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新国立競技場の竣工想像図(日本スポーツ振興センターの資料をもとに作成)。右の聖徳記念絵画館ドーム部分の高さは約32m。競技場手前の照明は、現在の国立競技場のもので、高さは約40m
新・国立競技場「本当にこういう風に建てられるのか」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37157
2013年10月06日(日)フライデー :現代ビジネス
「巨大なUFOが下りてきたような建築物」(建築評論家・五十嵐太郎氏)「デザインは未来志向で、次の100年間、スポーツの聖地となる」(建築家・安藤忠雄氏)
上空部分を覆う流線型の構造、開閉する屋根、観客以外でも屋根の外周部分を歩けるという運用方針―。 '20年の東京五輪に向けて計画される新国立競技場は、未来を先取りしたようなデザインが目を引く。高さは約70m、延床面積は、東京ドームの約2.4倍の威容である。
ところが、その奇抜なデザインには、「あれが本当に建つのか」という疑問が向けられている。
デザインの作者は、イラク出身、イギリス在住の建築家ザハ・ハディド氏(62)。「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞を受賞している。昨年11月に行われたコンペで彼女の案が採用された。
ハディド氏は、「未完の女王」と言われる。デザインが前衛的すぎて、コンペを勝ち抜いても、技術的な困難ゆえ実際には建てられなかったというケースがあるのだ。今回はどうか。
「今後、日本の建築基準法をクリアし、実際の建築を進めるための『フレームワーク設計』を、ザハと日本の構造設計事務所が一緒に行います。日本のゼネコンは世界一の技術を持っていますので、必ず完成に持っていくと思います。工期も海外では遅れがちですが、日本ではまずありえない」(構造設計事務所主宰者)
だが、懸念の声もある。構造計画プラス・ワン代表取締役の金田勝徳氏が語る。
「あのデザインのままでは難しいと思う。競技場の上にかぶさっている構造体が接地する場所を支点というが、支点間の距離はおそらく160~200mくらいある。構造体の素材は鉄骨か何かでしょう。デザイン通りのスマートな骨組みでこれを結ぶのは難しい。梁を太くする、補強材を用いるなどの修正が必要となる」
資金面、法的な面でも問題がある。
「費用は約1300億円といわれますが、それでは難しいと思う。細くても強度のある素材を使って、美しい建築を造ろうとすればするほどカネがかかる。2000億近くかかるという試算もある。
デザインを見ると、道路や線路の上空に競技場の一部がかかっている部分があるが、これを実現するには法的なハードルが高い」(別の構造設計家)
大会後は維持費用も問題となる。
「開閉式の屋根の作動にかかる電気代、メンテナンス代、座席の清掃……コストは莫大でしょう。見逃されやすいのが芝の問題。埼玉スタジアムでは芝に影がかかる時間が短いが、それでも一部は日当たりが悪くて腐ってしまう。あれだけの構造体がピッチ上にできると、芝のケアにもコストがかかる」(前出・金田氏)
ヤフードームの屋根開閉には1回あたり約100万円(人件費含む)、芝生の維持には1年間に最低でも約3000万円(同)かかるという。新国立競技場では、その倍以上の維持費がかかると見られる。
■景観を守れるのか
実現可能か否か以前に、デザインそのものへの疑問もある。
「歴史的文脈が濃密な風致地区(自然美を維持するための地区)です。そこに、あのような巨大な建物を造ろうという計画自体が基本的に間違っています」
朝日新聞のインタビューにこう語ったのは、プリツカー賞受賞の建築家・槇文彦氏(85)だ。美観の問題に加えて、人口減少する日本で8万人規模の客席は不要、という理由で計画に反対する。
前出・金田氏も懸念する。
「あの建物は人間的なスケールではない。近くで眺めると、屋根がせり出してくるような圧迫感を感じると思う」
前出・五十嵐氏が、今回のデザインが採用された理由を推測する。
「10億~20億の人が同時に目にする。ただの箱を造っても仕方がないと、誰の目にもインパクトのあるものを選んだのでしょう。技術的アピールもできる」
造るか、変えるか。考えどころだが、今ならまだ間に合う。
「フライデー」2013年10月11日号より
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