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http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131011/ecn1310110727000-n1.htm
2013.10.11 「お金」は知っている
中国国営の新華社通信は安倍晋三首相が1日に来年4月からの消費増税決断を発表すると、ただちに「国際社会の関心に応えた」と称賛した。なぜか。
中国経済はこれまで、日本のデフレに助けられてきた。デフレは円高を伴う。中国の経済統計を見ると、円高・デフレが進むときには必ず、中国景気が好転、上昇し、経済成長率が上がる。逆に、円安局面になると、中国の成長率は下がる。
人民元相場を基本的にドルに連動させる管理相場体制で、「円高・ドル安」はすなわち「円高・人民元安」である。円高時には「メード・イン・チャイナ」が輸出を伸ばす。デフレ日本の国内需要の低迷もあって、日本企業は中国での生産拠点を増強し、中国側の要請に応じて、最先端の技術やノウハウも持ち込む。
2008年9月のリーマン・ショック後、日本のデフレは加速して、日本企業の国内投資は大きく落ち込んだのに、対中投資は急増し続けている。昨年秋の沖縄県・尖閣諸島をめぐる反日暴力デモに遭遇しても、日本企業の対中投資の増加トレンドは衰えてはいない=グラフ。
リーマン後は、中国にとって国際金融、つまりドルの流れが死活的な重要性を帯びてきた。中央銀行である中国人民銀行は流入するドルに応じて人民元資金を発行する政策をとった。中央銀行が創出するマネー、資金供給量がマネタリーベース(MB)と呼ばれる。中国はMB増加量をドルに合わせる政策だ。
ドルを流入させるための仕掛けが不動産市場である。不動産投機を狙った資金が外から流入するのだ。中国はこうして高度成長を維持するのに成功したが、開発ブームは不動産バブルと化した。中国国内総生産(GDP)の5割以上ある金融資産の多くが不動産バブル崩壊で消滅する危険が生じている。
金融崩壊は銀行の信用不安を引き起こすばかりではない。党幹部などの特権層がカネを外に持ち出す資本逃避が一斉に起き、他方では、外からの資本流入が途絶える。人民元がドルの裏付けを失えば、ただの紙切れと化す。悪性インフレを抑えるためには、金融引き締めしかないが、行き着く先は大不況だ。ためた元手に加えて、借金しては不動産投資にいそしんできた中間層は負債のふちに沈む。
中国経済を軟着陸させるためには、人民元を刷り続けるしかないが、肝心の米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和(QE)の縮小を検討するようになった。FRBは今秋、縮小を先送りしたが、年末から年始にかけて実施に踏み切る可能性がある。頼みの綱はデフレ日本である。国内で使い切れない家計の貯蓄などが海外に流れ、その増加量は米MB増加量をしのぐほどだ。
QE縮小は早晩避けがたい。しかし、消費増税に踏み切ることで日本のデフレ・円高が継続する可能性が強い。日本のマネーは米QEに代わって国際金融市場への主供給源となり、金融市場経由で中国にも一部が流れ込む。 (産経新聞特別記者・編集委員、田村秀男)
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