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国民無視、税制改「悪」を強行する安倍政権 ―経産省は大はしゃぎ、どうした財務省?―
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/864.html
投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 07 日 09:54:18: rUXLhToetCnYE
 

国民無視、税制改「悪」を強行する安倍政権
―経産省は大はしゃぎ、どうした財務省?―
2013年10月07日
湖上 煙(経済ジャーナリスト)
 ようやく安倍晋三首相が来年4月の消費税率引き上げ(5%→8%)を決断した。実施まで半年しか準備期間がなく、これから企業や商店は不安を抱えながら対応に忙殺される。税制の柱である消費税の17年ぶり増税というのに、なぜ時間的余裕を持って実行できないのか。「ギリギリの決断」という政治的パフォーマンスは、永田町の自己満足でしかなく、国民経済には害悪以外の何物でもない。

 年金や医療、介護などの社会保障関連費が毎年1兆円も増える中、国の借金は1000兆円に達する。財政再建のためなら消費税増税も仕方ないが、実際には「経済対策」という美名の下で2兆円規模の企業減税が実施される。子どもからお年寄りまで買い物のたびに増税の苦痛を味わうのに、財界だけは手放しで大喜びだ。


震災の記憶がどんどん忘れ去られていくようだ(写真は宮城県女川町)     Photo by Mitsufumi Ikeda
 投資促進税制はまだしも、復興特別法人税の前倒し廃止には驚いた。しかも、個人向けの復興特別所得税は維持するという。大きな声を出す企業の負担は軽くなり、民主党崩壊で政権選択の自由を奪われた国民の声が黙殺される。東日本大震災からわずか2年半で、この国の「絆」はまやかしでしたと自ら宣言するようなものだ。

 アベノミクスを連日はやし立てている日経新聞の世論調査(9月30日付朝刊)でも、来年4月の消費税増税は賛成47%、反対48%と拮抗する。復興特別法人税の廃止前倒しは賛成32%に対し、反対が54%と大きく上回る。それでも、安倍内閣の支持率は66%と高止まりしており、民主党の犯した“罪”の重さを痛感する。

 今回の税制改「悪」は、「企業栄えて国民窮する」という経済産業省の論理である。同省は政務の総理秘書官まで送り込んで首相官邸を牛耳り、我が世の春を謳歌している。その背後には、経営の無能を棚に上げて企業減税を叫び続ける財界が存在する。「経産・財界複合体」は次に、“本丸”である法人税の実効税率引き下げを狙っている。

 日本も法人税の国際的なダンピング競争に参戦するのか。全くナンセンスである。米国のように法人税率が高くても企業を繋ぎ止めておける、国家の「付加価値」を高めるべきだ。そうしないと、新興国との泥沼の価格競争に敗れて存亡の危機に陥った、家電業界の二の舞になるだろう。

 そもそも、税制は財務省主税局の所管である。しかし、第2次安倍政権以降、その影は急速に薄くなった。今回の消費税増税と法人税減税を組み合わせる厚かましさは、主税局のセンスではない。長年にわたり、主税局は叩かれても叩かれても国民に粘り強く説明を続け、1989年に消費税を導入した。その後、税率を当初の3%から97年に5%へ増税するまで、8年を要した(その途中、7%に引き上げる「国民福祉税」を打ちだしたが、主計局の暴走だった)。

 それから実に17年。来年4月、ようやく8%まで引き上げられる。主税局は財務省の中で最も「論理」を重視し、「腕力」の主計局とは好対照。だが、第2次安倍政権には論理が通じず、まるで主税局が経産省に移管されたかに見える。

 旧大蔵省時代から、時にマスコミは財務省を「諸悪の根源」のようにバッシングしてきた。同時に、「財務省なら叩いても大丈夫」という奇妙な安心感もあったからだ。しかしここまで「最強官庁」が弱くなってしまうと、アベノミクスの暴走にブレーキを掛けられない。財務省が政治に全面降伏し、財政再建の旗を降ろしたら…一体、何が起こるのだろうか。
http://dw.diamond.ne.jp/articles/7096  

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コメント
 
01. 2013年10月07日 11:41:17 : fw3hOF0neV
消費税上げた途端に法人減税 w

消費増税し方がないと言う国民はアホですか


02. 2013年10月07日 12:05:04 : niiL5nr8dQ
【第29回】 2013年10月7日 伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授、総合研究開発機構(NIRA)理事長]
法人税率引き下げは成長戦略の切り札!
課税ベース拡大と併せて活発な議論を進めよう
消費税率の引き上げから
出てきた法人税率論議

 少し前までは、安倍総理が来年4月に予定どおり消費税率を引き上げるかどうかが大きな注目点となっていた。消費税率を上げれば景気が失速するかもしれない。せっかく見えてきたデフレ脱却の芽が潰されかねない。それでは元も子もないので慎重に臨むべきである──そういった議論がアベノミクスを支える識者の一部から出されていた。

 しかし、景気回復は期待以上のスピードで進んでいる。GDPで見ても、失業率などの雇用統計で見ても、そして日銀短観のような企業の景気判断で見ても、日本経済は確実によくなっていることがわかる。物価も上昇の気配を強めている。安倍総理が消費税率を引き上げる判断を固めた背景にはそうした経済の動きもあるだろう。

 ただ、この数ヵ月の消費税論議を通じて、予想されなかった興味深い動きが起きている。法人税引き下げの議論が前面に出てきたことだ。消費税引き上げとセットで行われる経済刺激策は、公共事業などの一時的な対応のみに限定すべきではない──そうした見方を持つ人が増えている。そこで注目されるのが法人税率の引き下げである。

 法人税率引き下げは、成長戦略の目玉ともなりうる存在である。安倍内閣の成長戦略は総花的で目玉となるものがわかりにくい、という批判が内外から出ている。こうした批判に応えるためにも、法人税率引き下げのようなインパクトのある政策を打ち出すことの意義は大きい。

 法人税率引き下げは、政治的には非常にハードルの高い課題だ。税収減少を嫌う財務省は消極的であると伝えられている。消費者の負担を強いる消費税率の引き上げと企業を利する法人税率引き下げを同時に行うのか、といった政治サイドからの批判もある。

 そうした意味では、法人税率の見直しについては、今後さらにいろいろな動きが見られることだろう。ただ、突如議論の中心に出てきたこの問題は、今後の日本経済のあるべき姿を考えるうえで重要なポイントとなる。ここで少し掘り下げてみたい。

世界の趨勢は法人税率
引き下げの方向

 世界的に見ると、法人税率を下げる方向に動く国が多い。欧州諸国は、消費税(付加価値税)率では20%を超えるような高い国が多いが、法人税率は引き下げる方向で動いている。今では、日本よりかなり低い税率となっている。アジアの近隣諸国も法人税率の引き下げを行ってきている。海外から投資を呼び込むうえで有効と考える国が多いようだ。

 世界的に見て法人税率が高いのは日本と米国ぐらいだと言っても過言ではない。しかし、その米国でも下げる方向で検討中と報じられている。法人税率の引き下げで経済が活性化すると考えているのだろう。

 海外がそうだから日本も下げるべきだという単純な議論を展開すべきではないかもしれない。しかし、世界の多くの国の動きには、それなりの理由があるはずだ。日本も世界の大きな流れに無関心であってはいけない。

法人税率引き下げは
企業だけを利するのか

 消費税率を引き上げるのは消費者を苦しめ、法人税率を下げることは企業を利する──こうした議論がよく出てくる。政治の場でもマスコミでも、そうした議論を堂々と主張する人は少なくない。しかし、ちょっと考えてみればわかると思うが、話はそんなに単純ではない。

 まず消費税であるが、これは正確には付加価値税である。消費だけでなく、生産や流通など、付加価値に関わるあらゆる経済活動に税が課される。国が生みだす総付加価値のことをGDP(国内総生産)というが、付加価値税とは、そのGDPに税を課すようなものである。消費者だけに税負担を強いるものではない。

 法人税についても、その意味をよく考える必要がある。そもそも企業は、雇用の場であり、技術革新を行う場であり、そして企業が行う投資は経済を活性化させる。法人税率が引き下げられることで企業活動が活発になれば、雇用や賃金が増え、技術革新が経済を潤し、そして投資が景気をよくする。法人税率の引き下げが企業だけを利するとは決して言えないのだ。

 法人税率を下げることで、海外からの投資が増えれば、それも日本経済全体の利益につながる。世界有数の高い法人税率を課している日本は、海外から見ればあまり魅力的な投資対象ではない。海外からの日本への投資が悲しくなるほど低調なのが、日本の高い法人税と無関係とは考えられない。

 法人税を引き下げることは、インパクトの大きな成長戦略となる。消費税論議のなかで突如法人税引き下げの議論が出てきたことは喜ばしいことだ。

法人税率引き下げは
税収を減らすのか

 法人税率引き下げに慎重な人たちは、税収が減ることをその理由として挙げる。ただでさえ税収が足りず財政赤字が続いているのに、ここで法人税率を引き下げればさらに税収が下がってしまう、と。

 税収の問題はもちろん重要だ。ただ、税率を下げたからといって法人税収が下がるとは必ずしも言えない。欧州の経験を見ると、税率を下げても法人税収は減少せず、それどころか増大する傾向さえ見せている。

 ここで重要な鍵となることが二つある。一つは企業業績への影響であり、もう一つは課税ベースを広げるか否かという問題である。

 最初の点であるが、法人税率引き下げによって企業活動が活発化し、景気がよくなり、企業業績が向上すれば、法人税収がかえって増えることは十分に考えられる。そもそも企業活動を活性化させる目的で法人税引き下げを行うのだから、企業業績の向上は視野に入れるべきだ。

 より重要なのは、二つ目の課税ベースの問題である。法人税の税収はよく直方体の体積で示される。まず、直方体の高さが法人税率である。つまり企業にどの程度の割合の税率を課すかがこれに対応する。それに対して、直方体の底面積が課税ベースに対応する。企業活動のどの程度の割合に課税するのかという問題である。

 法人税の網は、企業活動のすべてにかかっているわけではない。たとえば、日本の大手商社のなかには国内でほとんど法人税を払っていない企業がある。これは利益が日本に落ちていないためだ。海外では税金を払っているので、もちろん合法的にやっていることだ。

 しかし、それでよいのかと疑問を持たざるを得ない。企業は日本国内でさまざまな公的サービスや制度の恩恵を受けている。であれば、それに応じた税負担をすべきだろうという議論も成り立つ。

 こうした視点から、法人税を企業の利益だけではなく売上などにも課していくべきだという議論がある。日本の中小企業は、法人税を払っていないところが多い。利益が上がっていないからだ。しかし、その中小企業もさまざまな公的サービスや制度の恩恵を受けている。それならば少しは税金を払ってもよいはずだ。

 消費税が優れた制度である理由の一つは、経済の活動全体に薄く広く税を課すという点にある。同じような議論が法人税にも成り立つ。法人税率は大幅に下げるとしても、企業に課す税の範囲を広げていくのである。企業から徴収する税も薄く広くするのがよい。

 もし法人税の課税ベースを広げることができれば、法人税率が低くなっても、法人税収は縮小しないか、あるいは増えることも考えられる。直方体で言えば、高さが低くなっても、底面積が大きくなれば体積が増えることがあるのと同じだ。

 法人税の改革論議は、法人税率の引き下げだけでなく、こうした課税ベースを広げることも含めて考えるべきだろう。法人税が政治の議論として出てきたのを機会に、そのあるべき姿についてもっと活発な論が交わされることを期待したい。

http://diamond.jp/articles/print/42630

 


 


03. 2013年10月07日 12:09:09 : niiL5nr8dQ
消費税、増税後は株価持ち直しへ 経験則では小売り・サービス株がカギ

2013年10月7日(月)  門司 総一郎

 10月1日、安倍晋三首相は大方の見方通りに、2014年4月1日に消費税率を5%から8%に引き上げることをを最終決定し、増税に備えて5兆円規模の経済対策の策定を表明しました。消費税増税が景気や株式市場にもたらす影響については様々な見方が存在しますが、1989年の消費税導入や1997年の税率引き上げなどが景気や株式市場に与えた影響を振り返った上で、今回の消費税率引き上げの影響について考えてみます。

1989年の消費税導入の影響は限定的

 消費税が導入されたのは1989年ですが、高齢化社会への対応や社会保障の充実、直間比率是正などの観点から必要性は早くから指摘されていました。しかし、1979年の大平正芳内閣による一般消費税導入準備の閣議決定や、1987年の中曽根康弘内閣による売上税導入関連法案の国会提出が、いずれも世論や政治家の反対によって撤回、ないしは廃案に追い込まれるなど、なかなか実現しませんでした。

 そうした中、1988年12月に竹下登内閣の下でようやく消費税法が成立、1989年4月1日に消費税が導入されました。当初の税率は3%です。

 1989年前後の景気の動きを見てみます。実質国内総生産(GDP)は導入直後の4〜6月こそ駆け込み需要の反動などから前期比年率5.1%減と落ち込みました。しかし、7〜9月は同7.2%増、10〜12月は同13.0%増と高い伸びを続け、1991年2月まで景気拡大が続きました。

 これを見る限りでは、消費税導入の景気への影響はほとんどなかったと言えます。これは当時がバブル経済のピークであり、内需が極めて強かったことや、物品税の廃止などで消費税の導入にもかかわらず国民負担が逆に減少したことなどが理由です。

(グラフ1)消費税導入前後の実質GDP成長率(四半期)

出所:内閣府より大和住銀投信投資顧問作成、Q1は1-3月
 一方、株式市場ですが、消費税の導入を控えた1989年1〜3月の東証株価指数(TOPIX)は頭の重い展開でした。しかし、導入後の4〜6月には材料出尽くしとなって水準を切り上げ、7月以降は明確な上昇基調入り。年末には最高値を記録します。このように見て、1989年の消費税導入の景気・株式市場への影響はほとんどなかったと考えています。

 なお、1990年初めからの株安は日本銀行による金融引き締めや、大蔵省の不動産融資の総量規制などによるバブル崩壊に伴うものであり、消費税導入によるものとは言えません。

(グラフ2)消費税導入前後のTopixの推移(日次)

出所:Bloombergより大和住銀投信投資顧問作成
自民・新進の改革競争の中で税率引き上げが確定

 次は消費税率が3%から5%に引き上げられた1997年前後の状況を見てみます。高齢化社会への対応などに加えてバブル崩壊後に悪化した財政を立て直す意味もあり、1994年11月に村山富市内閣の下で改正消費税法が成立、1997年4月に税率が引き上げられることになりました。その後1996年6月に橋本龍太郎内閣が実施を閣議決定したことにより、税率引き上げが確定します。

 バブル崩壊の影響が残る中での消費税率引き上げは奇異に感じられますが、当時の政界は自民党と1994年に誕生した新進党の間で、財政健全化や行政改革を巡って改革競争の雰囲気があり、世論もこれを支持していました。例えば、1995年12月の新進党の党首選では消費税率を10%に引き上げることを主張した小沢一郎氏が当選しています。

 1996年10月の総選挙では消費税率引き上げを掲げて戦った自民党が勝利しましたが、新進党は党首選で税率引き上げを公約とした小沢一郎氏が勝利したにもかかわらず、消費税率据え置きを公約としており、このぶれが敗北につながったとの見方もあるようです。総選挙に勝利した橋本首相は行政改革、経済構造改革、財政構造改革などの六大改革を打ち出し、消費税率の引き上げに踏み切りました。

1997年の税率引き上げ後は景気が大幅悪化

 1995年半ば以降の円高修正に伴って当時の景気は回復基調にありましたが、税率引き上げ直後の4〜6月の実質GDPは前期比年率3.7%減と落ち込みました。その後7〜9月はいったんプラス成長を回復しますが、10〜12月から翌年4〜6月にかけて3四半期連続でマイナス成長となり、景気は後退局面入りしました。

(グラフ3)消費税率引上げ前後の実質GDP成長率(四半期)

出所:内閣府より大和住銀投信投資顧問作成、Q1は1-3月
 1997年4月は消費税率の引き上げに加えて、特別減税の廃止や医療費の自己負担増などもあり、国民負担の増加は9兆円に達しました。橋本首相は6大改革の1つとして財政構造改革を掲げており、一気にこれを進めようとしたのかもしれませんが、振り返ってみれば、やり過ぎだったようにも見えます。

 また海外では7月、タイバーツの切り下げをきっかけにアジア通貨危機が発生。日本国内では11月に北海道拓殖銀行や山一証券などの大手金融機関が破綻するなど、内外で「危機」と呼ばれる状況が発生しましたが、これも景気を大きく悪化させることになりました。

(表1)国民負担の増減(主要項目のみ、兆円)

出所:三菱UFJモルガン・スタンレー証券より大和住銀投信投資顧問作成
 TOPIXは円高修正や景気の持ち直しに伴って1995年半ばから1996年前半にかけて上昇しましたが、その後は下落基調にありました。景気や業績の回復が続く中で株価が下落した理由ははっきりしませんが、上昇の反動や消費税率引き上げへの警戒などを指摘する向きがあります。

 消費税率引き上げ前のTOPIXは横ばいで推移。引き上げ後の4〜6月は材料出尽くし感からいったん持ち直しましたが、アジア通貨危機の発生や国内の金融危機深刻化を受け、そこから大きく下落します。

(グラフ4)消費税率引上げ前後のTopixの推移(日次)

出所:Bloombergより大和住銀投信投資顧問作成
景気悪化の主因は国内の金融危機

 1997年から1998年の景気悪化については、消費税率引き上げが主因とする見方のほかに、「アジア通貨危機や国内の金融危機が主因であり、消費税率引き上げだけであれば、これほどの景気悪化にはならなかった」とする見方がありま。私は後者の立場です。

 7〜9月のGDP成長率がいったんプラスになったこと、また消費者態度指数が3月を底に9月まで上昇したことなどから、消費税率引き上げで勢いは弱まったとは言え、景気の回復は続いていた。それがアジア通貨危機に加え、特に国内の金融危機によって打撃を受けたとの見方です。

(グラフ5)消費税率引上げ前後の消費者態度指数(月次)

出所:Bloombergより大和住銀投信投資顧問作成
今回の影響は1997年より小さい

 以上を踏まえて2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた場合の景気への影響について考えてみます。結論から言うと、バブル経済のピークで内需が極めて強かった1989年の消費税導入時のように全く影響なしとはならないものの、1997年のように景気後退に陥ることもないでしょう。

 前述のように、1997年の国民負担増はすべて合わせると9兆円と言われました。今回は消費税率引き上げに伴う負担増こそ8兆円と言われますが、それ以外に1兆円を超えるような大きなものはありません。

 一方で、安倍首相は消費税率引き上げの影響を緩和するために、5兆円規模の経済対策を表明していますし、また日銀の黒田東彦総裁も景気が失速した場合は追加的な金融緩和で下支えすることを示唆しています。

 このように安倍政権が1997年の轍を踏まないよう配慮していることから、2014年4月の税率引き上げにより景気が失速する可能性は低いと見ています。

 危機的な状況が発生すれば別ですが、そうでなければ2014年4〜6月の実質GDPは駆け込み需要の反動からマイナス成長と見ているものの、マイナスは1四半期のみにとどまり、景気回復が途切れることはないとの見通しです。

 また株式市場については、1989年、1997年ともに税率引き上げ前に株式相場は調整し、その後は上昇しました。このことを考慮すると、2014年の1〜3月はボックス圏での推移が見込まれますが、引き上げ後は悪材料出尽くしから上昇に転じると予想しています。

小売株・サービス株の動きに注目

 最後に消費税の影響が比較的大きいと思われる小売業やサービス業の株価が、1989年や1997年にどのように推移したかを見てみます。レシオケータはTOPIXとの比較において、それぞれの指数がどのように動いたかを示すものですが、上昇すればTOPIXよりも相対的に強かった、低下すれば相対的に弱かったということになります。

(グラフ6)消費税導入前後の東証小売り/サービス株指数(日次)

出所:Bloombergより大和住銀投信投資顧問作成、対Topix/レシオケータ、89年3月末=100
 1989年、1997年ともに1〜3月は小売株やサービス株のレシオケータが低下しました。消費税導入や税率引き上げの前には、こうした業種の株価がTOPIXと比べて弱かったということになります。

 しかし、4〜6月は逆に上昇しており、相対的に強かったことが見て取れます。あくまでこの観点からだけの話ですが、もし消費税率引き上げを控えた2014年1〜3月に小売株やサービス株が弱い場面があれば、そこは買いタイミングと考えることができるでしょう。

(グラフ7)消費税率引上げ前後の東証小売り/サービス株指数(日次)

出所:Bloombergより大和住銀投信投資顧問作成、対Topix/レシオケータ、97年3月末=100
<参考文献>
「首相支配−日本政治の変貌」(竹中治堅、中公新書)、「消費税を巡る議論」(小池拓自、「調査と情報―ISSUE BRIEF」609号、国立国会図書館)


このコラムについて
政治と市場の“正しい”見方

 今、日本は新政権の誕生で「政治」と「金融市場」の関係がこれまで以上に強まり、複雑化しています。さらに欧州の債務危機や米国の財政の崖、中国の新執行部選出など、政治と市場を巡る動きは、海外でも大きな焦点となっています。

 しかし、市場関係者がこの両者の関係を論じる場合、「アベノミクスで日本は変わる」など物事を極めて単純化した主張になりがちで、十分な分析がなされているとは言えません。そこで、このコラムでは政治と市場の関係について深く考察し、読者の皆様に分かりやすく解説していきます。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20131004/254190/?ST=print


04. 2013年10月07日 21:21:14 : D71jIMQgBY
法人税減税が経済活動を活発化することなどないでしょう。現在の国内経済の不振は過大な供給力に対して過小な需要しかないという一語につきる。だから円安にして外需に活路をもとめようとしたのだが、それとて限度があるというもの。法人税減税をしてもいいところ大企業の内部留保の増大にしかならない。
 一律に企業活動にたいして課税を広げるための消費税というのなら消費税ではなく企業間取引税などを考案するべきだ。それでなくても消費マインドの落ち込みが現在の不景気をまねいていることを考えると消費税増税により一層の消費の落ち込むであろう事などを全く考慮していない愚策といえよう。
 今の大企業経営者は国民経済いやそれどころか自分の経営する企業の事を本当に考慮しているのか非常に疑わしい。ただ単に自分が社長である時の企業業績、単年度の損益にのみ囚われ本来の企業の長期的成長という視点が全く感じられない。
 ここまで日本の国力の衰退したこと、人口動態の減少傾向など全く日本の官僚、政治そして大企業などの責任は重いと思う。もはや一部の大企業の繁栄が日本国民の幸福には結びつかないことなどとっくにわかりきった事実なのだから。

05. 2013年10月07日 21:51:46 : gA92dCAfVo
>> そもそも企業は、雇用の場であり、技術革新を行う場であり、そして企業が行う投資は
>> 経済を活性化させる。

法人税減税対象企業がかかえる労働人口が果たして全労働人口の何割かわかって・・・いないだろうな。
わかっていても見て見ぬふりを決め込むつもりだろう。そして饒舌に語っておきながら、最後は自分の
言説に対する責任など絶対に取らない。
こんな連中に経済学なんて教育させておいて、次世代を担う政策を提言できる人材など育つ訳がない。


06. 2013年10月07日 23:24:13 : BqXkvXro2o
世論調査は全て作り物であると心得ておる。

07. 2013年10月08日 09:32:24 : hViZKmZ9hk
>しかしここまで「最強官庁」が弱くなってしまうと、

全然弱くなっていない。
これだけ国民の支持がある総理に消費税率引き上げ論で勝利した財務省は強すぎる。

間違った政策を強行する力は、財務省にしかない。


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