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http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20131002/ecn1310020734003-n1.htm
2013.10.02 森岡英樹の金融スクープ
BIS(国際決済銀行)は9月15日に「邦銀の復活」と題する文章を公表した。国別の国際与信で邦銀がトップに立ったという内容で、バブル崩壊以降、20年超にわたり低迷していた邦銀の国際的なプレゼンスの回復を印象付けた。
BISによると、今年3月末時点の国際与信シェアは、邦銀が13%、米銀が12%、ドイツが11%となった。邦銀の2007年のシェアは8%で、この6年間で1・6倍に増えた計算だ。特に邦銀の与信が伸びているのは新興国(アジア)向けと米国向け。国内の資金需要が低迷する中、海外で稼ぐ構図が数字で裏付けられた格好だ。
海外向け与信の伸びで特徴的なのは、海外の非日系企業向け融資が伸びていること。この点について、国部毅全銀協会長(三井住友銀行頭取)は9月19日の会見で、自行を例にこう述べた。
「12年度の貸出の伸びのうち、海外貸出は約1兆5500億円増えているが、日系と非日系に分ければ、日系が6500億円、非日系が9000億円増えている。この割合はもちろん変わると思うが、やはり非日系向けの貸出が増えていくと思う。ちなみに、われわれの海外での貸出の日系と非日系の割合を残高ベースでいうと、日系が3割で非日系が7割という数字だ」
今やメガバンクの海外融資の主戦場は非日系企業となっている。
リーマン・ショックを契機に、資金繰りに窮した欧米の銀行が、アジア向け債権を中心に売却に動き、その多くを邦銀が安値で買い入れたことが残高シェアの急上昇に繋がっている。
だが、「邦銀の復活」を手放しで喜んではいられない。欧米の銀行から買い込んだ債権を管理し、収益を確保していくという課題が残っている。とくに海外での非日系債権のモニタリングは容易ではない。少なくとも日系企業の業況をモニタリングするよりも難しい。予測できない現地の政治・経済の変動もあろう。気付かないうちに債権が劣化する懸念は常につきまとう。
このため、メガバンクなどは海外企業取引の拡大と並行して決済機能のセット化を進めている。決済を通じ企業の資金の流れをきめ細かく把握することで、財務状況の変化をタイムリーにつかもうという戦略だ。
こうした海外融資の伸長を踏まえ、金融庁も今事業年度から3メガバンクについては、海外展開も優先課題として検査する方針。外貨建て融資が急速に伸びている一方、原資となる外貨調達ルートが細いためだ。
かつてバブルピークの1989年には邦銀の海外与信シェアは39%まで高まった。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と持ち上げられ、海外の資産を買いあさった邦銀だが、それもつかの間、バブル崩壊で海外資産は“バナナのたたき売り”のごとく売らざるを得なくなり、海外撤退した邦銀も少なくなかった。
今回の「邦銀の復活」は本物となるか。成否は邦銀がどこまで各地域で土着化できるかにかかっている。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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