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驚愕の人口・高齢化予測〜70年後に日本の人口は半分、40年後に人類未踏の高齢社会
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131001-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 10月1日(火)6時23分配信
宇宙戦艦ヤマト(日本テレビ系/1974〜75年)に登場するイスカンダル星の女王スターシャは、なぜその星の最後のひとりになったのか?
設定(註1)の中では、この理由は明らかになっていないようですが、私はひとつの仮説として、イスカンダルの行政府が、有効かつ具体的な少子化対策を行わなかったからではないか、と考えています。
私は今回のコラムの執筆に先立ち、現在の我が国の少子化の傾向が、そのままずっと続いたらどうなるのかを、簡単な人口変動予測シミュレーションプログラム(以下シミュレーションプログラム)をつくって、自宅のパソコンで計算してみました。ちなみに、後輩の話によると、プログラム言語の講習会でよく使われるサンプル事例だそうです。
・西暦3000年に、日本の人口は1189人になります。大きめの小学校の校舎に全員収容できる程度です。そして、その年の新生児は8人です。
・3122年に新生児は誕生しなくなり、そして、遅くともその100年後の3222年には、日本には誰もいなくなります。なお、今回は浮動小数のままで計算したので、実際はもっと早い時期になると思います。
--なんだ。結構、あっけないものだな。
気分は「祇園精舎の鐘の声」という感じでしょうか。
私は以前寄稿したコラム(「なぜ、福島原発“5重の壁”は簡単に壊れ放射性物質が放出した?」http://biz-journal.jp/2012/09/post_649.html)を書くに当たり、原発や核について調べながら、原子力発電所から排出される高レベル放射性廃棄物の保管「10万年」という期間に、絶望的な気持ちになっていたのですが、今回の計算で、その期間の1.1%も待つことなく、(計算上は)我が国はなくなってしまうのだと思ったら、なんというか--随分と気分が楽になりました。
●少子化は今後どうなるのか?
こんにちは。江端智一です。
今回のコラムのテーマは「『結婚』を中心として、いろいろなことを計算してみる」です。
日本国政府は今、いろいろな社会問題について「ヤバイ!」と叫んでいます。具体的には、「少子化」「高齢化」「年金」などが挙げられます。
現実に、私の生活を見ても、娘たちは成績や進路について悩んでおり、そして私は娘たちの教育費や将来に不安を感じています。私の両親はいずれも要介護認定を受けており、ひとりは病院でベッドの上で何本かの管をつなぎながら生きています。この原稿は、帰省した実家のキッチンのテーブルで、父親の食事をつくりながら執筆している状況です。
ですから、「ヤバイ!」のはよくわかっているのですが、その「ヤバイ!」の全体像が、いまひとつつかめないのです。
--この「『ヤバイ!』の集中攻撃」は、いったい、いつになったら終わるのだろうか?
--というか、終るのか?
今回、私は、「結婚」を軸としたいろいろな疑問について、自分自身で計算をしてみることにしました。すなわち「専門家でない、ただのITエンジニア」が、週末に、自宅のパソコンで、現在入手可能なデータとパラメータ値を使い、乱暴な仮説を立て、簡単なプログラミングで計算を試みた結果を示すものです(註2)。
今回のコラムでは、政府発表の未来予測数値をひとつも使っていませんが、政府発表と私の計算結果は、「気持ち悪い」と思うくらい一致するケースがあったということを留意しておいてください。
では、始めましょう。
[江端の疑問その1] 現在の少子化傾向を放置した場合、将来の日本の人口はどうなるのか? (註3)
ここから将来の人口がどのように変化していくかを計算するに際しては、ここ数年の「合計特殊出生率」と平成22年度の「年齢別死亡率」という数値を使いました(極端に言うと、この2つだけしか使っていません)。
「合計特殊出生率」とは、結婚、未婚、同棲などをまったく考慮せず、単に15歳以上50歳未満の女性が、現実に出産した平均人数を示すものです。今回のコラムでは、ここ数年の平均値として、“1.4”という数値を用います。
まず、この “1.4”という数値の異様さを理解していただきたいと思います。
一般に、子どもは一組の女と男のカップルから生まれます。“1.4”という数値は、乱暴にまとめると2人の人間から1.4人の人間しか誕生しないということです(実際には結婚をしない人、または子どもをつくらないカップルもいるので、あくまで統計上の値となります)。
ともあれ、「合計特殊出生率」は、最低でも2.0以上ないと、現状の人口を維持できないことになります(なお、私のシミュレーションプログラムでは、2.2以上が必要であるとの結果が得られています)。
●70年後には人口が半分に
つまり、日本の将来は、実質的にこの「15歳以上50歳未満の女性の方々」に委ねられているといっても過言ではありません。
この方々のご機嫌を損ねると、我が国は本当にとんでもないことになるのですが、我が国は「ご機嫌を損ねる」どころか、政府のエライ方から下々に至るまで、この方々に…
--無礼の限りを尽くしている--
という現実があります(これについては、次回以降に、詳細にお話致します)。
私の娘たちが母親になっている(?)頃には、首都2つ分の人口が消滅し、その孫が母親になっている時代には、人口が半分になっているという計算結果が出てきました。
もう少し具体的に説明しますと、今度の東京オリンピックが開催される7年後の2020年までに、太平洋戦争の我が国の犠牲者310万人を超える人口が消滅します。第二次大戦の全世界の犠牲者数はおよそ5500万人とされていますが、2073年(60年後)までに日本一国だけで、それと同程度の人口減少が起こります。
自分のシミュレーションプログラムのアルゴリズムに不安が出てきたので、他の文献を探してみた結果、国土交通省の「2050年には日本の総人口は3300万人減少」(註4)という記載を見つけました。私の計算結果とは2%程度の違いしかなかったので、アルゴリズムは概ね妥当であると考えています。
これだけの人口が減って、電車やバスを走らせ続け、または電気や水道を供給し続けることができるのだろうか、と不安になってきました。このままいくと日本人は、過疎地域はもちろん市町村や都市のほとんどを放棄して、社会インフラをギリギリ維持できる大都市へ強制的に移住しなければならない未来がやってくるかもしれません。
でも、少子化によってこれだけ人口が減るのであれば、当然、高齢者も減るわけで、いわゆる「高齢化社会」からは、脱却できるのではないか、とは思いませんか?
●高齢化は改善されるのか
ここで第二の疑問が出てきます。
[江端の疑問その2] 現在の少子化傾向を放置した場合、高齢化社会はどうなるか?
まず、高齢化社会の定義を書いてみます。
次に、この定義に従い、私のシミュレーションプログラムで、今後の日本の高齢化社会の推移を計算してみました。
日本は今、まさに「超高齢社会」の真っただ中にあります。今後40年の間、超高齢社会はさらに悪化して、超・超高齢社会になります。改善の要因は何も見当たりません。
そして、2053年(40年後)に、人類史上まだ経験のない「超・超・超高齢社会」が出現します。かくいう私(現在47歳)も、その「超・超・超高齢社会」の中、高齢者として生き、そして死んでいくことになります(もっと早く死ぬかもしれませんが)。
いま私はパソコンの前で、憂鬱を越えて、ひとり乾いた笑いを「は、は、は、は」と連発しています。
冒頭で述べたように、現在、私の両親は要介護認定を受けており、私は介護の現状を見ている最前線の人間です。この状況よりもっと悪くなる社会というものを、私はイメージすることができないのです。
40年後のさらにその後に、この傾向は改善されるかというと--まったくされない。
100年後から、日本人が(計算上)ひとりもいなくなる3222年まで計算したのですが、「33.6%」の「超・超・超高齢社会」からピクリとも動きません。私たちより若い世代の日本人は、「3人に1人が高齢者」という世界を生きなければなりません。誰も逃げることはできません。
但し、これは合計特殊出生率1.4を維持できた場合です。次回では、この”1.4”が、今後、どのようになっていくかについて説明します。
さて、今回は「少子化対策」を放置した場合に、どのように人口が推移するか、また高齢社会がどうなるかについての計算を行いました。
その結果、
・70年後に日本の人口は今の半分になる
・高齢社会は、あと40年間悪化を続け、その後もその状態は改善されない
という結果を得ました。
次回は、この国の「結婚」というのものが、どのような形に変わっていくかを数値で示します。
そもそも今回のコラムは面白半分で、独身者が既婚者人口を超えて「マジョリティ(多数派)」になる時期を計算してみようと思いたったことから始めたものですが、その結果、私のパソコンは“青ざめるような”絶望的な未来を描き出してしまいました。
先日、我が家において娘たちに、このシミュレーションの結果を示し、運命の出会いなどというものをけっして期待してはならない時代に突入してしまったことを、こんこんと説明しました。そして、「どっちを選んでもよいが、いずれにしても、今のうちに『決断』と『覚悟』はしておけ」と、言い含めました。
次回のコラムでは、娘たちに行ったプレゼンテーションの内容を正確に再現してみたいと思います。お楽しみに。
※本記事へのコメントは、筆者・江端氏HP上の専用コーナー(http://www.kobore.net/kekkon.html)へお寄せください。
註1 http://ja.wikipedia.org/wiki/イスカンダル(宇宙戦艦ヤマト)
註2 計算に用いたプログラムとエクセル表(未整理)はすべて公開しています(http://www.kobore.net/kekkon.html)。
註3 統計局ホームページ(http://www.stat.go.jp/data/nihon/02.htm) より(年齢各歳別人口、年齢別死亡数及び死亡率)
註4 今後の社会・経済情勢の変化(国土交通省)( http://www.mlit.go.jp/common/000145138.pdf)
江端智一
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