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カジノ解禁で日本の観光はこう変わる! 「地域型カジノ」をスイスに学べ ヴォルフガング・ブリーム /グランカジノ・ルツェル
http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/277.html
投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 18 日 00:37:17: rUXLhToetCnYE
 

(回答先: ハウステンボスが公海上でカジノ運営を先行開始 立命館大学・川口清史総長が目指すグローバル化とは 投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 17 日 00:59:06)

【第378回】 2013年10月18日 ダイヤモンド・オンライン編集部

カジノ解禁で日本の観光はこう変わる!
「地域型カジノ」をスイスに学べ

ヴォルフガング・ブリーム
/グランカジノ・ルツェルングループCEOに聞く

日本にカジノを創設するというアイデアが、いよいよ具体化しそうだ。カジノ解禁は安倍政権が成長戦略の1つに位置づけており、140議員による超党派議連であるIR議連(国際観光推進議員連名)の議員立法により、この秋にもカジノ法案が成立する可能性がある。早ければ同法成立後、数年の間に日本でカジノが実現すると見られているが、焦点となるのが日本におけるカジノの在り方だ。大手広告代理店の電通は、いち早くカジノ解禁の動きに注目しており、9月中旬にカジノを中心としたIR(統合型観光リゾート)を考察する「IR導入フォーラム」(IR導入による観光と地域政策についての考察)を開催した。同フォーラムに参加するために来日し、スイスの観光戦略とカジノ合法化についてレクチャーをしたのが、スイスで最も高い評価を受けるグランカジノ・ルツェルングループのヴォルフガング・ブリームCEOである。2000年代初頭にカジノを解禁し観光活性化に成功したスイスに、日本は学ぶべきことが多いという。日本にとってカジノに参入する意味とは何なのか。日本にはどんなタイプのカジノが合うのだろうか。ブリームCEOに聞いた。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、協力:国際観光戦略研究所)

カジノ解禁に動き出した日本
そもそもカジノとはどんなところか

――今回の来日の目的は何ですか。


ヴォルフガング・ブリーム(Wolfgang Bliem)
グランカジノ・ルツェルングループCEO。1963年生まれ。オーストリア出身。1985年、国際カジノオペレーターのカジノ・オーストリア入社。東欧および南米でのカジノ・マネージャー、同社東欧地域合弁会社責任者を歴任。その後、カジノ・オーストリア・リサーチ・アンド・ディベロップメント社でマーケティング・営業部長、国際顧客部長などを歴任。スイスのカジノ6軒の立ち上げの際にゲーミング関連課題に関して開発マネジャーを務める。2003年11月、グランカジノ・ルツェルングループCEOに迎えられ、現在に至る。ウィーン経済経営大学MBA取得。ネヴァダ大学ゲーミングマネジメント教育諮問委員会会員。
 私は過去、スイスでカジノを6軒立ち上げた経験があり、現在はグランカジノ・ルツェルングループ(Grand Casino Luzern AG)を経営しています。これまでの私の経験やノウハウを、近い将来カジノの合法化が目されている日本の皆さんにもお伝えし、お役に立てればと思っています。

――日本でも、カジノ解禁の動きが出始めました。しかし、多くの日本人はカジノについて詳しく知りません。そもそもカジノには、どんな種類があるのでしょうか。

 カジノには、大きく分けて米ラスベガス、マカオ、シンガポールなどに見られる大規模なカジノと、ヨーロッパに見られる比較的中規模なカジノの2種類があります。今、私が手がけているのは後者です。

――日本ではカジノと言うとギャンブルのイメージが強く、一般人には敷居が高いと思われがちです。カジノは日本に馴染むでしょうか。

 一般的には、確かにイメージがよくないかもしれません。ご存知の通り、ラスベガスやマカオなどの大規模なカジノには派手なイメージがあります。

 それに対してヨーロッパ型のカジノは、ギャンブルというよりも地域のハイブロウなコミュニティのような位置づけで捉えられています。グランカジノ・ルツェルンも、安全な環境でツーリズム・エンタテインメントをお客様に提供できる施設づくりを心がけています。

 たとえば、富裕層がスイスを訪れたとき、観光をし、食事をとって、その足で気楽に訪れることができる、そんな「大人の社交場」を目指しています。

 伝統や地場の文化を重んじ、ルールを重視する日本の国民性は、スイスと非常によく似ている。観光戦略を考える場合、ヨーロッパ型のカジノは日本の風土に適していると思います。

カジノは観光と密接に結びついている
ヨーロッパ型の中規模カジノは日本向き

――カジノを観光施設として成功させるには、どんなビジネスモデルがありますか。

 すでにカジノは、観光産業と密接に結び付いており、多くの観光客が訪れる場所となっています。カジノ、会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設などが一体となったIR(統合型観光リゾート)は、もともと米国で生まれたビジネスモデルですが、今はマカオやシンガポールなど、アジア地域でも誕生しています。

 イメージとしては巨大な複合施設を想像しがちですが、カジノと観光施設が統合され、地域全体を潤す仕組みになっていれば、規模によるメリット・デメリットは関係ありません。だから、立地についても大都市だけでなく、地方都市につくることも十分可能。ヨーロッパ型の中規模なカジノは、地方都市にマッチすると思います。

――ヨーロッパ型のカジノは、具体的にどんなところなのですか。

 スイスは世界的に人気のある観光地なので、観光名所となっているカジノもたくさんあります。グランカジノ・ルツェルンは、ピラトゥス山を背景にした湖畔のほとりという風光明媚なロケーション。ナイトバー、カフェ、レストランなどが併設されています。

 収益の柱はゲーム部門(スロット、テーブル)とそれ以外のIR施設の2つ。ゲーム部門の収益は8割がスロットゲーム、2割がテーブルゲームです。ノンゲーム部門も小さくはありません。

 ラスベガスの大型カジノは、ホテルなどの観光施設が利益の8割方を稼ぎ出しており、実はゲーム部門よりも大きいですが、スイスカジノのような中規模な施設はその割合が半々くらい。ROI(投資収益率)はかなり高いです。実は、ノバルティス(製薬会社)やクレディ・スイス(銀行)よりも高いROIを実現しているんですよ。なかには、大企業のスポンサーがついているカジノもあります。

カジノ解禁で先行したスイス
2005年には法規制の一元化へ

――スイスはどのような経緯を辿って、カジノを現在のような観光産業の1つにできたのでしょうか。

 もともとスイスでもカジノは禁止されていましたが、観光産業の活性化を目指す政府が、1990年代に入るとカジノ解禁に動き出しました。外国のカジノでお金を使う旅行者が増えたことにより、国内から流出したマネーを呼び戻すことも目的の1つでした。

 1993年にカジノの認可を問う国民投票が行われ、98年に国会で議決されました。これにより、2000年にカジノが正式に認可され、2002年に国内初のカジノがオープンしたのです。

 そして、2005年にはバーなどに設置されていたスロットマシンが撤去され、オンラインカジノなど、これまで別に存在していた違うタイプのカジノの法規制が一元化されました。

――スイスのカジノの認可方式は、どのようになっているのですか。

 現在、スイスには20軒弱のカジノがありますが、「A」と「B」の2つのライセンスに分かれています。Aタイプのカジノは海外カジノ資本の参加型。テーブルやスロットマシンの設置数が無制限に認められており、賭け金やジャックポット(スロットマシンやメダルゲームなどにおける大当たり)の制限もありません。

 それに対してBタイプのカジノは、国内地方自治体資本の単独型です。テーブルやスロットマシンの数も、賭け金も、ジャックポットの当たりの数値なども制限されています。

国民や自治体が納得感を得られる
スイスのカジノ産業の仕組み

――カジノの収益は国や自治体にどのように還元されるのですか。

「Aタイプ」のカジノについては課税の100%が国の年金基金に入り、「Bタイプ」については課税の60%が年金基金、40%が地方自治体に入る仕組みになっています。

 そうした年金直結、地方直結の仕組みになっているからこそ、国民や自治体が納得感を得られ、カジノの認可が実現したという言い方もできるでしょう。カジノができたことで、地方の雇用が増え、地域の古い建物の再利用も進みました。こうしたサイクルが上手くできているので、カジノが地域に根付いているのです。

――とはいえ、ギャンブルには射幸性があります。カジノ業者は健全な運営を行うために、どんなことを心がけているのでしょうか。

 カジノ運営には、スイスのカジノ法やマネーローンダリング防止のための資金洗浄法まで、様々な法律がかかわってきますが、グランカジノ・ルツェルンでは、これらを順守した運営をしています。

 確かにカジノには、プレーヤーをゲーミング中毒にしてしまう射幸性があります。そのため、お客様には現金ではなくスマートカード(ICカード)で遊んでいただき、一定の金額を超えるとIDの提示を必要とするルールなどを設けて、顧客保護にも真剣に取り組んでいます。

昔ながらのやり方では成功できない
東京五輪に向け日本に合ったカジノを

――日本がこうしたヨーロッパ型カジノのコンセプトをうまく取り込むには、どうしたらいいでしょうか。

 カジノ自体は、すでに新しい施設ではありません。客足が望める大都市に大規模施設をつくればいいいといった、昔ながらのやり方で導入しようとしても、失敗する可能性が高い。

 これまで述べたように、カジノを地域の観光産業とどう連動させていくか、それぞれの地域に合ったやり方はどんなものかを、よく吟味することです。これからのカジノは、地域の人に愛されることが条件になると思います。

 2020年に東京オリンピックの開催が決まったこともあり、日本にとってカジノビジネスは、観光客の誘致策の1つとして、とても重要になるでしょう。

――そもそもブリームさんは、なぜカジノ経営の世界に入ったのですか。また、今後の目標は何ですか。

 私はオーストリア人ですが、学生のときにウィーンの大学でビジネスを学びながらカジノでアルバイトをしていたこともあり、ゲーミングマネジメントに興味がありました。その流れで、ヨーロッパ最大のカジノオペレーターであるカジノ・オーストリアに入社し、以来ずっとカジノビジネスに携わっています。

 お陰様で、グランカジノ・ルツェリンは5年連続で「スイス最高のカジノ」に選ばれました。今後の目標は、さらにIRを重視したグループ運営を行い、「お客様を幸せにするカジノ」を目指すことです。
http://diamond.jp/articles/print/43176  

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