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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 安倍総理の致命的失策
http://wjn.jp/article/detail/3138969/
週刊実話 2013年10月24日 特大号
10月1日、安倍総理が消費税率を予定通り来年4月から8%に引き上げると発表した。私は、これでアベノミクスは終わりだと思う。日本経済は失速し、増税しない場合よりも、かえって財政は悪化するだろう。
それは、生活感覚で考えればわかる。来年度、消費税引き上げの影響で消費者物価は2.5%上昇する。3%に届かないのは、医療費や家賃など非課税品目があるからだ。物価上昇への影響はもっと小さいとみる人もいる。'97年に消費税率を3%から5%へ引き上げた際には、企業努力で増税が吸収されたケースが多かったからだ。
しかし、今回はそうは行かないだろう。まず、消費税の引き上げ幅が3%と大きいことだ。これを自社負担で呑み込んだら、多くの企業が赤字転落してしまう。そして、もうひとつの理由がすでに物価が上昇し始めているということだ。たとえば7月の生鮮品を除く消費者物価上昇率は、前年比0.8%に達している。個別品目でみると、デスクトップパソコンが前年比24.4%も値上がりしている。つまり、企業が値上げをしやすい環境になってきているのだ。消費税の増税分は、かなりの部分が価格転嫁されるだろう。
それだけではない。日銀は今年4月に、今後2年間で物価上昇率を2%とする物価目標を掲げている。来年度末が物価目標達成の期限だから、来年度の平均物価上昇率は1.5%になるだろう。なお、この物価上昇目標には消費税増税の影響は含まれないと日銀は言っている。つまり、来年度の物価上昇率は、この二つを合わせた4.0%程度になるとみられるのだ。
その一方で、賃金は上がらない。今年7月の「きまって支給する給与」は、前年比で0.3%下落している。これだけ景気が拡大する中で、賃金が上昇しないのだから、来年度突然賃金が上昇するとは考えられない。
また、年金も増えない。それどころか、この10月から公的年金の支給は1%カットとなった。デフレ時代に物価スライドで年金給付を下げなければならないのを放置してきたことのツケだ。来年度もこの1%カットは続く。さらに、物価上昇率がプラスになるとマクロ経済スライドが発動されるので、来年度の年金が増えることはないだろう。
つまり、現役世代も年金世代も収入が増えない中で、物価が4%も上がるのだ。これで景気が失速しないはずがない。消費税増税などしなくても、物価が上がれば税収は増える。たとえば、2%物価が上昇すれば、名目GDPは10兆円増える。そのうち1割が税金として入ってくるから、税収は1兆円増えるのだ。
ただ実際は、税収はもっと増える。たとえば、デフレから脱却すれば、企業の利益が増えるから法人税の税収が増える。所得税も累進課税になっているから、金持ちの所得が増えれば大きく増える。さらにインフレになって金利が上昇すれば、その分利子に対する税金が増えるのだ。いまは超低金利で定期預金の金利が0.03%しかつかないが、これが1%になるだけで33倍の金利になり、利子の税金も33倍入ってくるのだ。
消費税引き上げで、景気を腰折れさせれば、すべてが水の泡になる。安倍総理の判断ミスは、今後政権に大きくのしかかっていくだろう。
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