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http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20131016-00028969/
2013年10月16日 12時54分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
いよいよXデーの10月17日まで、あと1日余りとなりました。
もう何度も言い続けているように、皆さんの殆どは、最後には妥協が成立して債務限度枠が引き上げられ‥従って、米国政府がデフォルトに陥るような事態はないだろうという見方をしているのではないでしょうか?
しかし、本当にデフォルトに陥ることがないと断言できるのでしょうか?
もちろん私がそのようなことを言うからといって、米国の債務支払い能力に疑問を投げかけているのではないのです。世界一の経済大国である米国が‥そして、基軸通貨を発行する立場の米国が、幾ら双子の赤字を抱えているとはいっても、債務支払い能力自体に問題がある筈はないのです。
しかし、そうではあっても、形式的な債務支払い能力については別なのです。何故かと言えば、債務限度枠の引き上げを議会が認めない限り、米国政府は借入を行うことができないからです。借入を行うことができれば、期日が来た国債の元利払いを行うのは何も難しいことではありません。しかし、その借入を行うことが限度枠の関係でできない訳ですから、幾ら米国でも元利払いができなくなることもあり得るのです。
仮にそのような事態に陥った場合に、米国政府としてはどのように対応しようとしているのでしょうか?
「無い袖は振れない」と、何もなす術がなく、事態を静観するしかないのでしょうか?
でも、何もしない訳にはいかないでしょう。というか、元利払いができないまでも、その影響を最少限度に留めるために何か手を打つでしょう。もちろん最大限努力することは、議会に対し、早急に債務限度枠の引き上げを訴えることですが‥それ以外のことも考えているかもしれません。
もし米国債の元利払いが滞ってしまえば、恐らく国債の暴落を引き起こしてしまうでしょう。いきなり無価値になったり、価値が半分になったりすることはなくても、相当に価値が落ちても当たり前でしょう。
そして、そうやって国債の価格が暴落するから市場はパニックに襲われる、と。
しかし、そうした状況のなかで、元利払いが滞ったままの米国債を購入する太っ腹の投資家が突如市場に現れたとしたら、どうなるでしょう?
多くの投資家が投げ売りする国債を、右から左に買いまくる、と。
そうすると、国債の暴落は直ぐに止まってしまうかもしれません。何故かと言えば、どれだけでもその白馬に乗った投資家が買いまくるからです。
仮にそうしたことが起こるのならば、幾ら債務限度枠引き上げが時間的に間に合わなかったとしても、市場の混乱は最小限度に留まるでしょう。一般の投資家は、元利払いのなされない国債を多少は損を被っても今とほぼ同じような価格で売却することが可能であれば、被害が最小限度に留まるからです。
では、そのような白馬に乗った投資家が現れる可能性があるのか? また、その白馬に乗った投資家とは一体誰なのか?
もし、麻生副総理が率いる財務省が、期限が来ても償還されない米国債をどんどん買い入れるようなことをしたら? だって、外為特別会計を利用すれば、そのようなことは可能な訳ですから。或いは、黒田総裁が率いる日銀が、そのような米国債をどんどん買い入れる、と。
何故そのようなことを日本がするかと言えば‥それによって世界経済が混乱に陥ることを回避でき‥そして、幾ら一時的に米国政府が債務不履行を起こしたとしても、それが長く続くものではないという確証があるのであれば、日本が米国債を買い支えたとしても、日本にとって全然計算に合わない話ではないからです。
冷静に考えてみたら、日韓通貨スワップよりも遥かに安全で合理的だと言えるかもしれません。それに、米国債の価格が下がったときに米国債を購入し‥そして、その後、米国政府が仮に債務限度枠の引き上げを待って速やかに償還してくれれば、相当の償還益を手にすることが可能であるからです。
いずれにしても、Xデーが過ぎても債務限度枠の引き上げが認められないとなれば、恐らく米国債の暴落が起きると予想されるのですが‥その一方で、一儲けを睨んで米国債を買いまくる投資家もいるということを忘れてはいけません。
でも、こんなことまで日本に考えさせる米国の議会というのは、一体何なのでしょう。だって議会が債務限度枠の引き上げを認めたら、直ぐに問題が解決する訳ですから。
我が国としては、黙って米国の動きを見ていた方がよさそうだと思います。
以上
小笠原 誠治
経済コラムニスト
小笠原誠治(おがさわら・せいじ)経済コラムニスト。1953年6月生まれ。著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」「経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(いずれも秀和システム)など。「リカードの経済学講座」を開催中。難しい経済の話を分かりすく解説するのが使命だと思っています。
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