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金融緩和とメディア
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52514325.html
2013年10月03日 在野のアナリスト
菅官房長官が、記者会見で記者席を1m後ろに下げ、国民目線にしたい、としました。つまり奥行きをだし、目線を上げることでイメージアップしたい、ということですが、まったく効果なし。むしろ、老眼がひどくなって、近くの記者の顔がみえなくなったから…という方が笑い話にもなります。
目線を上げたいなら5m離すか、大学の講堂のように記者席を階段式にするか、少なくとも台に乗るのをやめるべきです。安倍政権の言っていることと、結果との齟齬、的外れであることが、こんなところにも垣間見えます。安倍ノミクスを始めた頃、すぐにでも賃金アップ、という話をしていたはずが、来年ですら覚束ない。生活実感はじわりと悪化しており、このままでは安倍ノミクスは壮大な詐欺だった、という国民からの怨嗟の声も強くなるでしょう。その声が届かないよう、記者との距離も開けたかった…とすると、これはもうジョークにもならない話になります。
米国の予算案が議会を通過せず、メディアはオバマケア抜きの予算案を主張する米共和党を、一斉に袋叩きにかかりました。外交、内政、ともにキレのないオバマ大統領の支持率が、何とか高いのも、今の米メディアが肩をもっているからです。しかもこのメディアの動向は、世界的な傾向ともなっています。端的にいうと『金融緩和をする国のメディアは、政府寄りの報道をする』です。
米国では多くのメディアが、企業買収ファンドや、巨額の資産を有する個人に買われています。こうした経営主体にとって、金融緩和がありがたい一方、短期利益を追求することから『今』を重視します。つまり中間選挙、大統領選もまだ先のことであり、今の金融緩和を支援し、時の政権に協力しておけば、今の利益を最大化できる。共和党寄り、とされたメディアでさえ、経営主体の交代などで、こうした傾向が強まっている。それが今の欧米のメディアの動向です。
日本では、若干その背景が異なります。メディアは財界の意向を汲みやすく、財界に隠然たる力をもつのは、メガバンクと輸出企業の経営陣です。日銀の国債購入で、早々とポジションを落としたみずほを筆頭に、不良債権化しそうな国債を減らすことができたメガバンク。円安で僥倖をえた輸出企業。さらに法人税減税に手をつけそうな安倍政権に、財界として協力するのは当然です。
金融緩和は、景気やインフレへの効果以上に、金権体質を生み、大企業や資産家にとって愛される政策である、ということなのです。そしてそこに牛耳られたメディアが、金融緩和時の政府に協力することで、支持率を上げる。これが今、世界で起きていることなのです。政治にとって金融緩和は麻薬です。この甘い汁を一度吸うと、ますます金満家を優遇したくなる。それが企業重視の安倍政権にもはっきり表れており、小泉政権時と同じ流れが起きている原因にもなっています。
菅官房長官は「国民目線」を大事にする、とします。しかし今のメディアは政府への協力者であり、記者会見したり、その質問に答えるだけでは、決して国民の目線とはいえません。金融緩和という劇薬に手を染め、その幻覚をみているのは安倍政権なのか、国民なのか。その薬をやめたとき、副作用に苦しむことは確実ですが、それは薬を打った政治家だけでは済まない。メディアも含まれるばかりでなく、国民がその副作用でもっとも苦しむ、となってしまうのかもしれませんね。
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