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中国・習近平国家主席は足元に爆弾を抱えている(AP)
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131016/ecn1310160726006-n1.htm
2013.10.16
GDPの2倍の規模ともいわれる中国のシャドーバンキング(影の金融)。米国のサブプライムローン問題に続く、世界経済の次なる危機の“震源”になりかねないとの懸念が高まっている。
シャドーバンキングでは、「理財商品」と呼ばれる高利回り(年利20〜30%)の金融商品で集めたお金が地方政府に回り、大規模な住宅・不動産や都市開発に充てられた。これらの資金の流れは中国の金融当局の規制の外で野放図に膨張し、その全容はいまだつかみ切れていない。
理財商品を販売する金融会社は「○○投資集団」と呼ばれ、分かっているだけで中国全土で800社を数え、一説には1万社あるとされる。中国が2桁の経済成長を続けていた時期は理財商品も20〜30%の高利回りが実現できた。いまや経済成長が7%台に低下し、かつ、米国の金融引き締めを契機に中国から資金が流出。各種の開発案件は頓挫し、「○○投資集団」の破綻が相次いでいる。破綻した不動産開発プロジェクトを地元では「鬼城」と呼んでいる。
メガバンク元役員は「中国のシャドーバンキングはバブル期に急膨張し、破綻に伴い血税が投入された日本の住宅金融専門会社(住専)の構図と恐ろしく似通っている」と指摘する。「○○投資集団」の中には、地方政府庁舎の中に事務所を構えるところもある。シャドーバンキングを実質的に支配者しているのは地方政府の役人そのもので、官僚の腐敗も住専とオーバーラップする。
そのシャドーバンキングについて、野村ホールディングスのエコノミスト・張智威氏らは9月26日のリポートで、中国の政策当局は来年、一部地方政府の債務不履行(デフォルト)を容認する可能性があると指摘し、注目を集めている。同リポートでは、地方政府の資金調達事業体が抱える債務は2012年末時点で19兆元(約306兆円)で、10年に比べ39%増加したと試算。その上で、「中央政府は他のセクターや投資家への見せしめとして、数件のデフォルトを容認する可能性もある」とする空恐ろしい予測を披露した。
国際通貨基金(IMF)はこのほど、中国の不動産開発の過熱による住宅価格高騰はバブルの懸念が高いと指摘した。バブルがはじければ貸し倒れによる損失は最悪300兆円規模に上ると試算した。また、中国のシャドーバンキングについては、米ゴールドマン・サックスも8月、バブル崩壊などの危機が起きれば、金融部門の貸し倒れは最悪で18兆6000億元(約295兆円)に達するとの試算を公表している。両者の試算が近似値であることに驚かされる。
中国政府は、地方政府の資金調達事業体(○○投資集団)の債務に関する監査を行っており、11月の経済政策を決定する中央委員会総会で報告されるのでは、との見方がある。そこで実態が明らかになるのか。世界経済にとって最大のリスクともみられているだけに動向が注目される。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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