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http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20131012-00000504-biz_san-nb
SankeiBiz 2013/10/12
このところ中国の危機が深刻化してきたようです。相手によって強腰外交と揉み手・ゴマ摺り外交を使い分ける“カメレオン外交”、歯止めが効かない経済成長率鈍化、点火寸前の債務危機、中央・地方政治の腐敗蔓延と国営事業との癒着…。挙げればキリがありません。共産党独裁では、自浄作用が全く期待できませんので、このまま推移しますと、ソ連崩壊の辿った道へと迷走する可能性が高まってきたとも言えそうです。
そして、近隣アセアン諸国やアフリカ各国からは、冷ややかな目が注がれ、警戒のノロシが上がり始めているようです。なぜか日本のマスコミ報道ではあまり目にしませんが、欧米やアジア主要国では「中国の孤立化が始まった」との記事をよく見かけるようになっています。
中国は一見経済大国に見えますが、日本と大きく違うのは、国債を市中消化できる個人金融資産が極端に小さく(日本がGDPの3倍もあるのに対し、中国は半分しかない)、経済規模に見合うだけの財布の大きさと中身を持ち合わせていないということです。焦げ付きを被るのは国有銀行が中心なので、一気に金融恐慌に転落するリスクが高いのです。
アメリカの論評によると、中国におけるシャドーバンキング(銀行の簿外取引を通じる委託貸付)は、ここ数か年で爆発的に拡大し、一説に30兆元(約500兆円)にも達しているとされ、中国バブルの元凶と言われています。米国発“サブプライムローン現象”の再発がもはや不可避だと警告を発しています。
また中国では、ほとんどの製造業大手が供給過剰に陥っていて、企業の復元力も弱体化しています。人件費がここ数年で150%にも跳ね上がり、元高も災いして、売り上げが軒並み3割前後も激減。人民元決済を求めようとしても、国際通貨の資格を有しない元では、ほとんど受け入れてもらえないジレンマに陥っています。
中国経済が「張子の虎」であったことを知らされる世界経済は、一時的に打撃を食らうでしょう。ただその一方で、中国需要の減少に伴う資源価格の下落は、日本をはじめアジアや欧州の資源輸入国には追い風となり、世界経済にとって正常化へのステップとなることも期待できそうです。
一方、韓国の経済危機もかなり深刻化しているようです。これまで国家経済を引っ張ってきた巨大製造企業のグローバル展開に、たそがれが見え隠れし始めてきました。もともと韓国企業は、高付加価値でブランド力のある商品を創造できないという積年の課題を抱えてきたのですが、中付加価値の汎用品の生産大国として、ウォン安の追い風も受けて価格競争力を発揮してきました。そこへ、ウォン高への転換、北朝鮮の対外強硬姿勢と崩壊リスク、少子高齢化、グローバル化のつまずき、研究開発能力不足によるイノベーション力の欠如…などが一挙に多重苦となって、今、朴槿恵大統領を悩ませているのです。
自動車業界を見ると、現代・起亜グループは、まだまだ海外比率が低く(日本メーカーが実質70−80%に達しているのに対し、実質30%弱と想定されています)、しかも系列部品資材メーカーが極端に少なく脆弱であるため、日本の部品メーカーにまで供給を仰がねばならないなど、ほとんどグローバル展開が未完のままです。
電子産業に目を転じても、スマートフォンで29%、液晶テレビで28%とトップシェアを握り、半導体メモリーでも圧勝しているサムスンでさえも、すでに先進国市場では飽和化が目立ち始めています。主戦場が新興国・途上国に移りつつある中、ノキアや中国・台湾勢の低価格路線に揺さぶりをかけられ、ウォン高と少子高齢化による国内労務コスト圧力からグローバル競争に立ち行かなくなってきているようです。LG電子も同じ状況です。
さらに追い打ちをかけるのは、研究開発能力の低さを補ってきた「技術輸入と模倣による産業戦術」の行き詰まりで、今春のOECDの統計によると、特許など技術輸出額を輸入額で割った「技術貿易収支」で、韓国は0.33と加盟国中最下位に転落。因みに日本は4.60でトップ、米国は1.46でした。
以上概観してきたように、中韓の対日強硬外交姿勢も内政の反映と捉えますと、わが国の取るべき道は拙速な対応に焦ることなく当座は冷静を保ち、「機の熟すのを待つ」巧遅こそ最善策であり、国益に沿うものであろうかと考えます。徳富蘇峰が、国家興隆する時、国民は理想を以って生活し、国家衰退する時、国民は生活を以って理想とする−と言ったように、前回の総選挙で日本国民は誤って「生活第一」を謳った民主党政権を選択し、国民は理想をなくし、国家衰退から脱することができませんでした。
国家国民経済の低迷からの脱却に成功したレーガン改革もサッチャー改革も、まずは国家経済の立て直しを優先し、全産業・全業種に恩恵が行き渡る構造改革や法人税減税により企業の活性化を図りました。その結果として「家計への波及」がありました。両改革が成功した要因は、順番を間違えなかったことにつきるのです。(上田和男)
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