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アメリカの財政協議は両党の駆け引きが行われています。
できるだけ、ギリギリまで粘ることで相手の譲歩を引き出し、一部勝利宣言できる印を求めています。
もし、失敗すればアメリカだけでなく世界中を未曾有の危機に陥れる可能性があるのに、党のアジェンダと議員自信のイデオロギーと自己保身のほうが優先順位は高いようです。
一方、市場はテールリスクを無視しています。欧州もアメリカも株式市場は最高値水準の空中戦を展開しています。安全資産といわれる金は猛烈に空売りを受けています。
確率は低いですが、テールリスク(デフォルト)が生じた場合、即死です。
そのリスクに目をつぶってライバルを出し抜こうとゼロサームゲームを繰り広げています。
ヘッジファンドのファンドマネージャーも投資銀行のディーラーも、失敗しても所詮他人の金(会社、顧客、納税者)です。お構いなしで成績アップを狙います。びびって勝負をしないと成績不振で首です。
しかし、その債務上限ばかりに注目が集まっている間に、政府閉鎖は続き、企業や消費者のマインドは落ち込んでいます。10月になってから、ISM非製造業指数、IBD/TIPP景気楽観指数、NFIB小規模事業楽観指数、ミシガン大学消費者信頼感指数などはすべて低下しています。
ギャラップ調査の景気信頼感指数(9月30日〜10月6日)は前週の−22から−34と大幅低下しています。日本総研によると、リーマン・ショック時(2008年9月15〜21日)以来の低下幅とのことです。
また、本日発表のNY連銀製造業景況指数(10月)は前月の6.3から1.5に大幅低下しています。
米チェーンストア週間売上高指数(ICSC・ゴールドマン)は前週比‐0.7%です。
企業決算も、JPモルガン、ウェルファーゴ、シティなどの金融機関が、債券バブル崩壊の金利上昇によって、債券や住宅関連の収益に陰りがみえます。今回、債務上限を先送りして、株式のラリーが続くとしても、企業の収益の裏付けがない以上、バブル崩壊を先送りしているだけです。
経済学は人を救わないということでノーベルは経済学賞を設けませんでした。
しかし、スウェーデン国立銀行がノーベルの死後に、勝手にノーベル記念と称してノーベル経済学賞をつくりました。これは、正式なノーベル賞ではありません。選好基準も平和賞や文学賞と同じぐらい不明瞭で政治的です。批判の多い、ウォール街の詐欺的商売道具である金融工学からの受賞者がたくさんいます。
ロシア危機のときのLTCMは破たんしましたが、そのLTCMにはマイロン・ショールズとロバート・マートンの2人の経済学者が参加していました。彼らは、市場は効率的だという前提で理論を形成していたため、テールリスクを想定することができませんでした。同じ仲間のユージン・ファーマが今回賞を受賞したのは驚きです。ITバブル崩壊やリーマン・ショックの失敗はなんだったのでしょうか?
ラース・ハンセンという計量経済学者もノーベル賞を受賞していますが、これもタレブやマンデルブロなどから批判の強い経済学です。ベル型分布の確率をベースにし、テールリスクやブラックスワンなどの確率は低いがおこるとダメージの大きい問題の確率を低く見積もるというその理論的前提が間違っている経済学です。
複雑系のものを単純化することで、投資銀行が求めるモデル(顧客に提示する単純で説得力がある嘘)をつくることができます。これも市場が合理的だとする学者たちの仲間です。オプションなどの金融工学はこの前提でつくられています。
これに対して、市場が効率的であるという前提を批判したのが行動経済学のダニエル・カーネマンです。人は感情的な動物であってその合理性は限定されるという行動経済学です。ノーベル経済学賞の中の人も反省したのか、彼にノーベル賞を与えました。ちなみに彼は経済学者ではなく心理学者です。シラー教授はこっちの系統の人です。
市場は効率的でなく情報を正確に価格に織り込むことができないためバブルが生じます。シラー教授はITバブルやサブプライムバブルを警告したことで一躍有名になりました。
行動経済学者だけでなく、実証研究から資産価格の指標などを考案するのも得意のようです。住宅価格のシラー指数は有名です。
シラー教授は、株価収益率とその後の利回りの関係を統計的に有意としています。
インフレ調整して過去の営業利益を平均化して算出したシラーPE指数によれば、今の株価は高値圏です。
それはシラー教授も認めています。
シラー指数で20を大きく超えて株価が上昇してその後大幅にバブルがはじけたのは、1900年以降で、
@米国発の世界危機になった1907年恐慌前のバブル、
A1929年世界恐慌前のバブル、
B恐慌後の金融緩和と財政政策によるニューディール・バブル、
C1960年代のコングロマリット・ブーム、ゴーゴーファンド・ブームによるバブル
D世紀末のITバブル、
Eリーマンショック前のサブプライムバブルです。
今回がFになるかもしれません。
なお、シラー教授本人は先日もテレビのインタビューで住宅バブルを警告していましたが、株価はまだ割高ではないと歯切れのわるい口調でいっています。
リベラルなふりをした政権与党とFRBの御用学者であるポール・クルーグマンなどをみればわかるように、権力にリップサービスを使えないとノーベル賞をもらえないのかもしれません。
ノーベル賞の受賞者は半分がユダヤ人でアメリカ人ばかりです。東側諸国からはあまり選ばれません。
ノーベル賞の権威も結局モンドセレクションと大差ないのかもかもしれません。
http://onthegoldenhill.blog.fc2.com/blog-entry-450.html#more
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