03. 2013年10月04日 21:43:38
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コラム:米混乱が招く安倍相場の「逆回転リスク」=佐々木融氏 2013年 10月 4日 18:42 JST 佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長(2013年10月4日)米国の2014年度予算案をめぐる混乱は結局、会計年度末を越え、今月から政府機関の一部閉鎖が始まった。前回の政府機関閉鎖は1995年末から96年1月にまでさかのぼる必要があり、近年ではあまり例がない。 しかし、77年から96年までの間で見ると、政府機関が閉鎖に追い込まれたことは17回もあった。そのうち9回で閉鎖は3日以内に終了しており、短期間で終わることも多かったが、今回のケースでは前回の26日間を越える閉鎖期間となるリスクも想定しておく必要があるかもしれない。 現在の状況に鑑みると、民主党と共和党の予算案をめぐる確執は、政府債務の上限をめぐる問題にも拡がりを見せ、結局は両問題が一緒に協議されることになりそうだ。大雑把に言えば、予算案の紛糾ポイントは医療保険制度改革(オバマケア)に関する支出を認めるかどうかという点だ。これは政府債務の上限を引き上げるべきか否かという問題にもつながってくる。つまり、政府債務の上限が引き上げられるという結果になるまで、政府機関の一部閉鎖が続く可能性も考えられる。 <10月中は予想以上のドル安・円高に要注意> ルー米財務長官によれば、これまで行なってきた特別措置もいよいよ限界を迎え、10月17日には米国の債務は法律で定められた上限に届いてしまうとの見通しである。ただ、政府機関が一部閉鎖されたことにより歳出が減っているため、債務が上限に到達してしまう日はもう少し先に伸びるかもしれない。 それでも、11月1日には670億ドルの歳出が予定されているため、遅くともその日には債務は上限に到達することは確実だ。それまでに議会が上限を引き上げられなければ、米国債はデフォルトになってしまう可能性が高まる。 つまり、逆に言えば、今回の混乱が本当の大問題につながり、世界の金融資本市場を混乱に陥れるまでは、まだ1カ月弱の余裕があるとも言える。それまで共和党と民主党の意地の張り合いが続いてしまうリスクも想定しておかなければならない。 このような米国の財政をめぐる混乱はドル安につながる可能性が高い。米国は巨額の経常赤字国であるため、そもそも市場には常に大きなドル売り需要がある。したがって、通常は巨額の投資資金が米国に流入することによってドルは安定するわけだが、今回のような問題が生じると、米国への資本流入が極端に減ることになる。前回、政府債務の上限問題がギリギリまで懸念された11年7月には、上限引き上げ決定(債務上限は8月初に引き上げられた)までの2週間でドルは実効レートベースで2.5%、ドル円は81円台から76円台まで約6%下落した。 また、米政府機関の一時閉鎖は当然、米国の経済成長にとってマイナスとなる。JPモルガンの米国エコノミストは政府機関の閉鎖が1週間続くと、実質国内総生産(GDP)成長率を年率0.12%押し下げると予想している。閉鎖が長引けば長引くほどマイナスインパクトは大きくなり、世界経済にも悪影響を与える。市場のボラティリティ(予想変動率)も上昇する可能性が高く、そうなると世界の投資家は大きなポジションを保有し続けられなくなる。 今、世界の投資家が保有しているポジションで最も大きいのは、恐らくアベノミクスに期待した日本株の買い持ちポジションと、日本の投資家などによる対外投資増加を期待した円の売り持ちポジションだろう。日本が問題の根源ではなくても、世界経済が鈍化し、金融資本市場のボラティリティが上昇してしまえば、世界の投資家はポジションを手仕舞う必要に迫られ、結果的に日本株を売り、円を買い戻さざるを得なくなる。 筆者は米国債がデフォルトに陥る可能性は極めて低いと考えているが、そのギリギリのところまで米国議会における民主党と共和党の対決が続いてしまうリスクは小さくはないと見ている。したがって、それまでの間、つまり10月中はドル円相場が予想以上に大きくドル安・円高方向に振れるリスクを警戒する必要があると考えている。 *佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。
日銀が景気判断据え置き、総裁「物価は今後も上昇」 2013年 10月 4日 19:51 JST [東京 4日 ロイター] - 日銀は4日の金融政策決定会合で4月に導入した資金供給量(マネタリーベース)を年間60兆─70兆円増やす異次元緩和の継続を全員一致で決め、国内の景気判断は先月と同じ「緩やかに回復している」との表現で据え置いた。 黒田東彦総裁は会見で、緩和効果が順調に発揮されており、今後も物価は上昇を続けるとの見通しを強調した。 景気判断は、企業の景気判断も改善を続けており、住宅投資も増加していることなどから据えておいた。設備投資については「企業収益が改善している中で持ち直している」と判断を引き上げた。 木内登英審議委員が2%の物価安定目標を中長期的に目指すとの議案を引き続き提出したが、反対多数で否決された <米財政問題長引けば、世界経済に影響> 黒田総裁は会見で、4月に始めた異次元緩和が「金融市場と実体経済、物価の面で着実に効果を発揮している」と述べ、追加緩和を伴わない現行政策のままで2%の物価安定目標は実現できるとの考えを示した。消費者物価指数の前年比は「6月プラスに転じ8月は0.8%まで上昇、今後も基本的に上昇傾向は続いていく」との展望を示した。 政府が消費税率を予定通り来年4月に3%引き上げる決定をしたことについて、「国の財政運営の信認を確保する意味で大きな意義がある」と評価した。政府の経済対策は「かなりの経済成長率のプラス要因になる」とした。 米国の財政問題により債務不履行に陥りかねない事態である点については「財政をめぐる不透明な状況が長引くと金融市場が不安定化したり、景気を下押しするリスクがあり、米国・世界経済に影響を及ぼす恐れがある」との懸念を示した。 市場では「会見内容は、報道を見る限りサプライズはない。相場への影響も限定的」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア債券ストラテジスト、六車治美氏)との声が聞かれた。 消費増税と歩調を合わせた追加緩和に関するコメントを期待する向きもいたが、「そのシグナルを感じさせるものはなく、収穫の乏しい会見内容」(第一生命経済研究所の副主任エコノミスト、藤代宏一氏)との指摘もあった。 (ロイターニュース 伊藤純夫 竹本能文;編集 山川薫)
日銀総裁「2%目標に着実に進んでいる」:識者はこうみる 2013年 10月 4日 18:55 JST [東京 4日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は4日、金融政策決定会合後に会見し、消費者物価指数(CPI)は今後も上昇していくとし、4月に打ち出した異次元緩和の効果で物価は2%目標を目指して着実に上昇していく述べた。 日銀総裁会見に関する識者の見方は以下の通り。 ●追加緩和のシグナル出ず、収穫乏しい <第一生命経済研究所 副主任エコノミスト 藤代宏一氏> 消費増税決定後の会見であり、注目していたのは増税に歩調を合わせた追加緩和に関するコメントだったが、そのシグナルを感じさせるものはなく、収穫の乏しい会見内容だった。株式市場では当面、米財政協議に関心が集まりやすく、何らかの進展がなければ債務上限の引き上げ期限が近付くにつれてリスク回避姿勢が強まるとみている。 ●追加緩和の実施時期は消費増税後 <松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎氏> 黒田総裁は市場の一部で期待されていた追加緩和策に関して全く触れなった。消費増税による影響や米債務上限引き上げ問題などが不透明ななか、今後のために弾を取っておくという判断だ。テールリスクが顕在化すればそれに対応する金融政策を行うとしたが、米国がデフォルト(債務不履行)する可能性をテールリスクとして意識しているのだろう。 外部環境に大きな変化がなければ、追加緩和実施のタイミングは消費増税後となる可能性が大きい。足元で国内景気指標が悪化しているというデータが出ておらず、追加緩和はしづらいのではないか。むしろ増税後に想像以上の駆け込み需要などの反動があった場合に備えているとみている。 ●米財政問題で経済下振れリスクに言及 <三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア債券ストラテジスト 六車治美氏> 会見内容は、メディアが報じているヘッドラインを見る限り、サプライズはない。相場への影響も限定的だろう。 黒田総裁は、景気・物価は日銀の想定通りに進んでいること、金融政策については、仮に景気の下振れリスクが顕在化すれば追加緩和があり得るとの従来の主張を繰り返した。強いて言えば、米財政問題で不透明な状況が長引くと経済の下押しリスクになるとして、下振れリスクに言及したことが目新しい。 ●為替の反応は限定的、ドルのセンチメント改善見込めず <野村証券 金融市場調査部 チーフ為替ストラテジスト 池田雄之輔氏> 黒田日銀総裁は、5兆円の経済対策が成長率にとってかなりのプラス要因であるとの認識を示した。きょうの会見のニュアンスをくみ取れば、2014年4月の消費増税直後に日銀が追加緩和に踏み切る可能性は低いと考えられる。追加緩和の検討がなされるとすれば、消費増税から3カ月ほど経過した7月ごろからではないか。 為替市場はもともときょうの総裁会見からハト派的なコメントを期待しておらず、反応は限定的だった。 来週については、前日発表された米ISM非製造業景況指数が弱かったことや、暗礁に乗り上げている米財政協議、米債務の法定上限をめぐる不透明感から、ドルのセンチメントが悪い状況が続きそうだ。 一方で海外ファンド勢は、依然相当規模のドル/円のロングポジションを抱えている。ドルのセンチメントの改善が見込まれないなか、投機的なドルロングの投げが始まることも予想され、96円前半のドル安はあるとみている。
来週のドル/円、米財政協議の行方を注視 2013年 10月 4日 18:25 JST [東京 4日 ロイター] - 来週の外為市場で、ドル/円は米国の財政協議をめぐるニュースフローに神経質な展開になりそうだ。米与野党の協議で進展があれば急伸すると予想されている。
ただ、与野党の対立が解けず、米政府機関の閉鎖が長期化するほどに米実体経済は下押され、年内の量的緩和(QE)縮小観測が後退する結果、対立解消時のドル/円の反発力も弱くなるとみられている。 予想レンジはドル/円が95.50―99.50円、ユーロ/ドルが1.3500―1.3800ドル。 暫定予算案をめぐる米与野党の対立が解けないまま、1日に米政府機関は一部閉鎖に追い込まれた。米実体経済への悪影響が懸念され、ドル/円は3日に96.93円まで下落。8月28日以来の安値をつけた。ユーロ/ドルは1日以降、騰勢を強め、8カ月ぶりの1.36ドル台となった。イタリア政局不安の後退などユーロ固有の好材料が出たこともあるが、ドル安傾向の強さを印象づけた。 市場関係者は、米財政協議の帰すうに神経を尖らしている。「財政協議の行方次第で振らされる相場。落ち着いてドルを売ることも難しい」(邦銀)との声が出ている。 米ホワイトハウスは3日、オバマ大統領のインドネシアおよびブルネイ訪問の取り止めを発表。大統領のアジア歴訪は中止され、インドネシアで7日から開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議も欠席する。 週末に米与野党協議が進展すれば、ドル/円は来週の週明け早々から急伸するとみられている。それだけに、4日の東京市場では積極的なドル売りに慎重な向きが目立った。 一方、協議が難航を極めて米政府機関閉鎖が長期化した場合、米実体経済に暗い影を落とし、政府機関の閉鎖が解けてもドル/円の反発力は弱くなるとみられている。市場では「年内のQE3縮小開始は難しいのではないか」(大手邦銀)との声も出始めた。 QE3の縮小開始時期を見極めるうえで注目を集めていた9月米雇用統計は米政府機関閉鎖のあおりで4日の発表が延期となったが、りそな銀行・市場トレーディング室の尾股正寿シニアクライアントマネージャーは、9月米雇用統計が今後正式に発表されても、集計の正確性への疑念から統計数値への不信感が生じやすいとみている。 9日には9月に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表される。市場の予想に反してQE3の縮小開始が見送られた会合であるだけに注目されるが、会合後の各メンバーの発言からタカ派とハト派の見解の違いは判明済み。 外為どっとコム総研のジェルベズ久美子研究員は、QE縮小への具体的な条件などが示されず、メンバーの見解のばらつきを改めて示すような内容にとどまれば、マーケットの反応は一時的なものにとどまるとみている。 市場では、ドル/円の下値メドを200日移動平均線(4日=96.62円付近)とする向きが多い。同線は昨年11月半ば以降の「アベノミクス相場」で一度も割り込んでいないだけに、仮に明確に下回ることになれば、さらなる下落への警戒が高まるとみられている。 (為替マーケットチーム)
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