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【第2回】 2013年10月16日 加藤スティーブ
イスラエル人は意外に商売が下手?! ステレオタイプを外せば協業可能性は高まる 投資関係者、事業者、調査会社それぞれから見たイスラエル企業と日本企業との連携可能性
2013年10月10日、サムライスタートアップアイランド(SSI)で、第1回Startup Nation Meetup が開催された。韓国などと比べ、日本企業の投資が少ないイスラエルとのビジネスの最前線に立つベンチャーキャピタル、投資会社、事業会社の方たちのお話を報告する。(まとめはダイヤモンド社書籍編集局)
テルアビブは世界で2番目に起業しやすい都市
まず、イスラテックの加藤氏よりイスラエルの概要について、四国ほどの面積に800万人の人口、テルアビブが2012年「起業しやすい都市トップ20」の第2位に挙げられていること(1位はシリコンバレー)、最近話題の自動車の衝突防止システムはMOBILEYE(モービルアイ)というイスラエル企業の技術であることなどが紹介された。
日本ではイスラエルといえば危険な国というイメージだが、世界中のハイテク企業200社が300拠点を置いており、地政学リスクがある中、続々進出している。アジアの企業もシンガポール・テレコムが3億2100万ドルでイスラエル企業を買収(http://info.singtel.com/node/11694)、サムスンは幅広くスタートアップに投資するだけでなく、M&Aによる買収、さらにイスラエルのベンチャー・キャピタルにも投資している。
2013年1〜8月だけでも、500社以上のスタートアップが誕生(イスラテック独自調査)しており、イスラテックが、そのなかでも注目すべき企業を独自調査した結果を公開した。こうした企業へ関心がある日本企業がいれば、そうしたスタートアップとつなぐ活動も行っている。
サムライインキュベートとイスラテックは、昨年、マイクロソフトのイスラエル法人で第1回「サムライベンチャーサミット in イスラエル」を開催、現地で大きな反響を呼び、今年も12月10日に第2回をグーグル・イスラエルで開催することとなった。
シリコンバレーのスタートアップはまず米国内を市場として見るが、
イスラエルのスタートアップは日本市場を尊重してくれる
「投資家、事業者、調査会社それぞれから見たイスラエル企業と日本企業との連携可能性」と題したパネルディスカッションでは、異なる立場からイスラエルビジネスに関わる4人の方から興味深い発言と、会場との活発な質疑応答があった。
1.iland6(アイランドシックス)Capital and Development 取締役 江副浩氏
イスラエル企業を日本で法人化するための資金、人、仕組みづくりをすべて行っている。イスラエルの情報を日本企業に伝える仕事もしている。イスラエルの技術は、例えば数式で特許を取るような数学が根本にある突出した通信・画像技術などがある。ただし、これまで世の中になかった全く新しい技術は大きく儲かる場合と、全くビジネスが成り立たない場合があり、ビジネスに適合するかどうかの見極めは注意すべき点。
イスラエル人=ユダヤ人というイメージがあるが、付き合ってみるとイスラエル人の顔を見て外国人という気がしないほど、なじんでいる。彼らは意外に商売下手で、日本の大阪商人や三河商人のほうがよほど商売がうまい。
また、シリコンバレーの場合、米国内の市場が大きいので、米国のスタートアップは日本企業にプライオリティを置いておらず、まずドメスティック、それからヨーロッパ、中国・韓国、そして日本という順番で日本の比重は10%ぐらいという印象だ。その点イスラエルは国内市場が小さいので初めからグローバル、なかでも日本をリスペクトしてくれる。
2.Fin Tech Global Capital (フィンテックグローバルキャピタル)合同会社 マネージング・パートナー 本藤孝氏
イスラエル企業への投資をしている。ベンチャーキャピタル(VC)の投資額はシリコンバレーとイスラエルが大きいのは「異常値」と捉えたほうがよい。日本のVC投資はヨーロッパの国々と比べれば決して見劣りしない。ただ、確率論的にイスラエルの技術は魅力的で、優位性があるのは通信系、セキュリティ系。軍事技術も、イスラエルは人口が少ないので人間を大事にしており「人を死なせない」ための技術に優れている。
「アラブボイコット」などと言われるが、韓国を代表する企業、サムスンがイスラエルに大きな投資をしているにもかかわらず、アラブから石油を止められたという話は聞かない。現実には「アラブボイコット」は存在しないのではないか。
3. Discretix(ディスクレティックス)カントリーマネジャー 春田篤志氏
組み込みのセキュリティ、暗号に関する技術を持つ企業で、アンドロイドの端末の大部分にそのソリューションが入っているはず。日本の半導体メーカーや携帯電話メーカーと取引がある。
イスラエル企業の前に所属していた米国企業2社と比べると、技術は優れているがロードマップがなく、行き当たりばったりに見えるところがあり、プロジェクト・プランニング、マーケティングの知恵がないように思えた。しかし、ひとたびターゲット市場が決まると非常にうまくいく。日本企業はパートナー的な立場で一緒にビジネスを育てていくという姿勢で臨んでもらうとよいと思う。
日本の大手企業はイスラエル企業との取引、あるいは出張が禁止という場合があるが、アメリカにも法人があるので米国法人と契約してもらったり、ヨーロッパの法人に日本とイスラエルから出張して会議をしたり、といった工夫をしている。
4.早稲田大学ビジネススクール准教授 樋原伸彦氏
専門はファイナンスで、イスラエルのベンチャー育成に関心を持っている。最近はシリコンバレーに次ぐ起業しやすい国として知られるが、これは1990年代にヨズマと呼ばれる政府系ファンドによるベンチャー育成が成功した結果で、それ以前は経済の面では社会主義的な国だった。
ヨズマファンドはお金がないことを逆手にとって、うまく運営されている。例えば、イスラエルR&Dセンターには、国のファンドだけでなく欧米大企業のファンドが入っている。対して日本の政府系ファンドは資金を大きくするばかりで、有効な投資がなされていない。日本は恵まれた環境であるにもかかわらず、なぜ有望スタートアップがでないのだろうか?
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