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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20131003/dms1310030745012-n1.htm
2013.10.03 「日本」の解き方
米アプライド・マテリアルズと統合を決めた東京エレクトロンは、持ち株会社をオランダに置くと発表した。税制が理由と明言はしていないが、アマゾンやグーグル、スターバックスなどがオランダやアイルランドを経由して節税するケースが相次いでいる。
このようなグローバル企業からどのように税金を取るのが合理的なのか、その観点から日本で今議論されている法人税減税の動きは正しいのだろうか。
法人を巡る税制の立場は2つある。1つは法人実在説、もう1つは法人擬制説だ。前者は「法人も公共サービスの恩恵を受けるのだから、法人税を負担すべきだ」というもので、後者は「法人は個人の集合体であるので、個人ベースで完全に課税が行われれば、法人税自体が不要である」というものだ。つまり、前者は法人税の正当化、後者は経済的な理由による法人税撤廃のそれぞれの理論的支柱だ。
もっとも税理論ではほぼ決着がついている。かつてノーベル賞受賞者のミルトン・フリードマン教授が指摘していたが、税には中立性原則があり、その観点からいえば、所得税を課した上で法人税を課すのは二重課税であり、二重課税排除の点から法人擬制説が優れているのは明らかであるというものだ。
しかし、現実の税務執行では、個人の所得・資産は十分に捕捉できないので、やむを得ず法人課税している。法人擬制説に立つべきであるが、法人実在説をとってなんとかしのいでるのが実情だ。
この意味で、日本の法人税率が高いのは、納税者番号制度が先進国の中では珍しく徹底せず、歳入庁という税・保険料の徴収機関がこれも先進国では例外的に存在しないので、個人の資産・所得把握が不十分な結果ともいえる。
海外では、納税者番号も歳入庁も当たり前で、一定の個人の資産・所得把握ができるため、法人税率を下げられているが、日本はそれに後れをとっているのだ。
国際協調によって一定レベルの法人税を取ることは可能であろうが、それでも個人ベースでの課税を中心とする海外の実情を考えると、その一定レベルの水準さえ、日本にとっては低すぎる水準だろう。しかも、国際的な税率のレベルは、どんどん低下している。
今後、企業から法人税を取るのは、税理論や企業の実態からいっても相当に無理が出るだろう。その顕著な例が、本社機能を世界中に置くことができるグローバル企業に表れていると考えたほうがいい。
もちろん、個人ベースの課税にしても、個人で海外に逃げていく人はいるだろう。「グローバル個人」とでもいうべき人もいるが、グローバル企業で働く人がすべてグローバル個人になるわけでもない。個人は企業に比べて、ホームカントリー・バイアスがあるだろう。
となると、国際協調によってそのペースは多少ダウンするとしても、個人の課税ベースを広げて法人税は減税という動きは世界中で今後も続くだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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