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ミャンマーにある日系企業の縫製工場の様子。多くのミャンマー人が働いている(栢下邦彦さん提供)
激戦区ミャンマー目指す日本企業 中国リスク回避、爆発的な成長魅力
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131014/frn1310141702002-n1.htm
2013.10.14 夕刊フジ
【大阪から世界を読む・特別編(2)】
世界各国からの投資が集まるミャンマー。インフラ整備という課題は残るが、消費はすでに爆発的な伸びを示している分野も少なくない。世界の激戦区ミャンマーで日本企業はいかに闘うのか。(大谷卓)
■ターゲットはシニア層
渡航客の増加を見込む旅行業界の動きは活発だ。
ビジネス客と観光客をあわせた渡航客は昨年4万人を超え、2011年の倍以上になった。ミャンマー大使館公認の西日本ビザセンター(大阪市西区)代表で経済投資アドバイザーの栢下邦彦によると、今年も前半だけで前年比40%増になっているという。
「来年は8万、再来年には16万、平成28年には32万人と、観光客は倍々ゲームで増える。この数年で間違いなく消費の爆発、観光の爆発が起きる」
栢下の見立ては大袈裟でない。日本の各社とも今秋、それらを意識した動きを始める。
全日空(ANA)は10月から、40席程度の従来の小型機による週3便のミャンマー便を、約200席の中型機による毎日運航に変更。また、日本旅行(本社・東京)は10月から、ミャンマーをめぐるツアーを開始。その狙いを、広報担当者は「ミャンマーは世界遺産級の仏教遺跡が豊富。シニア層をターゲットにしたい」と説明する。
今年5月、ミャンマーを訪問した安倍晋三首相に経済団体関係者が同行したが、栢下によると、関係者の宿泊施設がヤンゴンで確保できず、急遽、首都ネピドーでホテルを確保したという噂が流れたという。これも、渡航客を受け入れるホテルが絶対的に不足しているためだ。宿泊料金も高騰している。
それらに対応する動きもある。フランスに拠点があるノボテル系や香港拠点のシャングリラ、またヒルトンなどの海外のホテル大手が建設・オープン計画を発表。日本のホテルも進出を計画しているといい、この数年で、ある程度の客室数を確保できるとみられている。
■2年で8倍 日本製「中古」を狙え
中古車販売では、今後の「観光・消費の爆発」を予感させるような動きがすでに始まっている。中国、韓国からの輸入車もあるが、日本車の人気が高いという。なぜか。技術力が高く、安心して乗れるからだ。
急増するミャンマーの中古車市場は11年9月に車輸入のための規則が変更され、爆発的に日本車が売れ始めた。日本貿易振興機構(ジェトロ)のアジア大洋州課課長代理、小島英太郎によると、10年に4500台ほどだった日本製中古車の輸入は以後の同年10〜12月で1万7千台近くも輸入された。昨年1年間では9万3千台以上にもなった。
栢下は、トヨタ自動車の「マークII」の爆発的な売れ行きを、その象徴だとみている。ミャンマーの市民はその車体のフロント部分が「金魚」に似ていると親しみ、輸入が解禁された当時には00、01年ごろ仕様の中古車が700〜800万円台で売買された。
いずれも、中古でも技術力の高い日本製が好まれている証拠だ。
小島は「日本製への人気はとても高い。中古車だけでなく、中古機械などの要望もある」と指摘した上で、「例えば、印刷機械の9割は日本製の中古で、いまだに中古でいいから日本製がほしいという人が多いと聞く」と話している。
■活発化するヒト、モノ、カネの動き
「日本とミャンマーの経済協力の象徴だ。絶対に成功させなければならない」
安倍首相は今年5月、ヤンゴン市内で行われた日本・ミャンマー経済セミナーで、そう力説した。
「象徴」と表現したのは、日本とミャンマーが共同開発する大型プロジェクトで、ヤンゴンの南約20キロに造成される「ティラワ経済特区」のことだ。開発面積は東京ドーム約500個分にあたる2400ヘクタールにも及び、工業団地や商業施設などを整備する。両国による共同事業として年内にも着工が始まる予定だ。
その期待は高い。確かに、インフラさえ整えば、南アジアと東アジアを結ぶ交通の要衝にあるミャンマーが魅力的な国であることは疑いがない。タイとを結ぶ道路の整備が進めば、ヒト、モノ、カネの動きは活発化する。
そうした動きを見据え、港湾大手の上組(神戸市)は今年3月、ミャンマー最大手の物流企業と共同トラック事業の契約を結んだ。現在、トラックやコンテナを運ぶ車両などを計16台を運行。近く合弁会社を設立し、来年末には運行台数を180台まで増やす予定だ。「ミャンマー国内はもちろん、タイや中国などを含めた運送を考えている」(同社担当者)という。
さらに人材育成への貢献という視点での取り組みも始めている。今年4月から3カ月間、ミャンマー人1人を含む海外のスタッフ計5人をコンテナターミナルで研修した。担当者は「物流における日本の技術を学ぶことで、現地の労働力を養うことにもつながる」としつつ、さらにこう説明した。
「すぐに利益をあげるのは簡単ではなく、長期的な視点でみている。ただ、物流の需要は今後増えるはずだし、物流にかかわる日本的な技術も必要になってくる」
■中国リスクを避けるために
日本のIT業界はすでに十数社がミャンマーに拠点を設け、システムの開発や運用管理などを海外に移すオフショア開発などを行っている。
オフショア開発は日本では人件費が高いため、安い労働力をたくさん得られる国で行う。従来、中国で行われていたが、「反日」暴動が起きたり、賃金などのコストが上昇している「中国リスク」を避けるため、東南アジアなどに拠点を移す動きが目立っている。IT企業のいち早い進出もその一環とみられる。
中国リスクを避けるための「チャイナ・プラス・ワン」。それもミャンマー進出の理由のひとつでもある。
(敬称略)
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