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五輪効果で地価上昇が予想される東京都中央区の晴海地区
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131006/ecn1310060740001-n1.htm
2013.10.06 本当は教えたくないマンション業界の秘密 榊淳司
基準地価が発表された。それにともなって、私のところにもテレビや新聞の取材が入った。ほとんどが「次はどこが上がるのか」、あるいは「いったいどのくらい上がるのか」といった視点でとらえている。
まず、国や自治体から発表される地価と呼ばれるものには大きく3つある。基準地価、公示地価、路線価である。どうして3種類も必要なのか。はっきりいって私にもよく分からない。
簡単に解説すると、基準地価は「土地を売り買いする時に異常な価格がつかないように目安を示している」という。バブル時代の遺物といえる。
公示地価は「公共用地の取得価格などを決める際のよりどころ」なのだそうだ。だったら、公共事業を行う場所だけ調べればいい気もする。
路線価は相続税評価用と固定資産税評価用の2種類がある。ただ、これは公示地価のおおよそ8割だと言われている。わざわざ算出する意味が分からない。
そもそも、国や自治体が日本中の土地の値段を調べまわって発表する必要があるのか。固定資産税と相続税の課税評価基準を分ける必要があるのだろうか。私は大いなる無駄だと考えている。
もう1つ、1年に何度かあるこの「地価発表」の騒動で思うことがある。それは、メディアも国土交通省も、地価が下がると嘆き、上がるとホッと胸をなでおろす…というスタンスが読み取れるからだ。
「地価が回復基調」「○地点で地価が上昇に転ずる」「都心部では地価が下げ止まり傾向」など、地価が下げ止まって回復、上昇に転じたことが喜ばしいかのような表現が目立つ。
確かに、不動産を所有している企業や個人にとって、地価の上昇は喜ばしい。つまり、地価上昇を歓迎するのは「持てる者」の視点である。
だが、多くの庶民は地価が上昇するとマイホームは買いにくくなるし、家賃が上がる不安が出てくる。住宅ローンに苦しむ人にとっては地価が1%や3%上がってもほとんど影響がないが、地価とともに金利が上昇すると、家計が苦しくなることがある。
つまり、地価が上がって喜ぶのは大企業や税収が増える国、自治体。資産と呼べるレベルで不動産を所有する裕福な人々。不利益を被るのは、大半の「持たざる」庶民になる。
日本は平成バブルの崩壊まで、ほぼ一本調子で地価が上がる「土地神話」に支配されていた。それが壊れて、すでに四半世紀近く。人々の心の奥には、いまだにその余韻が残っているようだ。
人口が減少し、経済も収縮していくこれからの時代、一時的に地価が上がることはあっても、それが長く継続するとは考えにくい。この「地価下落」の未来を、人々もメディアももっと早く理解してもいい。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。
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