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韓国人労働者が手に持つのはウォン紙幣。韓国財閥は円安ウォン高で苦境に陥っている (ロイター)
韓国、財閥破綻続出 社債「紙クズ」懸念 トップ逮捕など異常事態
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131015/frn1310151810010-n1.htm
2013.10.15 夕刊フジ
韓国経済を牛耳る「財閥」と呼ばれる企業グループにこのところ、重大な異変が起きている。財閥の経営破綻やトップの逮捕といったケースが相次いでいるのだ。韓国経済の成長エンジンとなっていた輸出は伸び悩み、内需も低迷するなど外部環境が厳しいなか、財閥が抱える債務も拡大の一途をたどる。財閥の危機は、韓国経済の闇をさらけ出しているかのようだ。
韓国の中堅財閥、東洋グループの関連会社5社が9月末以降、相次いでソウル市内の裁判所に法定管理(日本の会社更生法に相当)の手続き申請を行った。同グループはセメントや家電などの事業を手掛け、かつては韓国財閥の5位に浮上したこともあったが、法的整理によって解体される恐れもあるという。
今回の破綻劇は韓国で大きな社会問題にもなっている。というのも、グループ企業が破綻直前まで社債やコマーシャル・ペーパー(CP)を個人投資家に売り出していたのだ。現地の報道によると、年8%の高利回り商品に飛びついた投資家は約4万人、発行額は計2兆ウォン(約1800億円)とされ、これらが紙クズになってしまう恐れが出ている。
「以前に発行した社債の償還資金のため、新たに高利回りの社債やCPを発行する自転車操業だった」(国内金融機関エコノミスト)といい、その構造は、中国で問題となっている理財商品にも似ている。
一族経営で複数の企業を展開する財閥は、最大規模のサムスングループや2位の現代自動車グループをはじめ、韓国経済での存在感が極めて大きい。
財閥は規模が小さいものも含めて40以上あるとみられるが、経営危機に陥ったり、破綻したりしたケースは東洋グループだけではない。昨年10月には、積極的なM&A(合併・買収)で拡大していた新興財閥の熊津(ウンジン)グループが事実上、経営破綻した。今年5月には、造船や海運業を中心に展開する韓国13位のSTXグループが経営に行き詰まり、銀行の管理下に入った。
その背景について、前出のエコノミストはこう解説する。
「ウォン安を武器にした輸出主導の成長で、各財閥グループは規模の拡大競争に走った。しかし、中国経済の減速で輸出は鈍化し、巨額の負債を抱えたグループから脱落し始めている」
昨年11月以降、日本の金融緩和期待を受けた円安とウォン高が進み、財閥グループを取り巻く環境は一段と厳しさを増している。
聯合ニュースは、韓国の30財閥の負債額の合計が、2007年の261兆ウォン(約23兆円)から12年末時点で575兆ウォン(約52兆円)と2倍以上にふくらんでいるというデータを報じた。破綻した東洋グループも財務体質を大きく悪化させていた。
経営面以外の話題でも、財閥は世間を騒がせている。財閥の創業家出身者らが、相次いで刑事責任を問われているのだ。
情報通信や石油、化学関連事業を手掛ける韓国3位のSKグループ会長と副会長の兄弟は、会社の資金を個人の投資に流用したとして、ソウル高裁でそれぞれ実刑判決が下された。
サムスングループ会長の親族で、別の財閥、CJグループの会長は巨額脱税で起訴されている。ハンファグループ会長は背任の控訴審で実刑判決を言い渡された後、最高裁で差し戻しとなっている。
ほかにも財閥のトップや幹部が訴追されているが、その背景にあるのが、事業を際限なく拡大させ、中小企業の経営を圧迫している財閥への国民の不満感が高まっていることだ。
こうした不満を吸い上げる形で、「経済民主化」のキャッチフレーズで財閥改革を掲げて政権を獲得したのが朴槿恵(パク・クネ)大統領だった。しかし、経済の低迷から抜け出すには財閥の力を借りる必要があり、政権発足から半年後の7月には大手財閥グループに投資を呼びかけるなど、経済民主化は進んでいない。
最近の経済指標をみても、9月の輸出額は前年同月比1・5%減と3カ月ぶりに減少に転じた。9月の輸入額も同3・6%減と内需の弱さが現れている。
国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通しで、韓国の2014年の成長率の予測を7月時点の3・9%から3・7%に下方修正した。一連の財閥危機は、経済の先行き不透明さを暗示している。
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