベック州で石油輸送列車が脱線して爆発、約50人が死亡した。急増インフラは事故のもとになる。
これらの設備投資コストを加味したものが輸出価格になるが、米業界には日本が高い価格に応じてくれるとの期待もある。喜んでばかりもいられないのだ。
それでなくても、米国の中東における石油・ガス依存度が薄まれば、世界情勢は変化する。米国が中東の安全保障への関与を後退させると、シーレーン防衛などで日本の負担が議論になる。なかなか、バラ色の未来は見えない。
(木曜掲載)
早大客員教授。1946年、京都市生まれ。大阪外大卒。共同通信ワシントン支局長、特別編集委員を経て現職。95年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。「秘密のファイル―CIAの対日工作」など著書多数。
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