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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131008-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 10月8日(火)3時40分配信
東京五輪開催は、苦境に立たされている電機業界に神風となるのだろうか。
スポーツの祭典と切っても切れない関係にあるのがテレビだ。1964年の東京五輪はカラーテレビが普及する契機となった。2020年の東京五輪ではフルハイビジョンの4倍の解像度をもつ4Kテレビや、16倍の8Kテレビの普及が加速するとの期待が高まっている。総務省は20年までに4K・8Kを楽しめる電波環境を整備するロードマップを策定した。14年に4K、16年のリオデジャネイロ五輪の開催に合わせて8Kの試験放送をそれぞれ始める計画で、20年の東京五輪までに8Kの本格放送を普及させることを目指している。
東京五輪の招致が決まり4K商戦の幕が上がった。4Kは11年12月、東芝が世界で初めて売り出し、ソニーとシャープが続いた。いずれも55型以上の大型画面で、当初は販売価格100万円超の機種が多かった。今年に入って各社から1型=1万円の新製品が登場し、市場が活性化してきた。
調査会社のGfKジャパンによると、ソニーやシャープ、東芝が4Kの新製品を投入したことで、8月の家電量販店の4Kの売り上げは50型以上の大型テレビの中で、台数では6.7%、金額では18.5%を占めた。8月の薄型テレビの販売金額は、4K効果で25カ月ぶりに前年同月を2.3%上回った。
参入が遅れていたパナソニックは、4Kを10月中旬に日米欧で発売する。パナソニックの新製品は65型で75万円前後。視聴できるソフトの種類も増やした。国内メーカーはパナソニックで4社目。これで、超高画質テレビ市場に家電大手が揃い踏みとなった。高額な4Kを伸ばしテレビ事業の立て直しのカンフル剤にする考えだ。
だが、4Kは同程度の大きさの液晶テレビに比べて価格は倍近くする。今の価格帯では庶民は簡単に手を出せないから、4Kはテレビ復活の切り札にはならない。消費者に受け入れられるのは、30万円台の4Kが発売されてからとみられている。
4Kの試験放送は14年から始まる。映画の撮影で4Kが使われるようになれば、映画番組の多いBS放送で4Kの番組が実現する。番組が増えれば4Kの需要が拡大。そうなれば量産効果で価格が一気に30万円台にまで下がり、さらなる普及につながる。電機業界は、BS放送をテコに普及→量産→低価格→普及という好循環を期待している。
しかし、肝心のテレビ局が、いまひとつ乗り気ではない。なぜなら、地デジ移行に伴い多額の設備投資をしたばかりだからだ。経営的に厳しい地方局が少なくないから、新たな投資はできない。キー局としても地方局に無理強いはできない事情がある。
NHKは、大地震の被害などを予想するCG(コンピューターグラフィックス)と合成する映像の撮影や山河や海といった自然の撮影に、4Kカメラを使っている。だが、民放のなかには4K映像を放送で使用した実績がないキー局もある。オリンピックの感動をより良く伝えるには、大画面で高繊細な4Kが適しているとはいっても、テレビが完全にデジタル化された今、現在のクリアな画面で十分と感じている視聴者も多い。
●早くも価格競争の様相示す4K市場
米調査会社ディスプレイサーチによると、13年上半期(1〜6月)の4Kの世界での売上高は、4億9000万ドル(約480億円=1ドル98円で換算)。ソニーのシェアが37.8%でトップ。2位は韓国LG電子の14.2%。以下、ハイセンス(10.8%)、スカイワース(9.8%)、長虹(8.2%)、TCL(7.8%)と中国メーカーが続き、韓国サムスン電子は4.0%で7位にとどまった。
ソニーは普及型のモデルをいち早く発売したことが奏功した。4月に発売した66型は6999ドル、55型は4999ドルと思い切って安くした。韓国メーカーが数百万円の高価格・超大型の製品を出している間にソニーは普及型で実利を得たと、調査会社は分析している。
遅れを取ったサムスン電子は巻き返しに出た。9月6日、ドイツ・ベルリンで開かれた世界最大の家電見本市「IFA」で、55型と65型の曲面型の4Kを公開した。曲面型の4Kテレビは世界初である。ソニーを追撃するために、サムスン電子とLG電子は55型と65型の追加値下げに踏み切るとみられており、4K市場は早くも価格競争に突入した。性能より値段になれば、液晶テレビの二の舞いになる。
4Kがテレビ市場全体に占める割合は1%程度にすぎない。上半期の世界テレビ市場のシェアはサムスン電子が27.1%、LG電子が16.3%と1、2位を韓国勢が独占した。液晶テレビのように、4Kでも日韓のメーカーの激しい消耗戦が世界中で繰り広げられることになる。
●控えめな需要予測
東京五輪が開催される20年は、11年の地デジ切り替え時に購入したテレビの買い替えの時期と重なる。となると4K・8Kの普及に期待がかかるが、各種予想では、あまり大きな期待を抱けそうにない現状が見えてくる。
SMBC日興証券は、東京五輪効果で「(テレビ全体の国内販売で)150万台程度のプラスアルファが見込める」とするなど、家電買い替え需要は810億円とかなり弱気の予測を示している。また同社は、東京五輪による新規需要額を2.3兆円、経済波及効果は総額で4.2兆円にとどまると試算しており。20年までの合計で国内総生産(GDP)を0.5%引き上げる程度だ。1年単位でのインパクトとなるとさらに限定的になる。
新規需要の2.3兆円には、
(1)建設投資
(2)選手村の売却(マンションとして売却等)
(3)家電買い替え需要
(4)五輪ライセンスグッズの収入
(5)観光・飲食
などが含まれる。観光や飲食の消費額は大きく見積もっているが、家電の買い替え需要は小さい。4K・8Kの買い替え需要を期待する向きには、いささか拍子抜けの数字だ。
1964年の東京五輪の時とは違い、携帯端末やインターネットなどテレビ以外の視聴手段が発達している。国際オリンピック委員会(IOC)はロンドン五輪から放送ビジネスに対する方針を変え、インターネット放送を推奨し始めた。「若い世代にとってスポーツを見る端末はもはやテレビではなくスマートフォン」というのが、IOCが切り替えた主な理由だ。
編集部
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