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10月16日、米国の債務不履行(デフォルト)懸念に対し、東京市場は楽観的な見通しが支配的だ。ただ、「まさかのデフォルト」が現実になれば、失望による反動は大きくなる可能性がある。写真はワシントンの連邦議会議事堂。2月撮影(2013年 ロイター/Jason Reed)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE99F06E20131016
2013年 10月 16日 18:05 JST
[東京 16日 ロイター] - 米国の債務不履行(デフォルト)懸念に対し、東京市場は楽観的な見通しが支配的だ。期間は暫定的でも、米民主、共和両党が土壇場で債務上限引き上げに合意するとの見方が多く、デリバティブ市場でもイベント発生に備える動きは目立っていない。
ただ、「まさかのデフォルト」が現実になれば、失望による反動は大きくなる可能性がある。リスクオフ心理が広がれば、円高が進みやすくなり、日本株にとって大きな打撃となりかねない。
<切迫感薄い日本株>
米財務省が連邦政府債務の上限に達するとした17日が翌日に迫っても、16日の東京市場では目立った警戒感は出ていない。日経平均.N225は小幅ながら6日続伸。オプション市場でもデフォルトに備えたプットの買いなど緊迫感を伴った取引は影を潜め、日経ボラティリティ指数は24ポイント台と低水準だ。
デッドラインは接近しても、民主、共和両党が土壇場で債務上限引き上げに合意するとの見方が市場の大勢だが、楽観論を支えているのはそれだけではない。
実際に利払いの一時停止となっても、支払い能力がなくなったフル・デフォルトではなく、一時的な現象と認定されるテクニカル・デフォルトが宣言され、相場への影響が限定的とみられているためだ。
みずほ証券・投資情報部副部長の倉持靖彦氏は、現時点でデフォルトは回避される可能性が高いとしたうえで「仮にテクニカル・デフォルトになっても、米国の支払い能力に問題があるわけではない。財政のファンダメンタルズも改善の方向にある。米政府の対応次第では大きな金融市場の混乱を防げる可能性もある」との見方を示す。
日経平均.N225は米債務懸念が強まった前週半ばには1万3700円台まで下落したが、東海東京調査センターのチーフストラテジスト、隅谷俊夫氏は、17日までに合意できなくても1万4000円割れ程度の下げにとどまると予想する。「(米国の)政治家がすぐに修復に動くと見られ、下値は限定されそうだ。米国でのどたばた劇に過ぎず、日本株への影響は乏しい」と指摘。むしろ国内企業業績への期待感などから日本株の買い場になるとみている。
<キャッシュ需要がドル下支えも>
17日までに合意に至らなければ、マーケットはリスクオフの動きが強まるとみられているが、リスク回避のドル安・円高の進行は限定的となる可能性もあるという。
三井住友信託銀行マーケット・ストラテジストの瀬良礼子氏は「いきなりデフォルトにはならないだろうが、支払いが23、24日に多いことを踏まえれば、これを待たずにキャッシュ確保の動きが加速しそうだ」と予測する。
キャッシュ確保とは、決済通貨であるドル確保であり、ドルは瞬間的には売られたとしても、ドル確保の動きも入るため、ドルは意外に下げない可能性もあるとの見方だ。
また、米国債はデフォルトの対象であるものの、市場がリスク回避に動けば、「安全資産」として買われる可能性もある。実際、デフォルト懸念が強まった後も、長期・超長期ゾーンの米債金利上昇は限定的だ。
米国債の金利上昇が限定的であれば、日本国債の金利も低下する可能性がある。RBS証券・チーフ債券ストラテジストの福永顕人氏は、テクニカル・デフォルトになった場合、日本の10年長期金利は現状から10ベーシスポイント程度低下すると想定しているという。
<「波紋」の広がりを警戒>
だが、マーケットが楽観に傾いているだけに、その反動も大きくなる可能性があることには警戒が必要だ。リスクオフの円買いが強まれば、キャッシュ化のドル需要が飲み込まれてしまうのは、過去の外為マーケットの動きが示している。
また、利払い中止が一時的であっても、米国債に対する投資家の「信用」が失われないとは限らない。多くの投資家が担保として利用している米債の価値が下がれば、ファンディング(資金調達)コストは上昇し、金融機関はダメージをこうむる。世界の「マネーシステム」を司る米国債の信用が失われた場合の「波紋」が、どこまで大きくなるかは、これまで一度も現実化していない現象だけに、想定外に広がるリスクもありそうだ。
格付け会社フィッチ・レーティングスは15日、米国の「AAA(トリプルA)」格付けをウォッチネガティブに指定し、財政協議がこう着していることを理由に最上級格付けから引き下げる可能性があると警告。15日の米国市場はトリプル安となった。
東京市場でも「ドル安が進めば、円高を通じて日本株にマイナス、円債にはプラスの要因だが、日本も財政規律が正されないとすれば、格下げ圧力が日本国債にも向かう可能性も否定できない」(国内金融機関)と警戒感は強い。
大和証券・チーフテクニカルアナリスト、木野内栄治氏は、日本の株式市場はやや楽観的過ぎると指摘。17日までの米債務上限引き上げ合意で日経平均が上昇しても、せいぜい500円程度である一方、合意できずに失望されれば、下落幅は500円を超え、10月安値の1万3748円を割り込む可能性があるとの見方を示している。
(伊賀 大記 編集;田巻 一彦)
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