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沖縄県・尖閣諸島の国有化から1年。北京の日本大使館前は、車止めがなされるなど、物々しい雰囲気だった=9月11日(ロイター)
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131007/ecn1310071530005-n1.htm
2013.10.07
尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化をめぐる混乱で、日本と中国の経済関係が冷え込んでから1年あまり。さすがに最近は落ち着きを取り戻してきたが、昨年目の当たりにした反日デモの激しさは、中国事業が内包する政治リスクの高さを改めて印象づけた。景気減速や人件費高騰という懸念材料もある。この1年間で日中間のビジネス環境はがらりと変わった。
9月末、政府系を含む中国の有力企業10社のトップが訪日したことは、今の日中経済関係を象徴する出来事だ。一行は首相官邸や経団連に足を運び、関係修復に動いた。
中国企業にとって日本の存在はなお大きい。日本の先端技術やノウハウを取り入れたいだけでなく、中国製品を売り込む市場としても魅力があるからだ。
中国は、経済規模こそ日本を上回る世界2位だが、中身は消費よりも投資が主導する経済である。その点、日本は個人消費が国内総生産(GDP)の6割を占める一大消費国だ。中国側からみても、関係の修復は急務である。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、今年1〜6月期の日中貿易総額は前年同期比で10・8%減。日本の対中直接投資は31・2%減に落ち込んだ。日本の景気が着実に回復する中、日中経済だけが取り残された感がある。
日本では過去、何度も対中進出ブームがあった。1990年代前半から半ばには、最高指導者だったト小平氏が改革開放路線の加速を訴えたことで盛り上がった。中国が世界貿易機関(WTO)加盟を果たした2000年代前半もそうだ。リーマン・ショック後は、世界的な景気後退からいち早く脱皮した中国との関係が活発化したが、そんなブームも過ぎ去った。
もちろん、関係悪化の理由は政治リスクの高まりだけではない。何よりも中国の景気が減速傾向にあることが大きい。銀行融資以外の金融取引で、リスクの高い事業にマネーが流れた「影の銀行(シャドーバンキング)」問題が浮上し、構造改革は中国の喫緊の課題となった。景気減速といっても、かつてのように巨額の財政出動で景気を刺激することは考えにくい。
かねて指摘されてきた人件費高騰も相変わらずだ。今ではタイやマレーシアに匹敵する賃金水準で、労働集約型の繊維産業などは生産拠点としてのメリットが減少した。
だからといって、日本企業が一斉に中国から手を引こうとしているわけではない。特に大企業は粛々と事業を継続しているところが多い。中国事業を行っている企業に対しジェトロが実施した8月の調査では60・7%が「既存事業の拡充や新規事業を検討」と答え、今年1月時点の58・1%を上回った。政治リスクが高いとはいえ、巨大な中国経済はやはり無視できないとの見方は根強いのだ。
これに対し「既存事業の縮小・撤退を検討」と答えた企業は7・7%だ。多くはないが、1・9%しかなかった10年12月と比べ企業のマインドが急速に低下したことは明らかだ。今年1月(7・3%)と比べても増えている。中国事業に対するスタンスは、積極姿勢と消極姿勢で二極化の傾向を強めているのである。
そもそも大企業と中小企業では、経営環境が大きく異なる。中国以外にも海外拠点があり、グローバルに事業展開している企業ならリスクは分散しやすい。中国以外の東南アジアなどにも拠点を設けてリスクを回避する「チャイナ・プラス・ワン」の動きが出て久しいが、実現にはそれなりの経営規模が必要だ。
逆に地方の中小企業などには、唯一の海外拠点が中国というところもある。日中関係悪化で部品調達が滞ったりすれば、経営全体を左右する死活問題となるだろう。これから海外に出ていこうと考える中小企業も同じだ。中国経済の先行きをどう見極めるかがこれまで以上に重大な経営判断となる。
日本企業が中国事業を縮小・撤退する場合の選択肢はさまざまだ。急速に進出熱が高まる東南アジアもあるだろうし、新興国経済は政治的にも経済的にもリスクが高いとみれば、欧米など先進国に出てもいい。日本国内で勝負するという考え方もある。
そもそも中国市場での国際的な企業競争は激しく、競争力のない製品やサービスしかないと厳しい。人脈構築や現地企業との連携も必要だ。よほど念入りに戦略を練らないと、期待した成果は出ない。反日デモで中国事業の難しさが改めて明確になった今、リスクを総合的に分析し、冷静に判断する力が今まで以上に求められている。
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