http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/744.html
Tweet |
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130930/ecn1309300904000-n1.htm
2013.09.30
中国経済のアキレス腱(けん)である「貧富の格差」が一段と深刻化している。北京大学の中国社会科学調査センターの調べでは、世帯所得で上位5%の富裕層と下位5%の貧困層の年収格差が、2012年時点の全国平均で234倍に達した。2年前の10年段階の調査では129倍だった。既得権益層とも重なる富裕層の世帯所得の伸びが貧困層を大きく上回ったものとみられる。
中国においては社会治安の維持が中国共産党による一党支配体制の基盤とされる。だが、経済格差の拡大は党や政府の幹部の汚職とも深くかかわり、大衆の不満爆発に直結しやすい。都市部では若者が運転するBMWやポルシェなど高級輸入車がわがもの顔で疾走し、自転車やリヤカーが粉塵(ふんじん)を浴びる異様な光景が日常的にみられる。中国の有識者は、「格差拡大がこのまま続けば何らかの事件を契機に貧困層による暴動が広がる懸念がある」と話している。
北京大学の同センターが10年に、チベット自治区や新疆ウイグル自治区などを除く25の省級行政地区で、都市部や農村部を含めて約1万5千世帯(対象者約5万7千人)から個別に年間所得を調べ、さらに12年にも同じ世帯を追跡調査して増減をまとめた。
12年の中国全体の世帯収入に対し、対象となった世帯の上位5%だけで23・4%の収入を得ていた。下位5%の世帯年収はわずか0・1%だった。「中国家庭追跡調査」と題するこの報告書では、上位5%と下位5%の世帯格差を234倍とし、「収入不平等レベルはかなり深刻だ」と危機感をあらわにしている。
所得上位25%の世帯で全体年収の59・0%との結果も出ている。富裕層または準富裕層に属する4分の1の世帯だけで全体の6割近い所得があるが、一方で、下位25%の世帯年収は3・9%にしかならず格差は歴然としている。
所得格差を示す指標として使われる「ジニ係数」は報告書では12年に0・49となっている。ジニ係数は数値が1に近づくほど、その国の格差が大きく、0・4を超えると社会不安が広がるとされる。中国国家統計局では、12年のジニ係数を0・474と公表しているが、報告書ではこれを上回る厳しい数値だった。
ジニ係数の国際比較で報告書は08年に日本が0・38、11年に韓国が0・42などと紹介し、いずれも中国よりも格差が小さいと指摘した。国家統計局はジニ係数を今年1月の会見で明らかにするまで、00年から公開を拒んできた。
一方、中国人民銀行(中央銀行)は昨年12月、10年段階でジニ係数が0・61に達したとの調査を発表し、関係者に衝撃が走ったことがある。
北京大学、国家統計局、人民銀行など権威的組織が、これまで国内でタブー視されがちだった所得格差問題を正面から指摘し始めたのは、昨年11月の党大会で総書記に就任した習近平氏や新指導部の意向と受け止められる。習指導部は発足以来、反腐敗へ断固たる決意を示してきた。腐敗が格差拡大を助長してデモや暴動を誘発すれば、社会不安となって一党支配体制を揺るがす脅威にもなるからだ。
富裕層は、党や政府、国有企業などの幹部を家族や親類にもつ世帯や、こうした既得権益層に近い民間企業の経営層などの世帯が大半。有識者は、「高級幹部や経営層は基本的な給与、収入の多さに加え、節税や脱税のノウハウをもっている。灰色収入と呼ばれる違法または違法すれすれの実入りも多い」と話す。
今回の報告書で、灰色収入がどこまで捕捉されているかは不透明で、汚職分などを含む格差は実際にさらに広がる可能性がある。また、相続税や固定資産税が原則としてない中国のいびつな税制が富の再配分を妨げており、豊かな家庭だけがますます財産を積み上げ、「富二代」(金持ちのお坊ちゃん)も生んだ。
反腐敗を掲げる習指導部はしかし、「矛盾」も抱えている。習氏は自ら党の高級幹部の子弟であり、同じ家庭環境にある「太子党」の勢力こそが習指導部や政権の支持基盤でもあるからだ。太子党は既得権益層の中核で、「習指導部が反腐敗や格差解消を本気で進めれば既得権益層を敵に回すことになり、政権の安定性を失う」(有識者)とされる。党内権力闘争を招きかねない敏感な問題といえる。
今年3月に退任した温家宝前首相も任期中、所得配分制度の改革を何度も口にしていたが果たせなかったのは、既得権益層の激しい抵抗にあったからだとされる。その温氏の一族も、米紙によれば巨額の資産を蓄えていたという。中国の貧富の格差問題は底の見えない泥沼かもしれない。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。