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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 アベノミクスの終焉
http://wjn.jp/article/detail/1049948/
週刊実話 2013年10月17日 特大号
消費税率引き上げは、安倍総理の引き上げ表明を前に完全に既成事実化してしまったようだ。すでにメディアも政治家も官僚も、消費税率の引き上げを前提に動き始めている。
もともと安倍総理は、消費税率を引き上げるつもりはなかった。アベノミクスの生みの親である浜田宏一内閣官房参与も、デフレ脱却がまだ不確実な中で、消費税率引き上げをすべきではないと、引き上げの先送りを進言していた。しかし、安倍総理は「引き上げの先送り論は経済学的には正しいが、政治的には困難だ」として、法律どおりの引き上げを決めたのだ。
重大な判断ミスだ。まず、来年4月に消費税率を引き上げる必要性はまったくない。今年4月から6月の累計税収は前年比5%も増えている。しかも、今年度末には絶好調の企業部門から莫大な法人税が入ってくるから、このまま放っておけば今年度の税収は4〜5兆円は増えるだろう。1兆円といわれる社会保障費の自然増をはるかに上回る税金が入ってくるのだ。
ところが、消費税を引き上げてしまうと、そこに待っているのは景気の失速だ。来年4月の段階で、消費税引き上げの影響で、消費者物価は2%上昇する。それとは別に、日銀の金融緩和の効果で消費者物価が1%上昇する。すでに0.7%上昇のところまで来ているので、1%達成は確実だ。つまり来年4月以降、物価は合計で3%も上がることになる。
一方、収入のほうはどうか。まず、サラリーマンの給料は上がらないだろう。厚生労働省の「毎月勤労統計」によると、7月の「きまって支給する給与」の対前年比はマイナス0.3%だ。いまでも下がり続けている給与が、来年上がることは期待できないだろう。
一方で、年金の給付額も増えない。本来なら物価スライドで年金額が増えるはずなのだが、デフレ時代に物価下落に伴う引き下げをサボった積み残しがあるので、それを解消するのが優先され、年金を改善することができないのだ。
結局、現役世代も年金世代も収入が増えない。その中で、大幅に物価が上がるのだ。誰がどう考えたって消費は失速するだろう。GDPに占める消費の割合は6割だ。それが急減して、景気が保つはずがないのだ。
安倍総理もそのことはわかっているから、消費税引き上げとともに、消費税2%分に相当する5兆円の景気対策を打つことにした。ただ、その中身が何ともおかしいのだ。
安倍総理は、来年度まで課せられることになっている復興特別法人税を1年繰り上げて今年度で終了し、実質的に来年度からの減税を実施する予定だと報じられている。
しかし、それでは庶民に消費増税を課して、その税金を法人に配るということになってしまう。いま賃金が下がって苦しんでいる庶民からカネを取り上げて、莫大な利益をあげている法人に配っても、格差が拡大するだけで経済効果がないのは明らかだ。廃止するなら復興特別所得税や復興特別住民税の方だ。
安倍総理は、浜田宏一氏の処方箋を受け入れたところまでは慧眼だった。しかし、その浜田氏が、まだ病床から出て良いと言わないうちに出ようとしている。アベノミクスは、残念ながらもう終わりだ。
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