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株式日記と経済展望
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http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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金融資産1500兆円=借りた人の負債1500兆円=GDPの3倍。借りた人が、利払いと
返済が可能な額は、1000兆円=GDPの2倍 世界もGDPの3倍の金融資産と負債です。
2013年10月1日 火曜日
◆金融危機以降、 膨らみすぎた世界金融の行く末(1) 9月30日 吉田繁治
http://archive.mag2.com/0000048497/index.html
▼量的緩和が、5年後も、まだ続いているという異常(9月で5年)
米国FRBのドル増発(量的緩和第三弾:QE3)は、起こった金融危機に対する対策です。金融危機とは、金融機か抱えた不良債権の、大きさの問題です。
量的緩和は、08年9月の危機の5年後も、毎月、・国債を$450億(4.5兆円)、・不動産ローン担保証券(MBS:Mortgage Backed Security)を$400億(4兆円)、・合計で$850億(8.5兆円)買いながら、続いています。
中央銀行の量的緩和(=マネーの増発)は、その国の金融が普通の時は、決して行いません。インフレを生むためです。
【量的緩和の実行】
最後の貸し手である中央銀行がお金を出さないと、金融危機になるときに、銀行にマネーを供給するものが量的緩和です。逆から言えば、08年9月のリーマン危機以降の、米国の金融危機は、まだ続いています。
【公表されたバランスシートでは、回復だが・・・】
金融機関は、利益を出すようになって、利益の蓄積により自己資本を回復したと言われ、金融機関の株価も上がっています。金融機関は、公表されたバランスシートでは、全部、正常になっています。
「金融機関の資本の正常」が本当なら、FRB(連邦準備銀行)が、危機対策である量的緩和を続ける理由は、ないはずです。
(注)経済マスコミやエコノミストは、なぜ、こんな当たり前のこと指摘しないのでしょう。これも、不思議に思えます。
▼中央銀行は、量的緩和を続ける理由を言わない
量的緩和とは、
・金融機関の債券を中央銀行が買い上げ、
・金融機関に、決済に不足する現金を、供給することです。
中央銀行は、企業に対しマネーを供給することはしません。銀行に対して行う。銀行に行うことを、「経済に対して」と言っています。本当は「銀行に対して」としか思えないのですが・・・
米国の金融機関の、公表されたバラスシートに見れば、自己資本比率が10%以上にもなっています。つまり、厳しくなった新しいBIS規制(バーゼル3:自己資本比率11%基準)を満たすくらい正常化したのなら、FRBがマネー供給を続ける理由は何か?
なぜFRBは、毎月8.5兆円のドルを、金融機関に対して増発し続けているのか? 理由が分かりますか?
そしてなぜ、13年9月に、バーナンキの明らかな「ほのめかし」によって予定されていた量的緩和の縮小を、先延ばしにしたのか?
▼公式の理由を聞けば、笑うしかない
【0.02%の雇用という理由】
「13年8月は、雇用の増加が16万9000人だった。メドを20万人台の増加とすれば3万1000人少なかった。米国は、雇用の回復が十分ではない。・・・だからFRBは量的緩和を続ける」と言っています。これを聞いて「笑えました」。
FRBが雇用目標の達成に、金融政策によって、責任をもつというのが、まず、変です。雇用は、政府の責任でしょう。
次に、人口3億人の国で、その1万分の1の、統計誤差以下の3万1000人を問題にしたことです。
3万1000人は、全米の雇用総数1億5000万人に対し、5000分の1です。%で言えば0.02%でしょう。5000人のうちの1名です。5000人の会社の中の1名は、数時間で雇用が変わる数字でしょう。これより、雇用統計の、月次誤差が、はるかに大きい。ところがこれを理由に、量的緩和を続ける。こんなことが、本当の理由であるはずもないでしょう。
【住宅価格指数では、変動の大きな1ヶ月で0.6%と0.9%】
住宅価格の評価でも、実に、変です。
「全米20都市の住宅価格指数(ケース・シラー指数)は、13年7月は、前年比で12%上昇した。ただし前月比で見ると、指数の上昇は0.6%と前月の0.9%から縮小した・・・だから、住宅価格は弱含み。このためFRBは、住宅ローン担保証券(MBS)を、1ヶ月に4.5兆円、額面価格(100%)で買って、マネー供給を続ける」
住宅価格の前年比+12%は、大きな上昇です。ここに、月次で0.6%や0.9%という、これもまた「住宅価格のサンプル集計の統計誤差」に過ぎないように小さな、しかも1ヶ月の数字を挙げ、「FRBが住宅ローン担保証券を買い付ける」ための理由にしています。
(注)1ヶ月の価格は、統計誤差が大きい。
ここも、普通の読解力で読めば「変だ」と感じる点でしょう。
以上のように、雇用と住宅価格の、統計誤差より小さい数値を示し、「量的緩和の継続」の理由付けにするのは、隠れたところで「金融機関に危機が続いているため」と見ています。
【日銀が、戦後はじめて、金融危機対策とした量的緩和】
「量的緩和:Quantitative Easing」は、世界で最初に、日銀が2001年3月〜2006年3月まで、国債を買って、金融機関に現金を振り込むという形をとって行った通貨の増発策でした(金額は約80兆円)。
資産の中の、200兆円規模の不良債権によって、資金が不足していた金融機関(金融システム)に、現金を与えることが目的でした。これを、戦後はじめて、大規模に行ったのが日銀です。
その後、08年9月のリーマン危機のあと、米国FRBと、欧州ECBも、日銀がはじめた「量的緩和:Quantitative Easing」を踏襲しました。
それまで、量的緩和という言葉も方法も、普通のものではなかったのです。
■1. 増え続ける金融資産は、次の不良債権危機の準備である
最初に、骨子を、端的に示します。
▼金融資産が増えるから、債務危機になる。
ここではまだ、「金融資産が増えるから、債務危機になる」と言えば、それは変なことに思えるでしょう。
これは、「Aさんの金融資産=Bさんの負債」という金融資産の構造から来ます。
例えば、銀行への預金が増える。これは、預金という金融資産の増加です。預金が増えた銀行は、貸付を増やすか、国債などの債券(債務を証する証券)を買います。つまり、誰かの負債が増える。
金融資産は、どこまで言っても、「金融資産=金融負債」という構造をもつものです。
◎このため、世帯の金融資産(個人金融資産)が増えた分、誰か(別の個人、企業、政府)の負債が増えます。国内で増えない時は、海外で貸付を増やす。
▼金融資産が増え過ぎた結果が、不良債権と金融危機
金融資産が増えることによって、負債が大きくなり過ぎると、借りた人(個人、企業、政府)が、利払いと返済ができなくなります。
借りた人(住宅ローン、企業借入、国債)が利払いと返済ができなくなれば、負債は不良債権化します。
●この不良債権化が意味する本当のことは、金融資産も、不良債権と同じ額、減るべきだということです。
負債は、借りた人(個人、企業、政府)が利払いと返済ができる金額の価値しかもたないように、減るべきものです。負債を払えない人は、払えないから、金融資産の価値が減らねばならない。
金融資産1500兆円=借りた人の負債1500兆円=GDPの3倍。借りた人が、利払いと返済が可能な額は、1000兆円=GDPの2倍
(注)以上は日本ですが、世界もGDPの3倍の金融資産と負債です。
以上なら、金融資産の実質額は、本当は、1000兆円です。
500兆円分、負債者が利払いと返済ができないなら、それは、金融資産としては無価値です。
金融資産が減ることによって、負債の価値(=金融資産の価値)が保たれる。これが金融です。
金融とは、お金を融資する(貸す)ことです。貸したお金の価値は、借りた人が返済と利払いができないと、無価値です。これが「お金を、融(かす)こと=金融」です。英語ではFinance(=融通)・・・・・
(私のコメント)
安倍内閣がいよいよ8%に消費税を上げるようですが、瞬間風速的な景気指標で上げていいものでしょうか。来年4月までの駆け込み的な需要は上がるでしょうがその後が怖い。本来ならばアメリカ並みに株価が新高値を取って、不動産もアメリカ並みに12%も上昇していれば問題はありませんが、株価も土地価格も低迷状態では来年4月以降の消費は確実に減る。
政府日銀もアメリカ並みに日銀が銀行の不良債券をじゃんじゃん買っていれば銀行もダメージが低くて済んだはずだ。日本のマスコミはアメリカの政策については批判をしません。それに対して日本政府の政策に関しては、FRBと同じようにしようとすればバブルの再来だと批判をしたから金融緩和が20年も遅れてしまった。
それくらいアメリカのFRBのやっている事はモラルハザードを招きかねない事なのですが、だれも批判していない。紙切れ同然の不動産担保証券を買いまくっているのだから銀行は不良債権を売って資産は正常化してる。その分FRBに不良債権が貯まっていますが、FRBが信用不安になったらどうなるのでしょうか。
そこまでして金融緩和を継続するのは、昨日も書いたように世界経済に大きな影響を与えるからですが、FRBに不良債権を売って得た金融機関のマネーが新興国に投資されている。その新興国のドル建債が再び不良債権化しようとしていますが、それもFRBが買うのだろうか? そんな馬鹿な事をするはずがありませんが。やはりダメな銀行はつぶすしかないのでしょうか。
堅実な銀行や金融機関は、リスクのある融資はしないものですが、アメリカの投資ファンドはレバレッジをかけて集中的な投資をする。だから調子がいい時は高い利回りでファンドマネージャーは億単位の年収を得ますが、ファンド運用に失敗しても首になるだけで後始末は国の公的資金で救済される。オバマ大統領は80兆円も公的資金をつぎ込んだ。これは国民の税金です。
このような金融緩和でアメリカの経済は一見健全に見えますが、金融緩和を打ちきれない隠れた理由があるのだろう。それに対して日本の金融緩和は国債の買いオペによるものでありアメリカの金融緩和とは半分は国際ですが半分は不動産ローン担保証券という不良債券です。その中にはサブプライムローンの入った証券も入っており露骨な銀行救済策です。
そうでもしなければ銀行が10%の自己資本を回復できるわけがない。日本は不良債権の処理を銀行に押し付けたから受けたダメージは大きく、アメリカの金融機関が日本の銀行を買い占めようとした矢先にリーマンショックが起きて日本買占め戦略はとん挫した。むしろ三菱がモルガンを救済したように逆になりましたが、「神の手」は正義に味方する。
日本の銀行は自力で不良債権を処理したから、金融緩和してもなかなか融資を拡大はしませんが、アメリカはFRBが不動産担保証券を買って不良債権を処理してくれたから、金融が緩和されると投資ファンドに融資をして株や新興国への投資を拡大した。不良債権を作ってもFRBが買ってくれるのだから、強気に投資を続けている。
これに対して日本の銀行は国債一辺倒であり、アメリカの銀行のように投資ファンドに金を貸したりはしない。不動産の値上がりも不動産ファンドに金が流れているからですが、まさにバブルの再来を行っている。バブルのつけはバブルで返すやり方がアメリカのやり方なのでしょう。
日本のやり方が縮小均衡であり、アメリカのやり方が拡大均衡であり、デフレで均衡を図るかインフレで均衡を図るかの違いですが、吉田氏が指摘するように負債総額にも物理的な限度があり、GDPの三倍も負債が膨らめば利払いができなくなり不良債権化する。日本のように20年もかけて総債務を縮小させていくべきか、インフレで債務を縮小させていくべきか見方は分かれる。私自身はインフレで総債務の縮小論者ですが、日本にはインフレの原動力となるような投資ファンドが少ない。国民性の違いがそうだからなのだろう。
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