http://www.asyura2.com/13/hasan83/msg/120.html
Tweet |
米国債の最大の保有国である中国は、米国に対し、債務危機が起きないよう断固とした措置を取り、中国の対米投資の安全性を確実なものにするよう求めたそうです。
債務上限問題について中国政府として公式な見解が示されたのはこれが初めてとのこと。
中国財政省の朱光耀次官は、「財政の崖についての中国の懸念を米国は完全に把握している。米国が歴史の教訓を十分理解しているとわれわれは期待する」と述べたそうです。
また、ドイツ銀行のアナリストらによると、米国のデフォルトの可能性について最も懸念すべきなのは誰かということに関し、「上位の米国債保有者を見ると、米社会保障制度の被保険者が最も懸念すべきで、それに次ぐのが米連邦準備理事会(FRB)と中国だ」と説明しているようです。
米政府機関閉鎖と債務上限問題、今週が正念場に
同アナリストらは、「理論的には、社会保障受益者は議会に圧力をかけ、米国債での損失を穴埋めする他の資金を引き出すことが可能だ。FRBは損失を埋めるために紙幣の増発ができる。つまり、中国が窮地に追い込まれるということだ」と指摘しています。
しかし、前提として「理論的には」という留保をつけています。
本当に、アメリカがタイプライターで数字を打ち込むだけで、損失を穴埋めすることができる一方で、中国が一方的に損をするのでしょうか?中国は製造した商品をアメリカに輸出することで外貨のドルをコツコツ獲得してきました。アメリカ人はタイプライターで数字を打ち込むことでドルを増刷し、経常赤字を垂れ流しながら、なにも生み出さないイノベーションという名の虚業の仕事しかしていないくせに、消費ざんまいで贅沢な暮らしをしてきました。中国人が汗水流して獲得してきた外貨のドルで購入したその米国債はすべて大暴落して、中国は泣き寝入りということになるのでしょうか?
この理論の前提として、米国債の暴落にもかかわらずドルがその価値を維持している必要があります。FRBのバランスシートの資産の部のドル債券が暴落して不良債権化しているため、負債の部であるドル(FRBの社債でありFRBにとって債務)はバランスを維持できないのが筋です。
FRBが損失を埋めるためには、ドルの価値の減価のスピードを超えるドルの増刷をしなければなりません。それはインフレスパイラルになって、ハイパーインフレになる危険性があります。
ドルの価値が維持できなくなると、インフレが加速します。格差の拡大による貧困を緩和してきたのがデフレです。インフレになると一番打撃を受けるのは年金や生活保護で生活している人です。もらう給付の額面は増えませんが、実質な購買力が減ります。ギリギリの生活をしている彼らにとってこれは致命的です。健康で文化的な最低限度の生活水準を維持できなくなり、アメリカでは犯罪がさらに増えて治安が悪化しそうです。しかし、それを取り締まる予算もありません。社会保障受益者が議会に圧力をかけても損失の穴埋めをすることは困難です。そもそも一度、デフォルトして借金を踏み倒せば、次からはもう借りることができません。アメリカは国債のファイナンスの半分を海外に頼っています。
中国は二度とアメリカの国債を買わないでしょうし、強制的に買わされる日本とイギリスとサウジ以外はアメリカ国債を敬遠するでしょう。国家の予算は厳しくなり、社会保障費の額面は減ります。インフレとの二重苦になります。
中国は外貨準備の内訳を公表していませんが、その7割はドル資産だといわれています。
そのままタンス預金にしては利子がつかないので、そしてそのドルのほとんどをドル債に変えているそうです。中央銀行というのはリスクを負えなないので、民間の銀行に預けて定期預金にして利子を得るということは原則としてしません。
米国債がデフォルトによって大幅に下落した場合、中国はその損失の補填のためにドルを見捨てる可能性があります。
ケ小平が打ち出した中国の基本方針である「能力を隠して時間を稼ぐ」(韜光養晦)ためには少々時間が足りず、予想より早かったと思いますが、ここで中国は外貨準備の金保有量を報告してくる可能性があります。そうなれば、ドルは更に値を崩しますが、金が暴騰します。
ドル債の損失を、保有する金の値上がりでヘッジする政策です。
「眠れる通貨」じわり国際化 人民元の貿易決済、急増
人民元、ハードカレンシーへの階段
中国黄金協会の副会長の「中国の金準備金の最適規模に関する研究2012」によると、中国は2020年までに5078トン必要だとしています。国務院が、この勧告に従って金の保有を増やししているとすれば、現在、中国人民銀行は、現在3000トン近くの公的保有の金を持っていることになります。これは、欧米の著名投資家らが予想している数値とほぼ一致しています。
●J7.png Estimated growth china official gold reserves
また、世界一の産金量を誇る中国の金鉱山会社は自由化されておらず、共産党支配下にある政府系企業です。また、中国では、金の輸出が原則禁止されていますので、その生産した金と潜在的な埋蔵金は実質的にすべて公的金保有といえると思います。一般国民の金売買を解禁してからまだ数年しかたっていませんが、庶民は猛烈な勢いで金を買っています。政府も国民に金を買うことを推奨しています。
そのために預金金利を低く抑えているといえます。銀行に預けるとインフレ率の高さから実質金利がマイナスで損をするため、国民の金購入意欲は落ちません。最近では、金の輸出入取引の認可企業数を増やすと共に、金の個人バイヤーに関する規制も緩和するなどして更に規制を緩和して金売買を推奨しています。中国人民銀行は、金取引を長期的な金融緩和の中心と考慮しているとし、その標準化を望み、金と金製品の輸出入関連ビジネスの発展を奨励し、その参加者の法的権利を保護することを望むとしています。
国民と鉱山会社が保有する金は公的保有量を上回ります。
●J8.png gold china reserves
もっとも、香港からの輸入や鉱山会社の保有している金は公有になっているはずです。
その配分はわかりませんが、中国国内で保有するトータルの金は確実に増加しています。
アメリカデフォルトのXデーに備えて、中国はそのヘッジのためにここまで金を増やしきましたが、予想より早く、金は、その役目を果たすかもしれませんが・・。
http://hellow42.blog.fc2.com/blog-entry-206.html
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。