http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/133.html
Tweet |
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-10021.html
2013/10/10 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の首脳会合は結局「年内妥結」を目標にして終わった。
実はTPPは、単なる自由貿易交渉ではない。勃興する中国の影響力に対抗するための米総合戦略「リバランス」(バランス調整)の一環だと米議会調査局(CRS)報告書は指摘している。
東アジアで経済的・政治的・戦略的に@市場確保と雇用増A政治関係強化Bシーレーン確保――など一石で何鳥も狙う。
だから、交渉項目29のうち、通常の自由貿易協定で取り上げる項目は関税など「わずか5つしかない」(米消費者団体パブリック・シチズンのワラック世界貿易監視部長)。植物検疫や環境、労働、法的ルールといった制度問題の方が多く、東アジアとの一体化を狙った戦略なのだ。
逆に、通常なら禁止すべき事項とされる「為替の人為的操作が含まれていない」(プレストウィッツ元米商務省審議官)。「ドル離れ」が進むのを防ぐのが狙いだろう。
ドルを基軸に覇権維持を図る米国に対して、中国が狙うのは「人民元経済圏」の構築。中国の習近平国家主席はその一環で、インドネシアのユドヨノ大統領との会談で「アジアインフラ投資銀行」設立をブチ上げた。
オバマ政権のTPP交渉姿勢に米議会は不満。上院議員60人は「為替操作問題を取り上げよ」と大統領に要求した。議会は、TPPの秘密主義も問題にしている。米国は通例、こうした交渉に野党議員にもオブザーバー参加を認めるが、TPPは中国を警戒してか、「オフリミット」だ。
代わりに米国の関連大企業から約600人の専門家が「アドバイザー」として参加、交渉内容を熟知し、助言してきた。
米側は箝口令を敷き、日本政府はそれに従順に従ってきたのが現実である。
安倍首相はコメなど5項目の「聖域」を米側に認めさせたかのように述べたが、現実には切り崩しにあっていた。西川公也・自民党TPP対策委員長は5項目で「関税撤廃できるかどうか検討する」と譲歩の構えを示した。
しかし、たとえ年内にTPP交渉が妥結しても、現実には「米議会が批准しない可能性が十分ある。議会は地政学を優先しない」(プレストウィッツ氏)。米国にはしごを外されたら、日本はどうする。
▽早大客員教授。1946年、京都市生まれ。大阪外大卒。共同通信ワシントン支局長、特別編集委員を経て現職。95年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。「秘密のファイル―CIAの対日工作」など著書多数。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。