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2013年10月14日 13時50分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
Xデーの10月17日まであと3日ほどに迫ってきました。しかし、それでもデフォルトは起きないだろうという見方が一般的なようです。だって、世界第一の経済大国である米国が発行している国債なのですから。
貴方もそう思いますか?
ところで、バブルが弾けて暫くしてからの頃、日本のメガバンクが破綻することはないのだろうか、巷で噂されたことがあります。憶えていらっしゃるでしょうか?
あの時、そのような質問に対して、皆どう答えたのか?
もし、メガバンクが破綻するようなことになれば、そのときには日本も破綻するであろうから、そのようなことを考えても意味がない、と。
まあ、そうやって自分たちに言い聞かせることによって、平穏を保とうとしたのです。しかし、実際には小さな銀行だけでなく大きな銀行も破綻したのです。
そうでしょう?
だから、米国の場合にも油断はならないのです。
いずれにしてもXデーが迫りつつあるなかで、少しずつ市場の雰囲気にも変化が表れてきていることをご存知でしょうか?
そうなのです。金利が上昇しているのです。
但し、その上昇ぶりは、償還期間によって違った様相を示しています。一番大きく反応を示しているのは、米国債の1か月物と言っていいでしょう。1か月物の利回りの方が3か月物や6か月物、さらには1年物さえ上回っているのです。
利回りというのは、通常であれば償還期間が長くなるのに応じて高くなるもの。だから、普通ならば、1か月物が3か月物や6か月物などよりも高くなるのは珍しい出来事なのです。何故、こんなことが起きているのでしょうか?
その前に、もし貴方が大金持ちであって、米国債を大量の保有していたとしたら、今回の事態にどのように対処するでしょうか?
デフォルトになることはないと信じて、全てそのまま保有し続けるか?
それともデフォルトになる確率に応じて、多少は保有している国債を売りに出すか?
それとも、この際、殆ど全ての保有国債を売却してしまうか?
恐らく、どれが正しい選択肢であるとは、誰も断言することはできないでしょう。それに、もし多くの投資家がデフォルトの恐れを懸念して保有する国債を一気に売却するような行動に出れば、それこそ国債の暴落を招き、自ら損失を大きくしてしまうことになりかねません。
さればとて、もし自分だけが国債を保有したまま、他方で多くの投資家が国債を売りに出れば、自分だけが暴落した国債を大量に抱え込むことになり‥
結局、売っても問題だし、売らなくても問題であるという難しい選択肢に迫られることになるのです。
では、現実に戻って‥今、何故1か月物国債だけが突出して金利が上がっているのでしょうか? 1か月物国債を保有する投資家は、何故1か月物を購入したのか? そして、何故今売っているのか?
誤解を恐れずに一言で言えば、長期運用をするような資金的余裕はないものの、1か月程度なら支出の見込みのない余裕資金を持っていたから、ということでしょう。つまり、1か月後には投資したお金を償還してもらうことを当てにしている、と。
もちろん、1か月後に償還してもらったお金をどのような用途に支出するのかは、各投資家の事情次第でしょうが、いずれにしても、1か月後にはきちんと償還してもらわないと計画が狂ってしまうことになるでしょう。
例えば、その償還資金で、投資家が自分の債務を支払うことを計画しているかもしれません。そのような場合、もし、その当てにしている償還が滞るようなことが起きれば‥その投資家は、他の何らかの手段で資金を手当てする必要が生じるのです。従って、そうやって資金手当てをする人々が増えると、忽ち金利が上昇してしまうのです。
投資家たちは、仮に今回、最悪の事態が起こり、米国のデフォルトという事態が発生することになっても、それが長い期間続くことはないと信じているのでしょう。だから、1か月物以外の国債の利回りはまだ異常な動きは示していない、と。
いつまでも火遊びを続けてる米国の議員たち。なんかの間違いで、マッチの火がガソリンに引火しない恐れがないとも言えません。しかし、仮にガソリンに引火してボヤが起きたり、一軒家が消失したりすることが起きたとしても、しかし、街中が焼き尽くされるまで消防車が来ないなんてことはないと思っているということなのです。
だから、1か月後の国債の元利払いが仮に滞るような事態になっても、その後、速やかに事態が収束される筈だと。だから、3か月物や6か月物などの国債の元利払いを心配する必要性はないだろう、と。
ということで、取り敢えず目先のリスクについては気にし出しているマーケットなのですが‥しかし、本当に大混乱に至らないとは誰も断言することができないのです。特に、仮に一時的にでも米国債の暴落が発生してしまえば、中国国内では、何故いつまでも米国債を大量に保有しているのだという批判が高まることが必至で、そしてそうなれば、中国当局もそのような国内の声に全く反応しない訳にもいかないでしょう。
以上
小笠原 誠治
経済コラムニスト
小笠原誠治(おがさわら・せいじ)経済コラムニスト。1953年6月生まれ。著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」「経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(いずれも秀和システム)など。「リカードの経済学講座」を開催中。難しい経済の話を分かりすく解説するのが使命だと思っています。
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