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社会保障立て直し効果、早くも疑問 「消費税10%でも7年で食い潰す」(SankeiBiz) 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/782.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 10 月 02 日 08:32:00: igsppGRN/E9PQ
 

社会保障立て直し効果、早くも疑問 「消費税10%でも7年で食い潰す」
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/131002/mca1310020630019-n1.htm
2013.10.2 06:30 SankeiBiz


 消費税率引き上げは決まったが、社会保障制度を立て直し、大赤字に苦しむ国の財政を再建するという本来の目的を果たせるか、早くも疑問視されている。新たに5兆円規模の大規模な経済対策が追加され、昨年の3党合意時点とは大きくシナリオが変わったためだ。

 消費税率引き上げは、本来、社会保障の安定財源確保が目的だ。年金、医療、介護などへの給付費は2012年度に110兆円に達したが、財源となる社会保険料などは60兆円程度。差額のうち40兆円を国税、地方税、国債発行(借金)でまかなっている。国の税収が40兆円台という中で大きな負担である上、社会保障関係費は今後も毎年1兆円規模で膨らみ続ける。

 大和総研の市川正樹主席研究員は「負担と財源の差が毎年約1兆8000億円広がってきたことを考えると、消費税率が10%に引き上がったとしても7年程度で食いつぶす」と指摘する。

 しかし、現状では社会保障給付について、具体的な削減案がない状況で、医療費など給付の抜本的な改革が急務だ。

 財政再建の道筋も厳しい。日本の借金は先進国で最悪の状況で、1000兆円を超えた。8月に閣議了承した中期財政計画では、税収で政策経費をまかなえるかを示す国と地方の基礎的財政収支について、15年度に名目国内総生産(GDP)に対する赤字比率を10年度比で半減させ、20年度に黒字化させるとした。同時に、国だけでも14年度、15年度にそれぞれ4兆円ずつ赤字を減らす方針だ。

 この状況で景気の腰折れを防ぐためとはいえ、5兆円規模の経済対策をとることは、財政再建を遅らせる懸念がある。

 また、対策の財源も不明確だ。現状で確定している財源は12年度会計の使い残しである剰余金の合計2兆8000億円と、13年度の国債費、予備費などで追加される見通しの計約1兆円だけで、合計3兆数千億円にとどまる。頼みは景気回復による税収の上振れだ。

 企業の今年度の業績見通しが集約される11月以降にならないと税収見通しは立たない中で、5兆円の経済対策を打ち出すのは「見切り発車」(外資系エコノミスト)という声もある。

 麻生太郎財務相も「額が足りないといって消費税増税する一方で国債発行するのは筋としてどうか」と懸念を示す。財源の裏付けがないままでは国債発行が避けられず、財政再建目標が達成できない可能性もある。


 

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コメント
 
01. 2013年10月02日 08:38:07 : nJF6kGWndY

これも言い古されてきたこと
 


02. 2013年10月03日 03:14:49 : niiL5nr8dQ
【第169回】 2013年10月3日 池上正樹 [ジャーナリスト]
「49歳の息子と対話できない」「父親と話しづらい」
引きこもり家族会で語られた噛み合わない親子の本音
「引きこもり」家族会の全国組織、「全国引きこもりKHJ親の会」が主催する第8回全国大会が9月28日、29日に福岡市で行われ、300人以上が参加。会場は立ち見の人たちであふれるくらい、ぎっしり埋まった。

 別の部屋で開かれた「引きこもり」当事者の交流会にも、全国から約30人が駆けつけ、大きな輪になった。

 会の前半部分は九州の家族会の父親による運営で進められ、親子間の確執などについて話し合った。しかし、後半、当事者の提案で本人たちだけの交流会に切り換えると、遠慮がちだった参加者も自ら発言するようになった。

 翌29日には、福岡の家族の要望に応えて、別の会場で『ひきこもり大学』の「生きていたいと思うようになりたい」学科を関西の当事者の進行により、デモンストレーションで開催。参加者から「『変わっていてもいいよね』学科を作りたい」「歴史上のひきこもりの人物を探したい」といった提案も出された。

他人の親は話しやすいのに
なぜ父親は冷静に話してくれないのか

 2日間にわたって福岡市で全国大会を主催したのは、全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)の福岡「楠の会」。

「ひきこもりの新しい流れ〜安心して生きる未来を求めて〜」というテーマが掲げられ、当連載も取り上げた秋田県藤里町社会福祉協議会の菊池まゆみ事務局長の「中間的就労施設による町おこし」などの講演や、現場でアウトリーチに取り組む事例などのシンポジウムが行われた。

 一方、当事者らの交流会は、28日の午後1時半から3時間ほど別室で開催され、全国から30人余りが参加した。

 会の世話人を務めたのは、自らも家族であるNPO法人「熊本ブランチ」代表の武井敬蔵さん。

 それぞれの自己紹介、ひきこもり大学への質問などが一通り終わると、ある当事者男性がこう発言した。

「他人の親だとしゃべりやすい。僕の父親は、従妹や他人の子どもには落ち着いて冷静に話せるのに、自分の家族にできないのはなぜだろうと思った。そのように話してくれれば、僕もちゃんと話を聞くのに…」

 49歳の息子がいる父親の1人も「息子と対話ができない」と明かす。

 この父親は、ある傾聴講座に参加した。終了するとき、講師の言葉の中に「すべてお父さんが悪いんです」と書かれていて驚いた。がっかりした。

「いろいろ考えると、価値観が違うから、バッティングする。いろんな経験をしていかないといけない」

 話題は「親と子の確執」に入っていく。司会の武井さんは「親の思いと、それに応えたい子どもがうまく噛み合わない」といって、こう提案する。

「親がもう少し積極的に、自分の子どもでなくても関わっていったほうがいいのではないか」

子どもに感情的になってしまう
父親たちの「本当の気持ち」とは

 前出の父親は、「オヤジの気持ち」について話し始めた。

「相手を変わらせようと思ったら、自分が変わらないといけない。あるとき、息子に暴言を吐いたら、内緒で1万円払うことに決めた。やめることができるんですよね。ただ、怒りを抑えれば、どこかで爆発するから、他がとばっちり食らってるかもしれないけど。親の会に参加するのは母親ばかり。だから、最近、オヤジの会をつくりました。お父さんにも家族会にどんどん参加してもらい、家の中でお子さんを見る目を変えてほしいと思って、いまも実行しています」

 やがて、家庭内の父親の役割についての話題に移っていった。

 経験者の30歳代男性が、親と話をして1人暮らしを始めた経緯を明かした。

「7年前、家の中で親に干渉されても何も言えないから、外に出させてもらった。解放感があって楽になった。親も社会に振り回されていたんだなとわかって、親に振り回される必要はないと気づいた。親といったん、距離を置いて、自分自身も落ち着くことができた。ずっと親と顔を突き合わせていると、お互いに感情的になってしまう」

 武井さんは、父親の気持ちを代弁して、敢えてこう問題提起する。

「親は耐えていらっしゃる。心の中に怒りがある。自分の望みを子どもにぶつけたくても受けてくれない。もどかしさ、悔しさ、焦りなどの複雑な感情が、親の中にある。親が子どもに期待するのは元々、遺伝的に抱えているもの。でも、現実にはすんなりいかないのが、親子間の軋轢、確執を生んで、問題を複雑化しているというのが私の考え。その原因は君たちが抱えているのではないかという疑いを親は持っている。子どもは親に答えようと思っても、なかなか表現しにくいのではないか。それに対して、みなさん、何かありましたら教えていただきたい」

 すると、元当事者の男性がこう発言した。

「親に認められたいというのは、昔ありました。親が変われば子も変わるという言葉は、私は信じない。様々な方からの影響を受けると思うし、親がいなくても立派に生きていく方もいる。段階にもよるが、親は親の人生を生きていればいい」

 前出の父親が再びマイクを握った。

「自分の物差しを子どもに当てはめることはしていません。オヤジの会でも、しかめっ面してた親がだんだん柔和になると、子どもを褒めだす。正社員でなくても、一歩を踏み出すことが大事。小さなことでもいいからやってみてほしい。親としてはそれだけでも嬉しい」

当事者同士だけで話すことで
自由な発言、満面の笑みも

 ここで、当事者側から「休憩にしませんか?」との声が上がった。そして休憩中、「当事者グループと、親や支援者のグループとに分かれて話しませんか?」との提案が出された。

 家族会が運営する当事者交流会は、当事者にとっても安心できる場だ。また、当事者に家族、支援者らが混ざって雑談できるという機会も貴重で、“疑似親子”同士の対話も生まれた。

 一方で、どうしても発言力の強い父親に話題が引っ張られる。当事者が自由に発言しにくい空気もあったようだ。

 こうして後半は、当事者だけの集いに変更。十数年の引きこもり経験者で、神戸市のNPO「グローバル・シップスこうべ」代表の森下徹さんの主導によって進められた。

「幼少の頃、母親と接することも話すこともなかった。その後遺症で、何か行動しようとすると、不安に陥る」

「子どもの頃、テストは100点満点で減点法。100点取って当たり前だったから、正解を得ることよりも、失敗しないことに気を使ってきた。会社に入っても、遅刻してはいけない。休んではいけないという自分への縛りがつらくて、どこかで崩したかった」

「一口に当事者と言われるけど、世間では“若者”や“青年”と、そこに当てはまらない上の年齢に分けられてしまう」

「でも、年齢を超えて、つらさをわかり合えるし、つながることもできるよね」

 後半は、このように当事者同士で、お互いの経験や思いを分かち合った。

 また、翌29日は、別会場で開催した『ひきこもり大学』の「生きていたいと思うようになりたい」学科に、20人近くが参加した。ただ、ネーミングした当事者の先生が、福岡まで移動できないため、みんなでテーマについて語り合った。

 そして、大学で実現してみたい学部や学科を募ったところ、「変わっていてもいいよね」「アニメを語り合いたい」「お金を使わずに生活したい」「歴史上の中でひきこもっていた人を探す」など、様々なアイデアが出て盛り上がった。

 初日、硬直した表情で参加して、「明日、行けそうなら…」と話していた当事者が、翌日のひきこもり大学で「今日も来ちゃいました」と満面の笑顔を浮かべていた姿が、とても印象的だった。

この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方は、下記までお寄せください。
teamikegami@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)


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●「ひきこもり大学」に関するお問い合わせが多いので、フォームをつくりました。
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【第21回】 2013年10月3日 後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 クライアント本部戦略ソリューション室長、兼DC推進室長]
実践編(1):目的に合った投資をする
 過去数回、合理的な投資行動を阻む人間固有のバイアスを回避するため、思い切って自分の意思決定を排除する仕組みとして「分散投資」「長期投資」「積立投資」についてお話ししてきました。この連載を読んで会社の確定拠出年金や個人の証券口座で投資を始めようと思う方がいればとても嬉しいことですが、実際に投資をする場合、知っておかなければならないことがまだあります。分散投資、長期投資、積立投資などはあくまで総論的な話で、野球にたとえるなら、ポジションごとにどのような人を配置すればよいか(分散投資)、または、一試合だけで見るのではなく全シーズンを踏まえて作戦を立てよう(長期投資)といった非常にハイレベルの意思決定です。

 実際の試合では対戦相手の特徴を踏まえたうえで細部を詰め、例えば、なるべく点を取らせない作戦でいくのか、それとも打撃戦に持ち込むのかなどを考える必要があり、資産運用にも同じことが言えます。そこで、今回からは資産運用においてオヤジ世代の皆さんのそれぞれの目的を達成するためにどのような戦略を立て、それを遂行すればよいのかといった実践ノウハウをご紹介します。

資産形成で重要な三つのポイント

 上手に資産形成を実践するうえで重要なのは主に、(1)目的に合った投資をする、(2)年齢によって投資の仕方を変える、(3)投資を計画通りに進める、の三つです。今回はまず、(1)の「目的に合った投資をする」についてお話しします。

 目的に合った投資の仕方を判断する基準は、「投資期間」と「目標」です。投資期間は1年程度の短期か、10年超の長期かということで、目標は資産を殖やす、もしくは守るといったイメージです。一般的には、「短期で守る」場合は市場変動の影響を受けにくい低リスク・低リターンの運用が適切で、「長期で殖やす」場合は高リスク・高リターンの運用が適しています。

老後資金の運用に適した投資の仕方

 では、これを踏まえ、退職後の生活資金を準備するという目的のために運用する場合について考えてみましょう。これまで何度も述べてきましたが、今の日本は65歳の男性の4人に1人がさらに25年以上、つまり90歳まで生きる世の中になっています。4人に1人というのは誰にでも起こり得る確率であるため、老後資金の準備は90歳までが一つの目安になります。運用というと給与所得がある定年までと思われがちですが、保有する資産の運用という意味では今50代でも30年以上の期間があるので、投資期間は当然、長期となります。

 一方、運用の目標は資産を殖やすことか、それとも元本割れしないよう守ることでしょうか。従来は、老後資金については準備段階においても、その後の引き出し段階においても、守りの運用が好ましいと言われてきました。しかし、問題は資産を何から守るのかという点です。市場変動の影響から守りたいのであれば、確かに預貯金が適切ですが、預貯金はインフレに対しては無防備です。デフレ脱却を目指すアベノミクスによって2%のインフレが実現し、それが安定的に30年継続する場合、資産は実質ベースで45%も目減りしてしまいます。たとえ元本割れしなくても、これでは資産を守れたとは到底言えず、実際には資産を少なくともインフレ程度に殖やさないと、生活水準は維持できません。

 また、元本割れを恐れて保守的な運用をしていると、90歳まで生きることが珍しくないこの国では、老後の生活資金が途中で底をつく可能性が高くなります。これは「長生きリスク」と呼ばれ、老後資金の運用においては「インフレ・リスク」と同様、考慮しなければならない大きな要素です。

 このように、インフレ・リスクと長生きリスク両方の視点から考えると、老後資金の運用は殖やすことが目標になります。一方、50代のオヤジ世代にも十分な時間があるため、投資期間は長期となり、「長期で殖やす」高リスク・高リターンの運用という従来とは真逆の答えが正解となります。

 とはいえ、大事な老後の生活資金を減らしたくないと思うのは当然で、行動ファイナンスでも損失から生じる苦しみは利益からくる喜びよりも2.25倍大きいと言われ、市場変動リスクを避ける保守的な運用になるのも無理はありません。しかし、大事な老後資金だからこそ、何のリスクに対応する必要があるのかを冷静に考えなくてはなりません。市場変動リスクだけではなく、前述のインフレ・リスクや長生きリスク、そして退職までに十分な資産を形成できない「貯蓄不足リスク」などのバランスを取ることによって、目的に合った効果的な運用を行う必要があるということです(ただ、この高リスク・高リターン運用をずっと続けられるかというとそうではなく、年齢に合わせた調整が必要となるのですが、それについては次回お話しいたします)。

 ここまでは退職後の生活資金について考えてきましたが、運用する資金はそれだけではありません。オヤジ世代の皆さんの中には、子供たちが巣立つ時期に差し掛かり、数年後に迫った退職後のライフスタイルに合うように自宅の改修を考えている人もいるかもしれません。そうした資金を運用する場合、殖えたら豪華に改修し、減ったら質素にするという人はあまりおらず、予算をある程度固めてその範囲内で改修するのが普通だと思います。資金の準備期間は長くてもせいぜい5年程度でしょう。

 この場合、資金が減ったら改修計画に大きな影響が出ますし、5年程度ではインフレの影響もあまり大きくないため、「短期で守る」低リスク・低リターンの運用が適切だと思います。

 このように資産運用の目的が何なのかによって、投資の仕方は大きく変わりますので、実践する前に、目的に合った戦略を練ることが大事になります。

今回の川柳
目的を 定めてしっかり 資産運用

※本記事中の発言は筆者の個人的な見解であり、筆者が所属するアライアンス・バーンスタイン株式会社の見解ではありません。


03. 2013年10月03日 03:17:57 : niiL5nr8dQ
【第5回】 2013年10月3日 杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
乱立する高級コンドミニアムに乱れ飛ぶ札束!ミャンマー不動産購入のリスクとバブルの真相
 不動産投資は、海外における詐欺の定番の一つといわれて久しい。そもそも外国人には不動産が取得できないにもかかわらず、あたかもできるかのように語り、その上で投資資金を巻き上げるのがよくある手口だ。
 ミャンマーの不動産市況が高騰している状況について、前回ご紹介した。ヤンゴンの不動産市況が高騰する中で、ミャンマー不動産への投資を謳うサイトをよく目にする。
 しかし、そもそも外国人である日本人が、ミャンマーで不動産を取得することが可能なのか。
 今回は、そのミャンマーで、外国人である日本人が、実際にどのような形で不動産投資を行うことができるのか、また実際の現地のコンドミニアムの販売の現場から、なぜこのような高騰した市況が生じているのかについて考えてみたいと思う。
全ての土地は国が所有者と規定
そんなミャンマーで土地売買は可能か?
 日本ではそれなりの金額がかかるが、個人で普通に土地を買うことができる。それが当たり前のように頭にしみ込んでいるので、あたかも海外でも同じように思いがちだ。ただ、ひとたび国外に出ると、そもそも土地は誰が保有していて、その結果何ができるのかを確認するところから始める必要がある。はたしてミャンマーではどうだろうか。なお、今回、ミャンマーの不動産関連の法制度の記載については、TMI総合法律事務所ヤンゴンオフィスの堤先生にご協力を頂いた。
 ミャンマーでは、憲法(Constitution of the Republic of the Union of Myanmar, 2008)において、全ての土地は国が所有者と規定されている。(37条a項)従って、個人や企業が土地を所有することは認められていない。
 ところが、現在ミャンマーで、ミャンマー人の間での土地の売買が話題になっている。どういうことか。これは、国は個人や企業に対して、土地の使用権を付与することが可能とされていて、よく言われる「土地の売買」というのは、あくまで「土地の使用権の売買」を指しているのだ。
 土地の使用権には、その用途や、利用料の支払い、譲渡が可能か等の観点から、複数の種類が存在し、その類型分けには諸説存在する。代表的な区分として、賃貸借権(Leasehold)、一時使用権(License)、所有類似の自由土地保有権(Freehold)等がある。その中にも、どのような用途に使ってよいか等の観点から、より細かなくくりがある。特に商業用途に使える土地やそうでない場所等が、タイプごとに分かれているので、個別の土地ごとに何に使えるのかを確認する必要がある。
 土地を使用する場合は、政府機関から許可を得るか、賃貸契約を締結するなどの方法で、土地を利用することが可能になる。例えば、ヤンゴンの場合、土地の上に建物を建設して利用しようとしたら、ヤンゴン市開発委員会(Yangon City Development Committee, 通称YCDC)から許可を取得する。
日本人は、何ができて、
何ができないのか
 ただし、上記の話は、ミャンマー人の場合だ。外国人に対しては、事情が異なる。
 日本人は、ミャンマーの不動産関連について、何が可能で何ができないのだろうか。外国人の不動産関連の規定で重要な法律は、不動産移転制限法(The Transfer of Immovable Property Restriction Act, 1987)だ。
 この法律によって、外国人または外国企業は、不動産を取得または処分することができないとされている(同法4条)。この場合の不動産とは、土地に加えて、土地の上に建設・設置されたものも含まれる。また外国企業とは、外国人が1株でも会社の株式を保有している場合は、他のすべてが現地の株主でも、基本的に外国企業とみなされる。(注)
 また、取得禁止に違反した場合は、3年以上5年以下の禁固及び対象不動産の没収がなされる(同法11条)。なお、この規定では、売主・買主双方が処分の対象となっているとされている。
 賃借に関しては、同法第5条において、1年間を超える外国人の不動産の賃借を禁止している。これも、賃借制限の違反には、賃貸期間全体の賃料の3倍を超えない罰金と、対象となる不動産の没収がなされる旨規定されている(同法12条)。この規定があるため、通常現地で賃借の契約は1年ごとに更改することになり、今のような価格上昇局面だと、都度、賃料の上昇圧力にさらされることになる。
 工場の設立などでは、間違いなく1年間以上の不動産利用を前提に事業を開始する。その場合、1年ごとに不動産利用が継続できないリスクがあると、落ち着いて事業ができない。このような場合には、外国投資法に基づく投資許可を取得し、その過程において長期土地利用に関する許可も取得する。または、経済特区における投資を行い長期土地利用の許可を取得する。下記の表に、これまでの話をまとめて整理する。

(注)この点については、不動産移転制限法上は外国会社の定義は過半数の株主が外国会社の場合とされているが、実務上は会社法の場合と同様に1株でも外国人が保有している場合には外国会社として取り扱われており、あくまでも実務上の取扱という点にご留意頂きたい。
横行する名義貸しによる不動産取得
成立が待たれるコンドミニアム法
 東南アジアの他の国でも、基本的に外国人の不動産所得に何らかの制限を課している国が多い。特に多いのが、土地の取得に対する制限だ。ミャンマーでも、上記のとおり、基本的には現時点において、外国人は不動産の取得ができない。
 ただ、世の中には、あたかもミャンマーで普通に日本人が不動産の取得を行えるかのように思っている人も多いし、またそれを助長するかのような説明があったりもする。先日も、大手上場会社の海外進出担当者から、真顔で「ミャンマーでは不動産は買えると聞いたのですが……」との質問を受けた。
 また、よく言われるのが、ミャンマー現地人からの名義借受けによる不動産の取得だ。
 後程述べるような、代表的な現地の分譲コンドミニアムの売り場に行くと、現地の販売員がことなげもなく、「外国人の方も結構お買い求めになっています」と言ってくる。なかには、「外国人で一番買われているのは日本人です」と言ってくるときもある。
 実際こうした手法での取得は、法的には問題があるのだが、最近のミャンマーでの不動産価格の高騰も相まって、横行しているのも実態のようだ。
それでは、名義貸しによる取得では、何が実務上問題になるのだろうか。現在行われている名義貸しが、どのような前提で成り立っているのか。それを理解するためにまず見るべき法律が、現在国会で審議中のコンドミニアム法だ。
 コンドミニアム法とは、特に都市部の住宅事情の改善を図るべく良質なコンドミニアムの建築を促進するため、そのために必要な行政プロセスの明確化し、かつコンドミニアムの所有や移転にかかる権利や手続き等を明確化することを目的とした法律である。現状の草案ベースでは、10章45項目で構成されている。
 前述のとおり、現在は国会で審議中であり、この内容については今年中に決定されるとの見方もある。一方で、昨今の不動産価格の高騰から、外資の更なる市場への参入を避けるために意図的に決定を遅くしているとの見方もあり、いつ最終的に確定するのかは現段階では不明である。
 ただ、この法律ができることにより、コンドミニアムの所有が外国人や外国企業にも法的に許諾されることになるため、多くの外国投資家がその期待感をベースに現在投資に向けて動いている状況である。今後、現状の草案から変更が加わることが予想されているため、その詳細については最終的に内容が固まった段階でご説明したい。
 現段階でポイントとして押さえておくべき点は、この法律が施行されることにより、外国人がミャンマーでコンドミニアムを取得することが公的に可能になることだ。裏を返せば、現在外国人が行っているコンドミニアムの取得は、公的な形での取得ではない。それでは、どのような建て付けで、現在外国人は、ミャンマーでコンドミニアムを取得しているのだろうか。
コンド法施行前に名義貸しで
購入する際の3つのリスク
 現地で現在外国人に対して高級分譲コンドミニアムを販売する際には、コンドミニアム法の施行後に、持ち分名義を変更することを前提として販売しているケースが多い。いわば、コンドミニアム法の施行後に正式な名義に変更する交換権を販売し、それまではその売主人名義で保有する形態だ。ただ、この方法におけるリスクとして、下記の3点が存在する。
 まず、仮にコンドミニアム法がめでたく施行され、それでは名義を変更しようとなった時に、本当に行えるのか。また、この物件に対してこのように名義貸しで取得すると言っている人間は、本当に自分だけなのかが不明であることだ。実際に名義貸しを行おうと思った際に、何らかの理由でそれができないと言われたり、また同じような権利を持っていると称する人間が複数出てきたときにどのように対応するのか。
 しっかりとしたデベロッパーや所在がしっかりした代理人が販売している場合は比較的問題がないかもしれないが、いざ名義を変更しようと思ったら、もうコンタクトが取れなくなっていた、というケースも考えられる。
 例えば、正規の販売代理店ではない人間が、販売権があると偽って販売しているケースもある。この場合はまさに詐欺に引っかかる最短ルートだが、あとで自分の名義に交換できないと抗議しても、現地の法制度が変更になったので等々言い逃れられるか、そもそもどこかに高飛びして、抗議する先もないことになる可能性は十分ある。
 2点目のリスクとしては、仮名義の取得権を売却できるかということだ。予定を変更して、コンドミニアム法の施行前に売却しようと思い、売主に買い取りを依頼しても応じない場合、第三者へ売却することを検討するだろうが、はたしてそのような交換権を売却することができるだろうか。本質的に所有しておらず、実際に何の法的な裏付けのない権利を売ろうとしても、はたして買い手がどこにいるだろうか。また売却する際にも、それを明確に規定した法律は存在しない。
 上記に加えて、最悪のケースとしてコンドミニアム法が施行されないことも全くないわけではない。そのため、上記のリスクと相まって、コンドミニアム法が施行されなくなった場合にこの持分交換権を売却しようとしても、法的に何の権利も有さない交換権に対する買い手は存在しないため、紙くず同然になるだろう。
 第3点目のリスクとして、このような交換権の取得は法的に明確に許諾された方法ではないため、万が一何らかの問題が発生しても、現地で訴えたりすることができないことだ。
 そこまでしてまでコンドミニアム法施行前に物件を取得するかは、あくまで個人のリスク判断ではあるが、このようなリスクがあることを存在して投資しているケースは、実際かなり限定的なのではないか。
 さて、こうしたリスクを認識したうえで、現地のコンドミニアム販売の現場を見てみよう。
1戸あたり平均約4000万円
1棟で40億円のカネが集まる
 ミャンマーの不動産デベロッパーには、インド系ミャンマー人が経営する会社がいくつかある。今回ご紹介するNaing Groupもその一つで、他にもYadanar、Fatherland等、大手の一角を占める会社がいくつか存在する。彼らの手掛ける物件の価格帯は中価格帯を中心としており、想定する顧客層としては、現地のミャンマー人をターゲットとしているようだ。
 Naing Groupは、1991年に現会長のU Kyaw Naing Ooが20歳の時に、建設事業で独立した時から始まる。その後、1996年に彼の兄弟と一緒に現在のNaing Groupのもとになる建設会社を創業し、数多くの建築プロジェクトにかかわってきた。その後、不動産開発を自ら手掛けるようになり、現在既にヤンゴン地域で21の住宅開発プロジェクトを成功させ、現在建設中または企画中の案件が14ある。近々の予定では、今年は6プロジェクト、来年は2プロジェクトの販売を予定しているという。
 現在グループ全体で約10社、グループ全体の従業員が、1400名を数え、それに加えて約5000名の熟練労働者を抱えている。同社の手がける物件を一同に揃えた販売センターの中にも、ざっと見渡しただけで、10近くのコンドミニアムの模型が飾ってある。
 現在販売中の物件は「Red Hill」と「East Race Court」。どちらも17階建てで、ともにスイミングプール、サウナ、ジムが付属している。Red Hillは約80戸、East Race Courtは90戸以上の販売だ。
 価格帯は、より高額なRed Hillだと、120平米の2LDK+Sで約3600万円程度、166平米の3LDK+Sで約5360万円だ。より安価なEast Race Courtでも、115平米の2LDK+Sが約2500万円、182平米の3LDK+Sが約4000万円する。
 通常これより高額なペントハウス物件がいくつかあるので、仮に1戸当たりの平均を保守的に4000万円と見積もって、一棟当たり100戸程度損際すると仮定すると、1棟全体で40億円程度の金額がこれらの住戸に投じられることになる。
 この会社だけで、今後年平均で5つ程度のプロジェクトがあるようなので、1社当たり年間で200億円程度の物件を販売することになる。このような規模の会社が、仮にヤンゴンに10社(これもかなり保守的な数字だ)あるとしたら、今後毎年2000億円規模のコンドミニアムの供給が、ヤンゴン全体でなされることになる。
 参考までに、不動産経済研究所の調べによると、昨年一年間で、埼玉県でのマンション販売総額は2146億円、千葉県では1515億円だ。ちなみに、販売員によれば、今回の2つの物件もそうだが、販売開始後の数ヵ月で基本的にすべて完売してしまうということだった。
すでに日本のマンションと同価格帯
多くが価格上昇を背景に売却利益狙い
 次に取り上げるCrystal Residenceは、高価格帯に属する高級コンドミニアムだ。これを手掛けるのは、Shwe Taung Groupという企業グループで、不動産開発や建設以外にも、貿易や物流、セメント、鉱山開発、エネルギー開発等を幅広く手掛けている。ただ、このような企業グループも、その創業は1990年とまだ23年程度しか経っていない。
 この物件の特徴は、まずヤンゴンで最大のショッピングセンターであるジャンクション・スクエアに隣接していること。この周辺は、ヤンゴンの中でも新しいトレンドが生まれるゾーンとして、高い人気を誇っている。
 また、この物件は、物件自体のデザインに加えて、販売センターのつくりからパンフレットのデザインにしても垢抜けており、普通の東南アジアの高級コンドミニアムとして見てもそれほど違和感がない。
Crystal Residenceのショールームにある模型と完成予想図
Photo:(株)アジア戦略アドバイザリー
 気になる価格帯だが、代表的なレイアウトの一つである173平米の3LDK+Sの部屋であれば、最上階の物件で日本円換算で6800万円相当になる。
 なお、ミャンマーのコンドミニアム販売の多くのケースで、日本と同様に複数回に分けて販売し、比較的低層から販売するケースが多い。高層になるにしたがって面積単価も高額になることから、売り上げの状況を見ながら、より価格帯を上げていくようだ。当然そこにある前提は、現状の不動産価格が一貫して上昇している市況と、それが今後も続くという将来予想があり、デベロッパー側からすると、より高額物件を更なる高値で販売しようとの思いがある。
 こうした高額物件を購入する人は、着工後すぐに購入し、しばらくして物件の完成前にその物件を売却して、手っ取り早く利益を確定するケースが多いという。
 この価格帯は、日本でいうとどのようなイメージなのか。2013年1月21日発表の不動産経済研究所による首都圏マンション市場動向に記載されている、首都圏での平均平米単価と比較してみた。驚いたことに、都区部には及ばないものの、おおよそ埼玉県や千葉県の平均的なマンションの平均平米単価と同水準にあることがわかる。
Crystal Residenceについては、居住可能面積とするためにグロス面積の80%を居住可能面積とした
一部の富が高級コンドに集中
典型的なバブル状態に突入
 では、一人当たりGDPが835ドル程度の国で、どうしてこのようなことが起こり得るのだろうか。
 それを探るために、すでに具体的に紹介した2つの物件だけでなく、複数の販売現場に実際に足を運び、顧客属性についてヒアリングを行なった。すると、不思議と答えにはそれほどばらつきはなかった。まとめると、以下のようになる。
(1)ミャンマーの高級コンドミニアムの現状の購入者は基本的にミャンマー人。約95%がミャンマー人で外国人はせいぜい5%程度。
(2)ミャンマーで現在高級コンドミニアムを購入している層の多くが、既に物件を過去に購入している。ヒアリングの結果、どの物件でも購買者のうち約60%が購入経験ありで新規購入者は40%。
(3)購入者の中の一定数が、完成前に売却していること。
(4)購入者の約70%が実際に住み、残りの約30%が投資目的の可能性が高い。投資目的取得者の割合は、最近どんどん上がってきている。
 ミャンマーでなぜこのような高額物件が飛ぶように売れているかのからくりは、一部の富裕層が物件販売直後に購入し、その後の不動産市況の上昇を織り込んだうえですぐに販売して利益確定したうえで、すぐにまた別の物件を買っているのがその一因だということが見えてくる。一部の富が、価格上昇を前提にぐるぐる不動産市場を回って価格を釣り上げており、これは典型的なバブルの構造だ。
 現地の不動産関係者は、「ミャンマー経済の閉鎖性と金融市場の未成熟さが、不動産価格高騰のもう一つの要因だ」と話す。
 ミャンマーでは過去に3度も廃貨が行われたり、国家による個人資産の簒奪が平気で行われてきたため、ミャンマー人は銀行や貨幣を信用せず、従って金や宝石等の現物資産で蓄財する傾向がある。一方で、証券市場が整備されているわけでもなく、また国外にはなかなか資産の持ち出しができないために、結果的に限られた対象資産にこのような富が行きがちだ。
 実際、2年ほど前までは、このような富の一部は中古車市場に向かっていた。その結果、日本では考えられないくらいの高い値段で高級中古車が取引されたりしていた。ただ、2011年9月に中古車の輸入規制を撤廃したことにより、中古車市場の価格が大幅に下落したことは記憶に新しい。その結果次の投資先として現在脚光を浴びているのが、不動産ということである。
ヤンゴンの富裕者の邸宅の一例
Photo:(株)アジア戦略アドバイザリー
 日本人はえてして、ミャンマーの一人当たりGDPの水準等から、ミャンマー人は皆貧しいとの認識を持ちがちだ。ところが、ヤンゴンのインヤ湖周辺等の高級住宅街では、日本では考えられないくらいの大きな邸宅が、数多く存在している。表層的な数値に惑わされて、ミャンマー人富裕層の資力を過小評価しない方がいい。
今後は政府による
不動産市況のコントロールも
 このような不動産市況の高騰は、既に実害を及ぼし始めている。知り合いのミャンマー人の何人かが、家賃が高騰して払えないから、郊外にオフィスを移転し始めている。
 注視しなければならないのがミャンマー当局が不動産価格高騰をどう見ているかだ。
 現地でヤンゴンでの不動産仲介、コンサルティングを手掛けるステイジアキャピタルミャンマーの鈴木氏によると、政府関係者内で、不動産価格のコントロールに対する意識が高まっており、何らかの形で価格の調整を行う必要性について議論が始まっているという。どうやら、当局も問題意識を高めているようだ。
 その手法がどうなるかは不明だ。過去に中古車市況を暴落させることもいとわなかったミャンマー政府であれば、必要となれば大胆な手法で価格の調整に動く可能性も否定できない。
 今回は、外国人にとって現状どの程度不動産投資が可能なのかを見たうえで、ヤンゴンにおける高級コンドミニアムの販売の現場から、現在の不動産市況高騰の要因を検討してみた。ミャンマー進出において、不動産業界に直接関与しなくても、何らかの形で不動産市況からは無縁ではいられない。今後もリスク要因の一つとして、注視していくことが必要だ。
http://diamond.jp/articles/print/42504

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