13. 2013年10月04日 15:37:36
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2010/07/04 トークイベント菊池英博×岩上安身『財源はいくらでもある!消費税増税反対!緊急国民財政会議』 〖天下の愚策 消費税増税 〜特別蔵出し〗会員以外の方へも10月6日まで公開! 7月4日、経済アナリストの菊池英博さんをお招きして、「財源はいくらでもある!消費税増税は反対! 緊急国民財政会議」というトークイベントを開催しました。 本来なら正確に文字起こしをしてからアップするところですが、財務省に「調教」された新聞・テレビなどの記者クラブメディアは「消費税増税やむなし」という翼賛報道、論評一色で埋めつくされ、菅政権も自民党と足並みをそろえて、「自民党の『消費税率10%』を参考に参院選後にも消費税増税論議を開始する」と言い出す始末。言論界には既に官僚ファシズム支配が浸透しつつあります。
参院選の前に拡散を急がねばなりません。そのため完全な文字起こしではないけれども、有能な速記者の協力を得て、昨日の3時間にわたる講演録をここにアップします。拡散・コピペは大歓迎です。 危険きわまりない消費税増税に「NO!」を! ☮◓http://iwj.co.jp/wj/open/archives/7592 (12:55頃) 岩上 まず、ゲストのご紹介から。 二見伸明先生。先日のインタビューで衝撃的な発言。機密費では「女房のパンツまで官邸に付け回しをした」という事実。消費税増税にも批判的。 荒川章三さん。名古屋からいらっしゃった。税理士のお立場でご発言いただきたい。 13時少し前、菊池先生ご到着。Ust中継準備。 〜〜〜〜(13:04開始) 岩上 経済アナリストの菊池英博先生を紹介。お話をうかがったあと、質疑。 消費税の問題で、二見伸明さん。名古屋の税理士の荒川さんからご発言を。お二人はまたそれぞれの違う観点で。 岩上 今日のタイトルは『財源はいくらでもある! 消費税増税は反対! 緊急国民財政会議』 本当に気持ちとしては国民会議、全体に訴えかけたい。今、全部が足並み揃えて消費税増税キャンペーンをしている。 財務相が音頭。自民党も民主党も、「消費税は10%に」と言って恥じない。これが危険なものだという点に触れようとしないのはあぶなっかしい。戦時中の翼賛報道。まっとうな意見が通らない。 こうして話しかける機会、Ustを通じて拡散していくことは一縷の望み、救いである。 では本題へ。 民主党は、菅政権でガラっと政策を変えてきた。ひとつが消費税増税。 去年は、消費税は4年上げない、経済再建が先と言って鳩山さんが連立政権を樹立。 しかし、1年も経たず、マニフェストで消費税増税を全面に押し出す。 菅さんが言う、「ギリシャ」(のように危機になる)とは、実態は全く違う。 これはプロパガンダである。どう違うのか、日本は本当に財政赤字の危機なのか? 菊池 財政危機ということでギリシャの問題が出たが、最初、今日は『日本の財政についての正しい考え方』をきちっと話したい。 日本財政ほど歪曲されているものはない。 特別会計・一般会計、総債務・純債務もあるが、1995年発端、96年橋本財政改革の閣議決定から増税路線が。あれから15年経っているが、『国債の発行増による財政破綻』という『狼』は来ない。その時点から、財務相、自民党が日本の財政の判断を間違っている。 これが原点。 一時、小渕内閣でムードが変わったが、2001年小泉構造改革で緊縮財政・デフレ政策になった。 今日のポイントは、日本の財政に対して正しい態度を持つこと。続いて、それならば何が日本の問題なのか。 今日もTVで党首会談をしていたが、そこでも消費税問題の話が。また、明日(月曜)出る、東洋経済かダイヤモンドも消費税特集がある。 今、欠けているのは『税収が上がらない経済になったか』の分析。 では何を間違ってきたのか。 今日、テレビで菅さんが時効に対して間違っていると言った。これは正しい。 わたしは菅氏には、『民主党には(自公由来の)ハンディがある。そもそも税収が9兆円落ちた。小泉構造改革のツケから始まっている。このことをおっしゃるべきです。」と伝えている。それは本にも資料にも書いている。 菅さんは、『わかりました』と言った。 まず、税収が上がらない経済になった反省をしっかりする。 そこで対策が出てくる。今は『税収が足りない足りない、狼が来る』と怯えているのが現状。 日本のマスコミで印象的なのは2005年の郵政選挙。 あの時、9月4・5日にNYTimesの記者が、『日本のマスコミは韓国や台湾以下だ』と打電した。『日本は北朝鮮と同じだ』、と。このことは産経新聞にだけ出ていた。(会場笑い) なぜか産経にしか載らない記事がある。『日本は重債務じゃない』とか。 今週、7日の産経文化欄に、消費税反対の立場で、再生の伊藤元重さん(御用学者とされる)との対談が掲載される。日本はなぜ失敗したかをつかまなくては。それが原点。」 岩上 日本はそれほど本当に大きな赤字を抱えているのか?これは国民の借金と考えていいのか? 債務には、粗債務と純債務がある。〜『粗債務』ホワイトボードで説明。 菊池 英語では粗債務はGross。純はNetと言う。日本は粗債務ばかりが表に出る。 海外は粗債務で見る場合もあるが純債務も。特にオバマは純債務で説明している。 また、OECDでは粗債務と純債務の名目GDP比率が併記される。 また、日本ほどこの2つの差がある国がない。それが誤解の原点。配付資料に掲載している。 この話に入る前にちょっと全体像をお話。どうしてこんな税収が上がらない国になったか。 まとめれば、小泉構造改革のツケなのだが。ここには3点ある。 (1)『緊縮財政』 デフレが進んでいた。98年から進んだ。橋本財政改革ではデフレからの回復を潰した。 以来、名目GDPがずっと下がり続けている。 景気には、「消費者物価(新聞によく出る)」「GDPデフレーター」という2つの指標があり、後者が特に重要。 名目GDPとは、個人では額面給与、会社だと税引き前利益にあたるもの。 世帯の給与は100万円減っていて、これは長く、12年続いている。 ベースの考えとしては、菅さんと話した内容は変わっていない。そうした形で(長期的に)日本のデフレが進んだ。 そういうときに、緊縮財政。投資関係として公共投資、地方交付税交付金というこの2つをずっとカットし、2001年〜2009年で60兆円召し上げた。 内訳は公共投資13兆、後者47兆。 計算の仕方:よくある『前年比』という表現による認識だとあまり落ちていないが、実際、地方は累計でパンチを食らう。地方交付税交付金減少分は累計47兆もある。公共投資は13兆減。これでは、地方はゴーストタウンになる。 デフレで緊縮財政を絶対にやってはいけない。経済原則だ。 アメリカ大恐慌、日本も恐慌をそれで起こした。歴史を知っていればこんなことはしない。 (2)『金融三点セット』 時価会計、ペイオフ、減損会計。 時価会計は土地担保の際、地下が下がれば貸出はもっと下げる。 銀行とは与信行為でこういうことはせざるを得ない。国家の指示でもある。 フーバー大統領がこれで失敗し、ルーズベルトは『緊急銀行法』を発動。 時価会計は適用停止した。この条例が60年間。93年まで続いていた。 日本では、これをご存じない。 アメリカ人は、過去の経済の失敗をよく知っている。 アメリカは『フーバーは最悪』と小学校から教える。だから絶対にデフレにしない。 それと自己資本規制比率規制。 日本は4%と。銀行も自己資本規制比率で締め付けるなどという規定は海外にはなく、国内金融機関にそんな規制はしていない。 それで信用収縮が起こり、カネを貸せなくなる。 (3)『リストラデフレ』 2002年、労働法改悪。経営者が説明さえすれば自由に解雇できることに。 こんなの日本以外ではアメリカくらい。 戦前の日本でもそんなことはできなかった。組合活動は認められなくても企業の家族主義があった。これは特に、竹中さんでしょう。 日本社会の破壊を招いた。 以上、3つ。緊縮財政をデフレ下で行うなど論外。 さて、リストラデフレで非正規社員が増えた。 資料3枚目の右側真ん中にグラフ(図表14)がある。 雇用者における正規・非正規の推移。3人に1人が非正規。 非正規は年齢に関係なく年収200万、結婚もできない。安定した家庭が持てない。 少子化の基本は経済。経済モデルでも言えることがある。 日本郵政の調査によれば、35歳の正社員の結婚率は6割だが、非正規は3割。 これは2002年の小泉構造改革、労働法改悪の影響。 労働法については、与党三党で案を出し、臨時国会で通るだろう。郵政改革新法も。 社民党は政権を離脱したが、賛成はしているから。社民党の方にも何人もお会いしたが、真摯に日本の危機を捉えている。 人間性豊かな方々である。しかし基地では理想を通したいので、政権からは離脱した。 ただ、これからも案件ごとに賛成していくと思う。 繰り返すと、以上、税収が減った要因には3つある。 緊縮財政で経済疲弊、債務負担増加。 金融三点セットで貸出しにくくした。→亀井大臣の時に是正していた。これからもやるだろう。 リストラデフレ。皆さん、あまりおっしゃらないが。 こうして社会構造が崩壊したから税収が上がらない、その原点が議論には欠けている。」 岩上 今の諸費税増税議論は、税率を上げれば税収が上がる、という短絡的な議論になってい るが、橋本内閣では、税率を上げたものの、実際には税収は上がらず、かえって経済が疲弊、腰折れして、税収はダウンした。 さらに信用収縮が起こり、金融恐慌、倒産、世界に伝播する手前まで行った。 大あわてで政策転換をして、小渕内閣での大規模な財政出動をしたが、 かえってお金がかかった。 菊池 財政出動について。 『真水』(まみず)というネット金額と、事業規模というのは政府系金融機関、開発銀行など。公的機関からの貸出であわせて120兆円くらいあった。 真水で出したのは40〜50兆円ぶん。 しかしそれが原因で財政膨張が進んだという人がいるが大間違い。 2004年参議院予算調査室レポートがある。 2003年度までの財政支出で、120兆円、それによるGDPの押し上げ効果は100兆円。 それをしなかったらもっとひどかった。リチャード・クーさんや植草さんも言っている。 今度の(産経の)対談でもその話はする。 岩上 財政出動で回復したのはよかったが、小泉内閣でまた緊縮させた。 ではまた本題に戻って、菅さんがギリシャの次が日本と言っているが、違いが大きい。ギリシャの国債は、国内で賄えず海外8割。 かたや日本は預貯金も豊富にあり、ほぼ国内で消化できる。 これから先、貯蓄率が低下するという言い方もあるが、当面は消化できる。 そうした基礎的な条件の違いを勘案せず、単純に比較するのは一国の首相が言うべきことでない。 菊池 財政はともに赤字だが、違いは、 ☆ギリシャは対外債務国。借金生活である。国債を発行し、8割が海外で買われている。しかし日本は95%が国内消化。ここ大きな点、日本は対外的な債権国。267兆円の純債権を持っている。差し引いてこの額に。 また、それだけの額を海外に貸しているから、10〜15兆円の利息が収入に。ギリシャはその逆で、利息を支払っている。 ☆日本は貿易収支が黒字。所得収支(海外との配当、〜15兆円)が黒字。 ギリシャはこれは両方赤字。 所得収支や貿易収支の黒字はものすごく多く、外貨がふんだんにある。 だから、いかに国内の我々の日本経済のために使うか、だ。 わたしがいつも言っているのは、どうして日本人のために使わないのか? この10年使っていない。100兆円が召し上げられて海外に行っている。 ☆粗債務と純債務の関係で意見を言う人がいる。菅さんなどそう。 配布資料1ページの右上に書いてあるが(図表10)、ネット債務で日本は半分。 これを見て、菅さんは日本のほうが悪いといっている? しかし、実際には債権国で配当を受け、外貨準備があり、国債も消化している。 こうした経済力のベースがある。国民が戦後働いてきて社会的蓄積。しかし、この蓄積が使われない。 もうひとつギリシャとの関係で大きな違い。 日本は国民の貯蓄率は下がっているが、2008年末の政府の数字では、3.3〜3.4%。300兆円のうちの10兆円にあたる。お金は天下の回り物、使わなくてはならない。 江戸事態の『夜越しのカネは』というのは慧眼だったと思う。 参勤交代では多額の消費をする。江戸幕府の忠誠心だけでなくこうして経済も 考えたので300年もったんだと思う。もっと使わないといけない。 本質的に上記からギリシャと違う。 しかし『成長が足りないから食いつぶす』という人がいる。 野口悠紀雄さんが、計算しても数十年、と言っているが、運用資産をちゃんと利回りのいいようにという反面、国民のために使うこと。 では、なぜお金が海外に出ていってしまうのか? 100兆のカネが預貯金から流出。 2000年度、1420兆円→2008年には、1400ちょっと。 『国民経済計算』が一昨日出た。インターネットにもあるが、2008年は運用資産が一番落ち込んでいる、今は1500兆円程度ある。 ともあれ、2008年もほとんど変わらなくてその中には、海外投資120兆→220兆円 まさに100兆円、海外に行っている。この減少分が、小泉構造改革からの60兆円とアメリカ国債40兆を買った分と見事に合致する。 岩上 本来、地方にも循環していたはずのカネが海外に。 菊池 「だから、小泉構造改革は国内を締め上げて外資に投資させた。政策上こうなっていく。 ほんとうに、一番ひどいのは地方交付税交付金だと思う。これ、惨憺たるもの。ベースになるカネがあるのに使わない! 岩上 関連あるところで『消費税増税』は、『法人税減税』とセットになっている。 消費税増分がそちらに回るわけだが、消費税ができて21年で220兆円、法人税下げて所得税累進も下がって、国民1人1人のお金が召上げられて、大企業と中小企業との落差が生じた。輸出企業の優遇もある。 企業の内部留保は史上空前、なのに国内に回らず、労働分配率も上がらず、株主配当に。 その代表たる輸出企業の株も外資が5割近く占めている。そこへの配当として、国民のカネが外資に回る、ちゅーちゅーと国民の富が大企業というストローを通じて吸われている。 いつも「法人税引き下げ」にしぶしぶ説得させられているが、その点は企業を強くしないと先生は仰っている。 国内に還流するはずのカネが海外に周り食い物にされている点については? 菊池 国税に占める法人税所得税消費税について話す。 典型的なのは、法人税収が減った分を消費税で穴埋め。見事に数字で出る。 消費税は1989年に3%、97年から5%。1989年〜2009年の消費税税収累計は220兆。 法人税の同じ期間の減収分が200兆円。法人税減収を埋めるのは歴然。 2009年3月、麻生内閣で閣議決定されたのは、 『2011年に消費税を引き上げる法制化、同時に法人税を下げる』 新聞だと書いてないところもある。書かない新聞は決まっている。 財界側にマイナスになることを書かない新聞は決まっている。(どこ?という問いに→言えませんが、と) 記者は『そういうことを書くと広告が取れない』と。マスコミの限界。新聞だけでなく民放もそう。 この22年間を考えると、消費税の累計の9割が法人税減収分。 自公政権はそういうことを前提にして消費税増税を言っている。 ただ、自公政権でも法人税減税は言わなかったが、菅さんになって、法人税引き下げが公約とかおっしゃっていて、自民党政権でも言いきれなかったことを民主党が言うとは。 岩上 2009年の鳩山政権の民主党では消費税は4年上げないと公約。 菅さんになってから旗色が変わった。 民主党は、まるで2つの政党の連立であるような印象を受ける。 選挙前なので、ここできわどいことは言えないが、仙石さん、枝野さん、オリジナル民主の人たちの考え方と、鳩山政権での小沢さんらのグループとの差はどういうことになっているか? 民主党、と言ったとき、どちらが主なのか、温度差がある。 菊池 税制は菅政権になってから出てきた。今朝の日曜討論を聞いていたら、菅さんも『消費税を引き上げない』と。(会場笑い) 亀井さんも、『あと3年間引き上げない』とおっしゃっているのだから、いかに景気対策をするか、ということを言っていた。番組は国防の話もするはずだったが、消費税に終始。 菅総理自体が軌道修正されたのか、よくわからない。 わたしも、勉強会にも招かれていて、小泉構造改革は絶対に失敗すると言ってきてブレていないが(会場拍手)、消費税とはそんな簡単に上げられるものではない。 選挙を闘う人で消費税を上げると言っている人は多分いないだろう。 改選組が菅さんに(抗議の)電話をして、などという話もあった。 しっかりしてほしいことは、民主党は4年間、消費税増税しないで別の方法での 税収を上げることを考えるのだろう、と皆が思ったから政権を取った。 閣僚でそれを覆すようなことを言う人がいるなら、『国民に約束したのだろう』と申し上げたい。 菅総理も、今日はすぐ上げるようなことを言わなかったし、 亀井さんもその議論は、ということだったので、そういう話になっているかも。 消費税のことは国民新党には書いてはいない。緊急補正予算を組むと書いてある。 あれはオバマが2年間で70兆円の緊急補正予算と同じようなことをしようとして いるだろう。亀井さんも『デフレ脱却』として言及。 菅さんの認識もしっかりしているだろう。 では、消費税以外で税収を上げる方法について話したい。 岩上 財源は、景気がよくなり自然増収するのが本道。もうひとつは埋蔵金。 埋蔵金は『ないんだー』、と言いながら出てくる。 自見大臣は『ないと言っているが20兆出てきた。財務省は嘘を言う』と。 官僚の言うことが信用できると限らない。では財源のことについて。 菊池 財源は大別してふたつ、『今ある財源』『経済を成長させて出てくる財源』だが議論は前者ばかり。コイズミ構造改革もそうだった。 まず、その『今ある財源』を見ていく。 配布資料2ページ右側。『消費税は0%にできる』に書いている、埋蔵金一覧。 データは日本医師会のワーキングペーパーから。ホームページにもある。 前田由美子さんという方が分析している。お話したことがある。日本で一番よい分析。 この表の( )内が2006年度。ではポイントを言う。 2007年度剰余金(歳入-歳出)まず、一般会計と特別会計の話から。両方合わせると220兆円くらい。 一般会計だけから出るのは4割、残りは特別会計から出る。図表4にまとめている。 『一般会計と特別会計』(☆配布資料のタイトルを修正お願いしますとのこと) 一般会計81兆円→この純支出は教育・防衛・公共支出 残りの6割は特別会計→独自に国債、借入金などがあり、保険料もこちらにある。 併せて209兆円、ここからの歳出が168兆円。 ☆ここに剰余金が42.6兆円!2007年度に余っている金額。 図の点線で示すように『財政は黒字』。税収51兆 国債25兆 他8兆 ☆だから国債なんて出す必要はない。すごいトリック(!!!) このことを最初に言ったのは民主党で小沢一郎さんが示唆されたと聞く。 小沢さん、亀井静香さんはよくご存知かと。 岩上 特定の名は選挙期間なので(笑) 菊池 まあ、そう聞いている。一般会計と特別会計を同時に見ると、日本の財政は2007年も赤字ではない。 下の図は2009年。 埋蔵金を使っているが、それでも15.9兆円出るだろうと。 そうなると、国債33兆円。だから財政赤字は半減する。 分析された前田さんはおっしゃっているが、剰余金が出たら、それを国民に還元してからでないと消費税増税議論はできないと。同感である。 岩上 皆さんへ。こうした資料も別途ネットにアップします。 菊池 図表6。特別会計に『剰余金』とある。単純に引き算すると余る。42.8兆。これをどう処理するか。 積立金、翌年繰越、一般会計で1.9兆円回している。 だんだんと話が表に出てきたので隠しきれないのかな(笑) 決算後の積立金は68.9兆円。 翌年度への繰越は処理もしない額。その他にも積立金あわせて102.5兆円。 2009年度にはこの埋蔵金、51.5兆円+α。70兆円くらいになるだろう。 国民に増税をしなくちゃという政治的な発言が出る前に、こうした埋蔵金をどうするか。 中にはどうしても置いておかないといけないものもあり、たとえば労働保険など。 労働者と折半しているがこれはあるでしょう。そうした判断は必要。 そしてさらに考えが必要なのは、これは表面にでた数字だということです。 運用益だけだって2〜3兆円最低でもあって、P/Lを分析すれば出てくるはずだが。 決算委員会で分析して欲しいと民主党には伝えている。 岩上 財源問題。国内で回るべきカネが海外に行っている。 外国為替特別会計。40兆円の米国債買い増しをしたが、この関連で。 菊池 資料の1ページの左上。図表1。 粗債務(財務省発表)。872兆円が債務といつも大変だと10年以上言っている。 それを特別会計と一般会計に分けると、一般会計は577兆円、特別会計は295兆円。 ここで問題は特別会計。300兆円の使われ方を図表に解説している。 『特別会計の内訳(国家の投融資活動)』 この名で何をしているか?英語で言う、Loan and Investment Accountです。 その下が政府短期証券。 政府系金融機関にお金を貸すが政府保証債を買い取ってお金を流し、最終借入人、 ここに215兆円くらい。推計値としてだが。 その下、政府短期証券は100兆円。短期とは1年未満のこと。 これが外国為替特別会計に入り、日銀に行き(財務省代理人)、ドルを買って、買ったドルで米国債や日本の金融機関預金、80兆円くらいが米国債か。 この最終借入人は『アメリカ政府』と『受け入れ銀行』。となると、特別会計は国家の投資活動をしていて、その元金の支払いは政府債務というが、政府の負った債務は借入人が払う。つまり国民の債務じゃない。消費税を上げる理屈は成り立たない。わたしは2月2日に菅さんに話した。『国民はCHANGEを求めている、これがCHANGEだろう』と。 岩上 米国側の圧力は? 菊池 圧力というが、日本で米国債を買うのは知っていることなのにマスコミは書かない。 岩上 本当にこれは売ってから負担を求めるべきもの。 菊池 額面800兆円あるがうち300兆円は国民の債務じゃない。また、積立金は200兆円ある。ちょっと増えているかも。 となると、577兆円あるが、国民拠出分で担保されている。さらに社会保障基金が200兆円。 他にも株や地方債。さらに言うと政府は350〜360兆円。 いっぽうで地方の純債務が140兆円くらい。500兆とは菅さんが国会でおっしゃている。 名目GDPに対しての比率が高いというが、名目GDPが縮小しているから高い。ここのところ、重要。債務の増加を上回る成長があればいい。 極端に言えば、債務はいくらあっても経済成長がそれを上回ればいい。 それを証明したのが93年のクリントン。オバマもやろうとしている。 平沼さんが今日の日曜討論で少し言っていた。 日本はアメリカ共和党の政策を受け入れているが、これを変えるべき。 先日、鳩山さん当時総理だったが、そこで話したのは 『名目GDPを上げる』と。そのことに『そうだ!』と。 鳩山さんは赤と黄色のペンで書きこみながら良い質問もされた。 最後に総理に申し上げたのは、『アメリカの民主党の考え方をもっと取り入れるべき。 共和党の考えを取り入れたら税収が下がる』と。 彼らには成長させて税収を上げようという考え方に乏しい。 まず、日本も口では言っているが成長戦略をしっかりして、税収を上げ赤字が飛ぶ。 岩上 レーガンとブッシュは何をしているかも話していただきたいが簡単に。 レーガン時代は法人税引き下げて所得税も引き下げ。 企業と富裕層優遇で債務国に転落した。ブッシュも失敗した。 クリントンはルーズベルトの政策をベースにして政府支出で民間投資を引き出した。有効需要を喚起した。8年間にわたり。 そうして、企業富裕層優遇から転換して財政支出問題を解決した。 オバマ大統領も70兆円の景気対策。法人税所得税の税率増。 転換をしている。このクリントンモデルについて。 菊池 共和党と民主党は政策理念も手法も違う。 均衡財政で最大に失敗したのがフーバー大統領。 共和党はレーガンになって、フリードマンの新自由主義・市場原理主義を取り入れて 変わってきた。金持ちに徹底して有利にして、レーガンを支持した当時の『ネオコン』と呼ばれる人たちが、『レーガン革命』をした。 ポイントは、小さい政府、規制緩和、自由化。 法人税の最高税率を50%から28%まで下げ、所得税を70%から31%にまでした。 ここで『双子の赤字』が生じた。財政と貿易収支。 当時はソ連に対抗するストロングアメリカを目指していた。 そして1985年に債務国に転落した。共和党政策は、小さい政府。 国民の税金から社会的に教育や医療に渡すということも少なく、 税を安くするので一番得するのは富裕層と法人。 政府に入っていたものが富裕層に流れて使えば経済が成長するというのが その『トリクルダウン』(金持ちが使うとおこぼれ頂戴)の考えとラッファ曲線。 所得が猛烈に富裕層に流れて債務国になったのはアメリカとしての大失敗。 そうなったから債務政策、特に中国との関係も難しくなった。 パパ・ブッシュは増税を5年計画で立てたが、うまくいかず失敗。再選されず。 クリントンは、有効需要の喚起を政府がするとして、予算支出の中身を公共投資、地方へ、教育に重点化した。8年間で財政黒字化。 法人税を35%に、所得税39%に、中小企業には投資減税。 財政上のインセンティブになった。低所得層は控除を増やした。 それらを続けたので、5年で財政赤字解消した。 子ブッシュがでたときには、財政黒字は3000億ドルくらいあった。 その後、ブッシュがレーガンのように下げてしまい、2008年末、アメリカ経済は破綻したと思う。GM、CITIなどが潰れる。経済破綻。新自由主義のため。 ここをオバマはがらっと変えている。象徴的には就任演説で、 『政府は大きいか小さいかが関係ない、どんな機能を提供するかだ』と。 クリントンと同様の政策を取った。法人税所得税増税など。 また、所得の再配分を控除の仕組みの中にいれた。 民主党の一部も考えているようだが、お願いしたいのはアメリカ民主党政策を もっと取り入れてほしいということ。 岩上 民主党が2つに分かれているように見えるのは一時的なことなのか、 ともかく戻ってほしい。クリントンの有効需要喚起などを。 菊池 ケインズはどうなんだ、などという人がいるが、経済は実はそんな難しい学問ではない。 どういう時にどういう政策を打つかは歴史が教えてくれる。 アメリカはルーズベルト的政策(1933年ニューディール政策)をしているが、これはケインズ(1936年発表)との接点はない。 ケインズでもマルクスでも、そういう、理論に沿ったということではない。 歴史から出てくるということが論調としてない。この点、マスコミには要望する。 岩上 日本は日本の歴史に学ぶべき。昭和金融恐慌でデフレが起こり、政策転換を高橋是清が行い、財政出動をしたが、彼はケインズから学んだわけでない。歴史の教訓がある。 菊池 アメリカ大恐慌を解決したのはルーズベルト。1933年3月3日就任。 いっぽう、1930年から日本の金融恐慌。 高橋是清は1932年から財政金融一体化で解決した。 恐慌から脱することができたのは日本が世界で最初だった。 わからないが、日本のことはルーズベルトの頭にもあったかもしれない。 日本には成功した歴史がある。 1933年のアメリカと今の日本に似たところがある。 当時、アメリカは金があり債権国だった。そのカネを自分で使おうとして成功した。 だから今の日本に言いたいことは、『財源はいくらでもある』ということ。消費税の増税以外に。 そして財源は2通りある。 公務員改革などの前にも、現在の余剰金などを国家に返納し財源を出し、 お金があるなら建設国債でも発行できる。 アメリカが賢明だ、と思ったのは30年代の不況時に社会インフラを作った点。 高速道路や地下鉄。アメリカ赴任時、地下鉄だと都心から60km、それも複々線で走る。 今使っている京王線など15kmしか出ない。 日本は社会的共通資本をもっとやる。通勤地獄解消もそのひとつ。 また、病院の整備なども。アメリカはきちっとやっていた。 クリントンの時代に鉄道を強化もしている。 ワシントンDCの鉄道、オバマの最近の新幹線など、経済は民間だけでも難しくなると 政府が手を出す必要があり、それで民間投資が引っ張り出せる。 それを3〜5年計画、10年計画の中でやっていき、地方も強化する。 岩上 『増税しても成長する』ということを菅総理のブレーンである小野善康さんなどが言っている。 菅総理は国際公約のようにして、『3つの強いシリーズ』で、最初に財政均衡を消費税で目指すと言っているが、縮小均衡したら大変なことになる。 拡大均衡、分母を大きくしないと債務デフレに陥る。 強い経済より先に強い財政、と言うが、菅総理の言う『強い財政』とは、まず削りとる財政のこと。 増税してから経済成長はありうるか。まやかしにしか聞こえない。 菊池 増税しても成長分野というのが小野先生の考え方だが、政策面からよく知っている人は賛成しない。消費税前提にするなら大間違い。成長なんかにつながらない。消費税を上げようとして経済は成長していない。 国民の所得を奪って政府に付け替えるだけ。 非常に波及効果は大きい。消費税減免などのことも菅さんが言っているが、交通費など全て上がるわけだ。 アメリカは1932年にフーバーが失敗した事例がある。 赤字の数字合わせに幅広く消費税を入れた。 特に石油税・ガソリン税が効いてしまいがたっと経済が落ち込んだ。 1932年は1929年に比べて所得は半分に、株価は9割減に。 消費税の還付はやっちゃいけない。菅総理がどうお考えかわからないが、集めて返しても集めた効果のほうがずっと大きい。戻した際のプラス効果は小さい。 観測では選挙後、そういうことはやらないんじゃないか、常識的に考えても。 施政方針でおっしゃていたが消費税から入るのは絶対にマイナス。 だんだん歴史に学ぶ賢者がでてくることを期待。 岩上 今、またデフレが進行している。地価下落はバカにできない。公示地価は都心で前年の20%も下がった。事務所探しで不動産周りをしたが驚くほど地価が下がっている。事業所がなくって家賃の交渉の余地がある。 地価下落は全てに響く。資産価値を減らすし、債務負担が増えて返済が難しくなる。 非常に危険な局面、ここに消費税をあげたら橋本時代より大変だと思うが。 菊池 G20の共同声明で日本だけが財政健全化対象外にされたが。 そこでIMF理事長が『日本には財政危機という兆候が出ていない。 この記事は『世界日報』で見た(会場笑い)。 岩上注(ここで菊池氏が世界日報に出ていたと語った記事は、時事通信配信の記事。) 国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は28日、当地で一部記者団に、先進国の財政赤字削減目標で、日本が『例外』扱いとなったことについて『国内総生産(GDP)比の信任が維持されてきた点が他国と状況が異なる』と述べ、特殊性に理解を示した。 同専務理事は、日本の財政状況について『差し迫ったリスクは全く見受けられない』と語った。」というもの。日本はあまりの財政赤字の突出ぶりゆえに、G20で仲間はずれにされた、という正反対の『虚報が流されているか、実は日本は財政破綻のリスクがまだないという真逆なもの。日本のマスコミの虚報を本当に、本当に、信じてはならない。 世界的な流れから言って、債務圧縮はこのままいかないと思う。 リチャード・クーさんが、ニューズレターでいいことを言っている。 『ヨーロッパ各国で財政を引き締めるとマイナス効果が大きい。ユーロの価値にも影響。この際、政府債務を増やしても雇用を』 ユーロを作るときの申し合わせは債務を名目GDPの3%にするという縛りがあったが、ギリシャは債務を隠していて政権が変わって表に出て危機に。 財政を絞っていても済まない。 アメリカの財務長官がヨーロッパで『緊縮でなく景気振興策』をと言ったそうだが、わたしもそう思う。 日本は、ギリシャとの比較(日本は前出のように違う状態にある)もあるが、民主党が意見を割るかどうかの心配とは別に、事実に基づく的確な政策判断が出てくるんじゃないかと思う。 消費税増税にアレルギーがあり悪影響も大きく、実施できないのではないか。さっき言い忘れたことひとつ。 法人税引き下げには反対。 クリントンやオバマのように、需要喚起とともに最高税率を上げること。 去年1月の国会で枝野さんが中川昭一さんに、 『2006年までのあいだに製造業配当金は5兆円増えており内部留保は20兆増えている』と質問した。大企業の減税は必要でない。 国際競争力がつかないというが、輸出をすれば消費税は還付される。 50%輸出とすれば、減税される。 国際競争力のための減税というが、十分国際競争力がある。 なければ輸出超過にならない。(会場笑い) 赤字だ大変だというが、下げる必要はない。 法人税を下げたら恩恵を受けるのは輸出企業や外資比率の高いところ。 岩上 モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスがいますね。 菊池 経団連の大企業役員の人が、株主総会で従業員還元をしたいと言ったらそうでなく株主配当、と言われたと。また、基礎年金の税方式にしようといっているのは外資。 岩上注 この指摘は重要。基礎年金を税方式に進めようとしているのは、菅政権で菅総理の右腕として内閣官房副長官に就任した古川元久氏。財務相OBで、明らかに財務相と財界に年脈を通じている。 企業では半分が企業負担、全体で4兆円。 外資の比率が高い企業は配当金を増やし、いわゆる社会的コストを下げさせようとするので基礎年金は税負担なので企業負担がなくなる。 4兆円がなくなる。 『税方式』は経団連と経済同友会が言っている。 日本国民の所得と生活を維持するか、外資の要望を強く受けていくか、対立点になっていてこれは政治上の問題。 『法人税引き下げ、消費税引き上げ』は外資利益保護。 生活が第一というなら、企業所得や国民全体の所得を国民のためにすると。 今でも税活が第一と民主党は言っていて、となると(増税は)ぶれている。 国民新党を含めて与党は中身のあることに焦点を絞って議論をしてほしいと。」 岩上 基礎年金の税方式は、政権中枢にいる古川元久さんも言っている…などさまざまあるが。 外資の言いなりになって生き血を吸われるのか、国民の生活第一か。 菊池 ところでわたしは決して反米ではありません。 わたしはアメリカは好きな国なんですよ。マスコミの議論も日本より数段進んでいる。 共和党時代に、NYTでクルーグマンが毎週毎週、ブッシュ政策を批判していた。 日本で小泉・竹中時代に政権批判が掲載されたことがある? そしてそのクルーグマンがノーベル賞。アメリカには議論を戦わせる素地がある。 さっき、『日本のマスコミはまさに北朝鮮』という話があったが、本当に消費税は危険。 財源の問題、波及の問題など、『消費税引き上げが正義の味方』のように言う人が いるが警戒して進めていく必要がある。 ○二見伸明元運輸大臣からコメント 結論から言うと、消費税は絶対に上げてはいけない。 橋本政権時代、5%になったとき、4兆円増税となったが、税収として2.7兆円ダウンした。 それが原因になっていまに続いている。増税したら20年続く。 わたしは消費税導入時に、金丸信の税制調査特別委員会があり、自民党側が海部さんと 羽田さん、わたしは野党側理事で血みどろの戦いをした。 朝から晩まであらゆる団体が上げろ、上げるなとやってくる。 あちらの総隊長は小沢一郎だった。 とてもじゃないが簡単に上げられない、税制改革の前には、『財政構造』歳出の見直し、 無駄遣いを観直してこう使うんだということがない限り上げられない。 そこが小沢一郎と我々の共通項だった。 また、しばしば税制の抜本改革、などというが、これまで何も抜本ではない。 わたしは昭和44年初当選をして大蔵委員会で『うすみさん』という大蔵省長官になった人が いて、『フランスの財務官を連れてEC型付加価値税の話をする』というので、聞いた。 いろんな議論をした、逆進性など。しかし、話を聞くとなかなかもっともらしい。 これは究極の税かとか、直間比率のことなどもフランスの財務官は言う。 大蔵省の審議官は洗脳されていた。国会議員も洗脳。 野党のわたしですら洗脳されるんだから。その時の洗脳が続いている。 毎日ああしてやられていれば、今でいう財務省記者クラブで聞いていると、 なんとなくいい、と思ってしまう。 菅さんが超党派でやろうというがあれはだめ。絶対にまとまらないので裏で官僚が絵を描く。 日本の経済学者は大蔵省と付き合うことを喜んで資料をもらう。御用学者になる。 恐ろしいこと。政権交代があっても官僚が変わっていないと。 岩上 二見先生は今日選挙の応援に行くところをこちらにお越しいただいた。 そして名古屋から、荒川章三さん。消費税を専門家から見て。 荒川 消費税の問題点について。ちょうど消費税が導入された昭和63年に私は大学を出た。 あの時もいろいろな策を使って反対者をねじ伏せた。簡易課税など。 でもそうした制度は消えていった。 今回も、年収300万円未満は戻し税などと言うが、導入してから絞ることは明らか。 だいたい、所得なのか収入なのかも分からない。 もし所得だとすれば還付対象は56.6%にあたる。なんのための増税か? また輸出免税があるがこれは節税でも脱税でもない。そういう税法になっている。 これも消費税率が上がると拡大する。 そして直間比率見直し。広く薄く課税になった。 消費税も3%なら逆進性がなくても10%なら厳しい。 そうなると子ども手当ですら戻せないのに、なぜ戻せるのか。4〜5年かかるだろう。 となると納税者番号の導入などもある。 必ず、消えた年金と同じで、還付するために番号をつけることをトレードオフとして 言ってくる。大変なことで時間がかかる。 複数税率も、日本では手続きが大変。食料品非課税ならレストラン経営者は?など、 不明確なところが多い。 問題が出てきて納税者番号やインボイスなどが出てくる。一朝一夕にできない。 岩上 消費税を上げるということだけが目的でなく、着々と徴税するための環境作りをもくろんでいる、と。 荒川 徹底的に徴収する、ということでしょう。 国税庁から言えば、やましいことがなければ払うから「公平を実現する」ということになるのだろう。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 岩上 「ここから質疑応答です。時間が押していたので短くお願いします。」 Q:選挙前なので、各政党の経済政策を簡単にご説明頂くことはできるか。」 A:岩上 それは一覧の準備がないのと、うっかりコメントをすると、公職選挙法で図画や図書の頒布を制限しているところに引っかかる可能性が議論されている。 公職選挙法は明示されている部分以外の裁量が大きくて、今、インターネットで ものを言うと、本来は「通信」だが、これはUst中継なので放送に入るという議論も ある。あまり揚げ足を取られるのはまずい。 評価を含めた経済政策をすることには慎重にならざるを得ない。 もちろん、今日のように政権批判はできる。 菊池 政党ごと、そこまで整理していない。経済政策と言っても幅広いので…。 岩上 民主党と自民党が消費税増税に積極的。みんなの党は、今は消費税を『上げない』と言っているが、渡辺さんはついこの間まで「上げる」と言っていた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 Q:菊池先生の『消費税は0%にできる』で、郵貯の分がアメリカに行くとアメリカの赤字が薄まると思った。友人などにもポイントかと思って本を勧めている。 消費税に目が向いているが郵貯については。 A:菊池 わたしは、郵政民営化は最初から大反対だった。 野口悠紀雄さんは『民営化はアナクロニズム』としていた。 郵政民営化の大前提の理屈が間違っている。そもそも『官から民へ』。 300兆円を民に回して活性化というが完全に間違っている。 小泉構造改革の議論が始まって、民はお金があり余っていた。 民間企業ではお金の借入額と余りでは余りがずっと多かった。 これは、新聞にも出ている話。民に回しても使いようがない。 良いデータがある。と言っても実は産経新聞だが(笑) 2000〜2009年度の民間銀行国内向け海外向け貸出のグラフでは、 国内は50〜60兆円減って、海外は90〜100兆円増えている。 主としてメガバンクが貸し剥がしをして海外に。 わたしは銀行屋だからわかる。金融庁が絞るしルールもある。 その結果、外に持っていかざるを得なかった。 特にメガバンクは地方から海外へ行った。 これが2005年頃から激しくなった。国内デフレ政策で海外に貸出し。 要するに大前提が間違っていたと立証された。 国内が締め付けられたがこれを民へ回しても海外に行く。 『官から民へ』ではなく、『官から海外へ』と言うべきであろう。 国債保有構造について、郵貯民営化はアメリカの要望。 1994年クリントン時代から規制改革要望書が出されている。 外務省の方からオバマになってから出ていないと聞いている。 いや、影で出されているなどという人もあるが。 そして、これはれっきとした外交文書。 不思議なことに日本政府は公にせず、竹中さんは知らばっくれた。 麻生さん、中曽根弘文氏は存在は認めた。国会議事録がある。 ここで最も旗を振ったのは、ゴールドマン・サックス。 共和党は投資銀行の利害、ゴールドマン・サックスのトップを財務長官にまでして反映させた。 分析をすると、まさに日本の国債の800兆のうち1/3は郵貯かんぽから。 アメリカの債務構造を安定化させたいということはある。 『アメリカの国債は買ってあげるがちゃんと表から言って来て』と 亀井さんも言っている。場合によっては売ることも。 郵政民営化で100%外資になれば、期日がくれば(今年度100兆円)、 その幹事行はゴールドマン・サックスだと大塚副大臣も言っているが、 その株の売却をストップした。国家の大危機が回避された。 郵政法案は衆議院の共通政策であり、あれは民主党案。原口案であり 大塚副大臣のところで10回以上検討して議事録もある。 いろいろな意見が出ていた。 何が問題か。民主党が変わってきている。 岡田克也時代は、竹中案に対して民主党の意見を出している。 『生活が第一』なら国内に使わなくては。 そして郵政のネットワークは、都内では分かりにくいが地方では社会基盤である。 メガバンク、さらに信金なども地方からは引き上げている。 民主党が変わってそういう(郵政)案が出てきた。 4月末に案が出て、仙谷さんや前原さん、特に仙谷さんが『おかしい』と。 亀井さんが『仙谷は2週遅れているんじゃないか』と。 わたしは『なるほど』と思った。 民主党案はあの人たちは反映していなかった。その結果、閣僚懇談会でも 反対が出なかった。 『生活が第一なのになんであんなこと』と言われたそうだ。 ではあの法案は? 地方の開発。財投もいいことをやっていけばいい。ハブ空港もない。 民間投資でそのままそういうものが出るか?デフレで。リスクの半分を 官と民で取り分けるなど社会基盤の再構築が必要。 今日、菅さんが言った、『社会基盤が充実してくれば、豊かになり税収が上がる』、 これは神野直彦さんの『わかちあいの経済学』にもあった。 民主党は『生活が第一』から理念が変わってきている。 マスコミが正しく伝えようとしない。 理解していないのかしようとしないのかあるいは・・・。 地方ではみんな分かっていますから。 民主党の中でも大多数はそうしたことは分かっていると思う。 分かっていないと選挙に勝てない。」 岩上 みんなの党は郵政改革法案は否定して、郵貯の資産を売却すると言っている。 先日来日したコロンビア大学のジェラルド・カーティスも(CIA関係者と言われているが)、 『民主党はみんなの党と組むべきだ』と言っている。 カーティス氏はみんなの党を『市場経済を理解している素晴らしいリベラルな党』などと言っている。 その直後、枝野さんなどは『「みんなの党との連携もありうる」などと言いだした。こういうところを見ていく。」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 Q:みんなの党の渡辺さんなど政府紙幣の発行と言っていた。 私見では、彼は利用されている? 亀井さんなども政府紙幣ではないが、日銀の国債引き受けなど実質的に発行のようなことを言っている。 財源がいくらでもあるという中で、確保の中で自ら国が権利を行使して 発行するという解決手段はあるか?」 A 菊池 政府紙幣発行に反対。尋常な考えでない。 量的に、ただでお金が欲しい、日銀が国債を持てばただで発行できることになる。 政府が利息を日銀に払う。日銀はお金を刷っている。 剰余金として国庫に収める。 ましてや政府紙幣は歴史的にも混乱するだけだった。 亀井さんの『引き受け』とは、多分次のようなことではないか。 大恐慌と昭和恐慌の例。 その昭和恐慌の後、国債を発行し日銀が買い取っていた。即効性があり金利が半分に。 アメリカ大恐慌の際には、政府が新国債を出してFRBが市中の既発債を買い取って 実質引き受け。それによって市場機能を生かしながらやった。 この考え方。アメリカでは14年間で短期・長期利回り変わらずやってきた。 アメリカは金も持っていた。 日本も100兆の補正予算を組んだらどうか。 根拠は配布資料の1ページ。政府短期証券100兆円を市場に、金融機関が買い取って 外貨準備になっている。 我々の預貯金がアメリカの国債を買ったことになる。 1999年9月までは政府短期証券は日銀が買い取っていた。それでアメリカ国債。 だからそれまでは我々の預貯金で買っていたのではなかった。 だから、我々の預貯金が100兆円召し上げられて国内で回らない。 どうするか。 原資は預貯金。建設国債10兆円を出したら日銀は市中の政府短期証券を買う。 これで帳尻があう、これで預貯金は建設国債に回る。 これで1999年以前の姿に戻る。 アメリカ国債は現実論として売れない。中国でも売れない。 売らずに済んで我々の預貯金がまわる。 また、緊急補正予算。財源。 金利があがるというが、日銀と盟約を結んでいく。 菅さんは『日銀との対話』と言っている。 また、『国家ビジョンの会』というのがあり、2月23日、日銀総裁に会った。 政府が有効需要を喚起していくのは政策上可能と。 マーケットのほうは『日銀はカネを出せ』。これは間違い。出すだけでない。 デフレの時に財政を締めて金融だけを緩めるのが小泉・竹中の悪さ。 投資銀行に集まった。マネタリスト。10年たってもデフレ解消しない、 NYの人は、投機マネーの1/3は日本から来ていると。 日銀の金融緩和をさらに緩める、というが、有効需要を喚起するという政策がなければ、 海外に行ったり博打になる。 日銀が慎重なのはかつてのマネタリストの失敗のことがある。 岩上 今日、2時間の講演の予定が、既に3時間近くに。今、この会場の責任者の形に聞いたら、 この会場は明日の9時まで使えるそうですよ(笑) 菊池 私は5時から次の約束があるので残念。懇親会に出る時間もなくなってしまい、 申し訳ない。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 Q:わたしは貧困に関する活動をしている。こういう会場に来るのは珍しい。 ぜひ、貧困の学習会でこの話をしてほしい。 経済が分からなくて貧困が続く。 これで消費税が10%になったら国民のほとんどが死んでしまう。 国民会議を出前してください! とてもいいデータをもらったのでネットにも展開したい。」 岩上 もちろん出前もします。今日の話はぜひ広めてほしい。 国民全体に広げて欲しい。Twitter、ブログ、Ustに。 ここでの話については著作権を主張しません。 『消費税は0%にできる』はダイヤモンド社から出ているので、ぜひお買い求めを。 菊池 大学で教えていると、若い人は未来に失望している。 その根本は緊縮財政。 日本は金持ち国家。267兆円も貸しているというと『そんなの初めて聞いた』、と。 みんな日本は借金国だと思っている。 マスコミは対外債権国だと一切書いていない。大問題。 『そんなにお金があるのにどうして日本で使わないのか』 国債だってちゃんと発行すればいい。政府が潰れないやり方などいくらでもある。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 Q 経営者の側の給与を増やしたいが株主の配当に、というお話があった。 この点を財政政策で変えられないか。 正規雇用者の給与分控除などはどうか?」 A 菊池 いいご質問です。 今年の3月4日に、自見庄三郎さんが参議院予算委員会で言っている。 韓国では正規社員を雇ったら税額控除を検討していると。 同じ時期に韓国の国会で通った。 菅さんも『勉強する』と。 政府投資で民需喚起。そこでは正規社員を増やすという条件をつけるよう言いたい。 自見庄三郎さんがそうしたことをおっしゃっている。大変に含蓄が深い方。 政府投資でデフレ解消、非正規社員を法律で全廃、しっかりさせる。 郵政でも正規社員を増やそうと亀井さんもしている。 あれだけで2000億円くらい収益にマイナスというが、2000億円は安いもの。 正規社員になれば結婚できる、消費する、住宅もでしょう。 2〜3年、大きく変わる。 2000億円の収益が減って1000億円税金が減るがそれだけ投資するよりよほど効果。 福島さんが今朝そんな意見を言っていた。 非正規全廃は政党のスローガンにもある。 政府投資を出すなら正社員増やす、非正規撤廃。 税収が上がらないのは非正規が増えていることにある。 (完) |