02. 2013年10月02日 00:53:42
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韓国、「増税なき福祉」の公約はなかったことに?2013年10月2日(水) 趙 章恩 朴槿恵大統領を当選に導いた決定的公約――65歳以上の老人に毎月20万ウォン(約1.9万円)の基礎老齢年金を支給する――がなかったことになりそうだ。韓国のメディアは9月23日、一斉にこう報じた。朴大統領が公約した基礎老齢年金は、財源が不足のため、65歳以上全員ではなく低所得層を中心に選別して支給する方針に変わるという。 朴大統領は2012年12月の選挙運動期間中、次のように公約した。 「増税なき福祉拡大は可能だ」 「国民年金に加入していなくても高齢者が年金で生活できるよう、現在9万4600ウォン(約9000円)の基礎老齢年金を20万ウォンに増額する」 「基礎老齢年金は65歳以上のすべての国民に支給する」。 基礎老齢年金は、地上波テレビが中継した大統領候補のテレビ討論の中で、朴大統領が最も強調した公約である。野党候補らが「基礎老齢年金の財源は確保できるのか」と質問すると、朴大統領は「私が国民に選択してもらえれば(大統領になれば)実行します」と答え、高齢者から高い支持を得た。地上波放送3社が大統領選の投票日に実施した出口調査によると、50代は62.5%、60代以上は72.3%が朴大統領を支持した。 与党であるセヌリ党のファン・ウヨ代表は9月24日、ラジオ番組に出演し、こう釈明した。 「65歳以上全員に支給するというのは国民のみなさんの誤解。65歳以上の低所得層に最大月20万ウォンを支給するというのが公約」 「国家財政の範囲内で、生活が苦しい高齢者から段階的に支給するという意味であり、公約破棄ではない」 これに怒った人々がネット上で、大統領選挙当時、「65歳以上全員に月20万ウォン支払う」と宣伝したセヌリ党の資料やセヌリ党議員のTwitterのつぶやき画面をキャプチャーして証拠写真として投稿。大騒ぎになっている。 基礎老齢年金以外にも、高い支持を得た福祉公約がいくつかある、国家予算を管理する省庁の企画財政部は、これらについても財源不足を理由にすべて守るのは難しいとしている。共働き家庭を支援するため5歳までの保育費を無料にする、癌・心臓疾患・脳血管疾患・難治病の4大重症疾患治療費の全額を国が負担する、大学の授業料を半額にする、といった公約だ。 「大統領が公約を守れないのは仕方ない」とアピールするかのように、韓国企画財政部(部は省)は9月24日、韓国政府の国家債務の額を明かした。国の借金は500兆ウォン(約47兆円)近い。借金の利払いだけで史上最高の年間20兆3000億ウォン(約1.9兆円)になった。 中央政府予算の7.7%を、利子を支払うために使っているという。予算に占める利払い費用の割合は2006年以降6%台を維持していた。しかし、2013年は追加予算のため国債を大量に発行したので、利子負担が拡大した。利払い費用20兆3000億ウォン(約1.9兆円)のうち18兆1000億ウォン(約1.7兆円)が国債の利払いである。 この中央政府の利払い費用は、公務員年金・軍人年金・国民年金充当負債、公共機関の負債は含んでいない。企画財政部の資料によると、これらの年金や公共機関の負債まで含めると、2012年末の公的負債総額は1410兆7000億ウォン(約131兆円)で、同年の国内総生産(GDP)1272兆ウォン(約118兆円)を上回る。地方自治体の負債を含めれば、この額はさらに膨れ上がる。 保健福祉部の推定によると、基礎老齢年金を65歳以上全員に月20万ウォンを支給するとなれば、2014年には6兆ウォン(約558億円)の予算が必要となる。2020年には26.4兆ウォン(約2.5兆円)、2040年には161.3兆ウォン(約15兆円)、2060年387.4兆ウォン(約36兆円)と額は膨らむ一方だ。 少子化で生産人口が減り続けている中、韓国の国家財政では負担しきれない金額である。朴大統領は当初、国民年金の積立金を利用して基礎老齢年金を支給する予定だった。しかし、20〜40代の国民年金加入者から猛反発に遭い、この積立金には手が付けられなくなった。 守れない公約で当選するのは詐欺? 朴大統領の基礎老齢年金公約修正に関する記事のコメント欄には1300件以上のコメントが書き込まれた。「高所得層の高齢者にまで基礎老齢年金を一律支給するのはおかしい。低所得層に支給するだけで十分」と、国の財政事情に理解を示す意見もあったが、どうして守れない公約をしたのかと批判する意見が多かった。 「個人や会社は嘘をついて利益を上げると詐欺罪になる。守れない公約をして当選した場合、詐欺にならないのだろうか」、 「テレビ討論会で堂々と基礎老齢年金の財源の心配はないと主張したではないか。信頼を大事にする大統領じゃなかったの?」 「国会議員、市議員らの給料を減らせば十分実現できる公約。景気の悪化を受けて、他の国の国会議員は自ら給料を削減している。なのに、韓国の政治家は自分たちの利益しか考えない」 「政府の選択は仕方ないと思う。でも最初から実現するのは無理だと分かっていた公約を掲げたことの責任は取るべきだ。そうしないと次の選挙ではどの候補もみんな守れもしない公約を掲げるだろう」 根本的な年金改革につなげてほしい 野党の民主統合党と正義党の代表らは、朴大統領が公約を破棄したとして猛烈に非難している。 「朴大統領は選挙戦で、基礎老齢年金について高齢者に向かってあれだけ強く約束した。それを破棄するというのは、『民生を諦めると宣言した』と受け止めるしかない」 「野党は大統領選挙の当時から、現在の国家財政事情では65歳以上全員に基礎老齢年金を支給することはできないと指摘してきた。自分が大統領になれば解決できると言っておいて今さら財源がないことを理由に年金支給額を値切るなんて、あり得ない」 「朴大統領は口を開ければ民生が大事だと言いながら、無償保育、大学授業料半額、4大重症疾患国家負担、高校無料教育といった民生政策をすべて覆した。朴大統領の福祉公約はすべてうそだった」 「基礎老齢年金の公約を守らないのは、福祉に対する国民の熱望を悪用した公約詐欺、選挙詐欺である」 朴大統領は就任後何度も「公約は修正しない」「公約をすべて守るのが国民への道理」だと発言した。 韓国の高齢者にとって、たった月20万ウォンではあっても、基礎老齢年金に対する期待はとても大きかった。韓国では猛スピードで高齢化が進んでいる。40代後半でリストラに遭い、20年近く所得も年金もないまま高齢者になった人たちは、家を売って生活費に充てようしている。しかし、不況で家は売れず、住宅ローンの返済に苦しみ、立派な家はあるが生活はとても貧しいハウスプアに転落している。 韓国の財政事情からして、朴大統領の福祉公約は修正せざるを得ない。大統領に就任してまだ1年も経たないうちに、最も核心的な公約を守れなくなった。朴大統領は自分に投票した高齢者らを納得させることができるだろうか。今回の朴大統領の対応が、基礎老齢年金の支給額縮小で終わることなく、超高齢社会に向けた根本的な年金改革につながることを願う。 このコラムについて 日本と韓国の交差点 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?
JBpress>海外>アジア [アジア] ブンブンドリンクに走る韓国の悲しい学生たち 熾烈すぎる競争社会が生んだ世にも恐ろしい飲み物 2013年10月02日(Wed) アン・ヨンヒ 韓国の宴会文化で「爆弾酒」があるのは知っている人が多いことだろう。爆弾酒とは、ビールを注いだコップにウイスキー入りのショットグラスを入れて飲むお酒のことだ。ビールとウイスキーが混ざって泡を噴くので爆発したように見えるということで名づけられた。 軍人が発明した爆弾酒 爆弾酒 その起源については諸説あるが、軍人たちが相手を早く酔わせるために作ったというのが定説である。
1980年代に登場したこの爆弾酒は韓国の宴会文化に欠かせないものとなり、それを知っている日本の商社マンなどでお酒に弱い人は韓国人の宴会のお誘いを恐れたりもする。 1980年代から今日まで爆弾酒は焼酎、清酒、マッコリ、ワインなど、様々なお酒と混ぜることで、いろいろなバージョンを作り出した。そこへ最近新たに栄養ドリンク類を混ぜる爆弾酒も登場した。2010年からエナジードリンクが清涼飲料水として販売され始めたからである。 レッドブルなどのエナジードリンク剤が普及し始めたのと時を同じくして、韓国の中高生たちの中ではやり始めた飲み物がある。一名「ブンブンドリンク」または「ブンブンジュース」。 ブンブンドリンクは、ブンブンという空を飛ぶ時のオノマトペと外来語のドリンクを合成した造語である。 ネットでは、「ブンブンドリンク」の作り方も紹介されており、中高生の間では試験期間中に一番多く飲まれているという。別名「ソウル大ドリンク(ソウル大学は日本の東京大学に当たる、国立の名門)」とも言うらしい。 実際、2011年ソウル大学内で「ソウル大の学生たちの日常」という展示会でブンブンドリンクが展示されたこともある。 ブンブンドリンクのポピュラーな作り方は、韓国の代表的な栄養ドリンク剤である「バッカス(オロナミンCのようなもの)」2本とレモナ(レモン入り顆粒)2袋を混ぜたものだ。 バックスにはコーヒーの5倍ものカフェインが含まれており、バッカスの瓶のラベルには15歳未満は飲めないと書かれている。さらに、15歳以上1回につき1本(100ミリリットル)、1日1回と書かれている。 だが、ネットの説明によると、ブンブンドリンクの基本はバッカス2本だ。 また、ブンブンドリンクも多岐にわたっていて、バッカス(2本)とレモナ(2袋)を混ぜる基本型から、バッカス(2本)とポカリスエット(1本)を混ぜるもの(バカリスエット)、バッカス(2本)とポカリスエット(1本)とレモナ(2袋)を混ぜたもの(ブンブンドリンク・グレート・スエット)、バッカス(1本)とウォンビーD(1本)とレモナ(3袋)を混ぜたもの(ハイパーポーション)などがある。 不眠、不整脈、動悸、呼吸困難が生じることも ブンブンドリンクのレシピ 実際にレシピ通りに作って飲んでみた人たちの話によると、10時間ほど目と頭が冴え、20時間ほどは眠れないまたはゾンビ状態になるという。
昨年、カフェインの割合が高いこの飲料の深刻さに気づいたマスコミは一斉に「ブンブンドリンク」の危険性について報道した。ブンブンドリンクを多用する場合、不眠、不整脈、動悸、呼吸困難などに陥りやすいということだ。 だが、これらがはやる背景の裏には、眠気を我慢しても勉強しなければならない受験生たちの悲しい現実がある。 韓国の大学入試制度は毎年のように変わり、受験生たちを翻弄する。寝る間も惜しんで勉強を強いられる受験生たちはコーヒーだけでは物足らず、もっと覚醒できる何かを探し求めた結果、彼らなりに滋養強壮とカフェインを取り混ぜたものを開発したのだ。 また、大学に入ったからといって、すべてが終わったわけではない。 YTNのニュースによると、最近の大学生の基本スペックは、大学の成績はGPA(Grade Point Average)で3.5〜4.0、TOEICは900点、そしてTOEICスピーキングはレベル7だという。これに付け加え、会社のインターンシップの経験、各種の外国語学習、各種コンペの参加まで、ありとあらゆるスペックを積んでいる。 こうしたスペックを積むため、休学を繰り返す大学生も少なくない。それなのに、最近の会社の人事たちはスペックが高いばかりで、使い物にならない大学生が多いので、今度はストーリーを作れと言う。 あるサムスンSDSの人事部の人は、大学生向けの講演で就職するためには自分だけのストーリーを作る必要があり、そのために自叙伝を書くことを勧めていた。 スペックを積むことやストーリーを作ることも若者にとって大事かもしれないが、そうしたことをするために多くの青年たちはストレスを受け、それを解消するためにまたブンブンドリンクを飲む。 ほとんどの人たちはテレビや新聞、ネットなどでこうしたブンブンドリンクの危険性を見聞きしているので、体に悪いことぐらいは知っている。 痛いからこそ青春なのだ 特に、ブンブンドリンクを飲んだことのある人たちは、ちょっとは眠気覚ましになるが、翌日はもっとひどい疲労感があるということも十分承知している。それでも、彼らはブンブンドリンクを作る。 2010年に出版され韓国でベストセラーになった本の題名は、「痛いから青春だ」。そうだ、青春の真っただ中にいる人にとって青春は決して美しいものでもなければ、輝いているわけでもない。 ただ、青春を過ぎてしまった人たちが、青春は美しいものであったと言うのである。ブンブンドリンクを飲まずにいられない韓国の青春は痛々しいものだ。 ブンブンドリンクのことを書いているうちに、ある大学生から情報をもらった。「うちの大学ではブンブンドリンクを売ってます」と言う。 「yaという商品名で、それを飲むと夜眠れなくて試験期間中に1本を3回ぐらいに分けて飲むと、3日間大体朝の4時ぐらいまで寝なくても平気だから、試験期間中よく飲んでます」とのこと。 ブンブンドリンクは、レッドブルやモンスターなどエナジードリンクのようなものなので、彼らは眠気覚ましの効能と体に良さそうな成分とカフェインが含まれている飲料のことをブンブンドリンクと認識しているらしい。 それとも、yaはブンブンドリンクの流行に便乗して出てきた商品なのか。 仕事に追われて寝る間が惜しいときは、一度ブンブンドリンクをお試しあれ。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38835 |