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ぶち抜き大特集 2020年東京オリンピック開催でニッポンが蘇る 株価は上がり、景気はよくなり、そしてデフレからインフレへ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37117
2013年09月30日(月)週刊現代 :現代ビジネス
日本経済「黄金の7年」が始まる
五輪決定後の週末、軽井沢で財界大物一行の姿を見かけた。「長丁場」を前に英気を養ったのだろうか。知っている人はもう動き出している。これからとてつもない時代が来る、と。
■夢と希望が日本経済を躍動させる
株安、円高、デフレ……。長く日本経済を蝕んできた病魔から、ついに解放されるときが訪れる。
オリンピックという「巨大プロジェクト」が、2020年に東京で開催される。ニッポンの景色が一変することは間違いない。
国内外の経済の専門家たちは、さっそくこんなことを口にし始めた。日本は失われた20年から本格的に脱し、これからは「黄金の7年」が始まるのだ、と。
財界「ご意見番」で、コマツ相談役の坂根正弘氏は本誌の取材にこう語る。
「私は東京五輪が決まった日曜日の夜に、家族と一緒に食事をしていて、『いまの高校2年生は7年後には社会人だね』と話をしました。将来について希望を持って語れたのは、ここ十数年で初めてのことです。日本中の家庭で、同じように『希望の7年後』が話されたのではないでしょうか。
私は常々、日本経済が復活するためには、将来に希望を持てないデフレマインドから脱却すること、地方経済が活性化することが大きなポイントになると主張してきました。いよいよこの2つが動き出す。東京五輪にはそういう大きな意味があると思っています」
三菱東京UFJ銀行相談役(元三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)の畔柳信雄氏も言う。
「私は日本テニス協会会長をやらせて頂いていますが、協会は公益財団法人で収支もトントンなので、選手たちに新しい施設を提供できないことをもどかしく思っていました。東京五輪が決まり、様々な種目で新施設が作られ、国際試合が開けるようになるのはとても喜ばしいことです。
というのも、スポーツは健全な肉体を作り健全な精神を育てる、まさに健全な社会人を生む人材育成の場だからです。東京五輪は最も優れた人材育成の場になる。世界に通用するグローバル人材が、東京五輪やそれに取り組む人たちの中から生まれるだろうと、期待に胸を膨らませています」
優れた技術を持つ日本企業の業績が上がらなかった一因は、多くの人が希望を失い、内向きになっていたことにあった。言うまでもなく、経済を動かすのは人間そのものであり、人間の気持ちである。
東京五輪決定はそんな人々に、未来を向くように促し、世界へ羽ばたくチャレンジ精神を再び思い出させてくれるきっかけになった。夢や希望は言うなれば、経済の血管である。血管が太く強く修復されれば、ヒト・モノ・カネという血が元気よく流れだし、日本経済全体が躍動を始める。では、日本経済はこれからどのように蘇生するのか。
■日経平均はどこまでいくか
まずは「株価の上昇」だ。ちばぎん証券の安藤富士男顧問が言う。
「東京五輪決定で、すでに個人投資家がマーケットに戻ってきています。東京五輪が決まった直後、9月10日の東証1部の時価総額は約420兆円になりましたが、これは前週末と比べて15兆円もの増加でした。売買代金全体に占める個人投資家の割合は2割程度なので、個人投資家によって約3兆円の評価益が出たことになります。個人マネーは今後さらにマーケットに参入してくるでしょう。株価は今年末にかけて1万7000円を目指す動きです」
一部のマーケット関係者の間では、人気ドラマ『半沢直樹』の名セリフをもじって、「倍返し相場」が来ると語られる。五輪決定で沸き上がるマーケットが、昨年来のアベノミクス相場でつけた年初来高値1万5942円の「倍」、つまり3万円オーバーに向かって急上昇していくシナリオだ。武者リサーチの武者陵司代表がこう指摘する。
「日本の資産時価総額(土地+株式)は、'89年から'11年の間に1600兆円も失われました。22年間に亘って資産価格が下落を続ける現象は世界に例がなく、この過度な株と土地の価格下落を引き起こしたのは、過度の悲観論、諦観論=アニマルスピリットの喪失でした。
東京五輪はこうした悲観、諦観を一掃し、正当な株価と地価の実現をもたらすでしょう。その経済効果は計り知れません。2020年の日本経済が1990年の高度成長のピークを超えていくとすれば、日経平均は過去最高の4万円が視野に入ってくるでしょう」
これからは「不動産価格の上昇」も始まる。
すでに東京開催決定直後から、五輪の中心地になる湾岸エリアのマンションのモデルルームに顧客が殺到。不動産価格の指標として知られる東証REIT(不動産投資信託)指数は、9月11日に約3ヵ月半ぶりの高値を更新した。東京都競馬などの株価が上昇しているのは、「土地持ち銘柄」だからである。みずほ証券の石澤卓志チーフ不動産アナリストが言う。
「大規模不動産開発には、様々な阻害要因があるため、非常に時間がかかります。しかし、五輪という国際的なビッグイベントの時には、時間の制限があるため、行政が規制を緩やかにしたり、特例を設けたりして、スピーディな開発が可能になるもの。劇的に街づくりが進むため、不動産価値が上がることは必至です」
では具体的にどの地域がどれくらい上がるのか。石澤氏が続ける。
「東京の湾岸エリアのm2単価は現在80万円程ですが、今後5年で2割増、100万円程度まで上昇するでしょう。また、下町エリアのマンションのm2単価は平均67万円で、山の手エリアでは101万円ですが、東京五輪に向けた開発によって、下町エリアは90万円、山の手エリアは120万円まで上がると試算しています。
歴史的に見て不動産価格は『西高東低』と言われてきましたが、東京五輪がこの格差を縮め、東京全体の地価を向上させることになる。さらに千葉県の幕張、市川など郊外へ地価上昇は波及していくでしょう」
東京近郊だけではない。五輪決定で、安倍政権が掲げる年間来日外国人目標2000万人(現状のほぼ倍)は間違いなく達成すると見られる。日本各地に外国人観光客が訪れるシナリオを見越して、「実は外資系ファンドから、地方のいい不動産案件はないかとの問い合わせが来ている」(海外ファンドと取引のある大手不動産業者)というから、地方都市の地価アップも期待できるのだ。第一生命経済研究所の嶌峰義清首席エコノミストはこんな提案をする。
「たとえばお目当ての競技を生で見たら、その足で京都観光へ行こうと考える外国人も多いはずです。それならば京都に居ながらにして、競技も楽しめるパブリックビューイングなども用意すればいい。箱根、日光などでは、外国人が水着で温泉につかれるような施設も用意してあげるとより多くの観光客を集められる。そうした工夫によって、地方都市はさらなる地価上昇が望めるわけです」
■マネーはどこへ流れるか
株や不動産の価格上昇に次いでやってくるのが、「日本企業のV字回復」だ。
東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会は、五輪の経済効果として「大会関係施設への投資」「観戦客の消費」などを挙げ、建設業界や小売り・サービス業などに恩恵があるとしている。実際、国立競技場の建て替えで1300億円、選手村の新設で954億円など、建設業界には百億、千億単位のプロジェクトが次々と飛び込んでくるのだから、業界は未曽有の好景気を謳歌できるだろう。
しかし、五輪の経済効果は、それだけでおさまらないインパクトと広がりを持つ。BNPパリバ証券の中空麻奈投資調査本部長が指摘する。
「スタジアムなど施設の建設、インフラ整備・改修などが行われるので、おのずとセメントなどの建設資材産業もこの7年間は順調に受注を伸ばしていくでしょう。ヒトやモノの往来も激しくなるので、鉄道などの陸運や海運・空運業界も7年間ずっと忙しくなる。こうして各産業で設備投資などカネの動きが活性化してくると、次は資金の出し手である銀行・証券など金融業界が業績を伸ばしていく。
経済が回ってくると今度は消費が活性化してきて、飲食、衣服、百貨店から、自動車、電気製品などの需要も増えていく。景気の好循環が始まるのです」
五輪に向けて、都内各所でインフラの大規模整備も行われる。最大9100億円かけて行われるという首都高速の改修を筆頭に、1260億円かけて整備される環状第2号線などビッグプロジェクトが目白押しだ。
こうしたインフラ整備も、「やり方」によっては莫大な経済効果を生む可能性を秘めている。東洋大学の根本祐二教授が言う。
「実はいま日本ではトンネルの崩落事故、下水管の老朽化による道路の陥没事故などが多数発生しています。世界的に、インフラをいかに維持し更新していくのかという発想がなかったためです。だからこそ、東京五輪に向けて維持管理更新型のインフラに作り変えることが必要で、これができれば東京は優れたインフラをもつ都市として世界から評価されるでしょうし、維持管理更新型のノウハウを世界各国に輸出できるビジネスチャンスにもなります」
東南アジア、アフリカ、南米などにはまだ十分にインフラが整備されていない国が多い。世界各地の「インフラ受注合戦」をものにできれば、それこそ兆円単位ではきかない恩恵を日本企業にもたらすシナリオも見えてくるのだ。
「あまり知られていませんが、日本には、地雷探知から発展した技術を使って、地中などの空洞を検知する仕組みを作り上げているベンチャー企業もあります。五輪に向けたインフラ整備でこうしたベンチャーの技術を採用、育成していく思想も大事になってくるでしょう」(前出・根本氏)
■給料はどう上がるのか
五輪は世界中に日本の技術力をアピールできる場だという点も忘れてはいけない。五輪は「最新技術の見本市」であり、日本企業がこれをうまく活用できればビッグビジネスにつながるからだ。
「2000万人とも言われる訪日外国人が目で見て、直接触れるだけではなく、その一人一人が自分たちの母国に向けてフェイスブックなりツイッターなりで情報を発信してくれる。五輪の期間中、世界の隅々にまで日本の情報が溢れることになるでしょう。それは巨大なアピールになる。
私が注目しているのは、日本企業が世界に先駆けて取り組んできた省エネ、エコ分野の先端技術をいかに世界にアピールできるか。たとえば、都内のバスやタクシーをすべて電気自動車(EV)にして、EVがいつでもどこでも充電できるといった未来都市の姿を見せられればものすごいインパクトになります。ほかにも、自動翻訳、音声認識、文字認識の技術も7年後に実用化できているでしょうから、その最新鋭技術を五輪会場の至る所で利用できるようにするのもいいでしょう」(前出・嶌峰氏)
株や不動産の価格が上がり、日本企業も元気を取り戻すのだから、まさに「黄金の7年」の幕開けだ。もちろんこの7年の間には、アベノミクスでもいまだ達成できていない「賃金の上昇」がやってくる。SMBC日興証券の渡辺浩志エコノミストの解説―。
「五輪開催で、15万人の雇用創出が見込まれています。現在は約300万人の失業者がいて、失業率は3・8%。15万人の雇用が創出されると、失業率は約0・25%改善される計算です。
これは数値としては大きくはありませんが、失業率の下限が3・5%と言われている点にポイントがあります。失業率が下限に近付くと、労働マーケットは人手不足の状態になり、おのずと賃金が上がっていく。来年、賃金は1%程度伸びると考えていいと思います」
それだけではない。SBI証券の藤本誠之シニアマーケットアナリストによれば、「五輪によって日本人の生活スタイルがガラリと変わり、雇用面で革命的変化が起きる可能性もある」という。どういうことか。
「五輪をきっかけにして、都営交通の24時間運行が実施される見込みだからです。交通が24時間化すれば、海外のマーケットを見る必要がある金融機関や、海外と取引をする様々なグローバル企業において、いままで残業でカバーしていたところを、新たに夜間勤務の社員を雇うようになる可能性が出てきます。企業が昼と夜に勤務する人を分けるようになれば、その分の雇用が増えるわけです。
夜中に働く人が増えれば、彼らに対応した飲食などのサービス業も新たに雇用を増やさざるを得ません。労働人口の中ではサービス業従事者が最も多いので、この分野で雇用が増えることは経済への影響が大きい。結果として人手不足になるため、賃金も自然と上がっていくでしょう」(藤本氏)
■「五輪後」はもっとすごい
日本経済は昨年来のアベノミクスによって、どん底から復活のスタートラインに立った。東京五輪の決定は、そんな日本経済に吹く強烈な追い風となるのは間違いない。さらに、「黄金の7年」を下支えしてくれる巨人≠フ存在も忘れてはいけないだろう。米国の復活である。
「米国では住宅価格が安定してきて、個人消費も好調です。景気が回復基調に入っているため、金融緩和策も手仕舞いに向かうでしょう。そうなると米国の金利は上がり、これが円安を呼び込みます。
その後、さらに米国景気の回復が顕著になると、米国株も上がり始めます。米国株が上がり、円安になれば、日本の株はさらに上昇していくでしょう。2018年3月には為替は1ドル=125円程になると予想しています」(前出・渡辺氏)
こうして日本経済は、いまだ経験したことのない成長軌道を走り出す。われわれの悲願である「デフレからの脱却」も目前だ。岡三証券日本株式戦略グループ長の石黒英之氏が言う。
「日本では2015年くらいに、インフレが定着してくるでしょう。インフレ率2%が定着すれば、約800兆円といわれる個人の現預金が動き出します。インフレの分、金融資産が動き出せばいくらになるか。2%のインフレで16兆円です。これだけの額が毎年動けば、経済効果は莫大なものになるでしょう。株や不動産が上がり、個人資産が増え、これが消費を促すという正のスパイラルに突入するのです」
最後に、「五輪後」はどうなのかという点についても触れなければならない。
夢の祭典が終わってしまえば、熱気も冷め、需要も落ち込み、「五輪ショック」が起きるのではと危惧する向きもあるだろう。
実はその危険性は否定できないが、回避する方法もある。みずほ総合研究所の山本康雄シニアエコノミストが、「バルセロナ・ショック」を引き合いにこう語る。
「注意しなければならないのは、無駄な道路、建物を作り過ぎることです。余分なモノを作ると、五輪が終わった後で使い道がなくなり、無駄な投資に終わってしまいかねません。スペインではバルセロナ五輪の時に建設ブームになり、不動産バブルが起きました。それが崩壊し、経済危機に陥っているのが現状です。
バルセロナの教訓を活かせれば、日本はデフレから脱却し、安定的な成長が続く流れになっていくと思います。GDPは名目で3%成長、実質2%成長となり、物価は2%上がって、賃金が3%上がるというような緩やかなインフレになっていくでしょう」
証券アナリストの植木靖男氏は、「日本には1964年の東京五輪の教訓がある」として、こう語る。
「実は前回の東京五輪が開催された翌年に景気が急激に悪化して、日本銀行が山一證券の救済(日銀特融)に動いたという歴史があります。そうした教訓を日本の政策当局者は、忘れていないはず。政府は今回の『五輪後』には、景気対策に力を入れて強力な金融緩和策を実施するでしょう。
では、そのように景気が温まっている時に、未然に経済の悪化を防ごうと金融緩和策を実施すると何が起きるか。バブルが始まるのです。昭和から平成にかけてのバブルが始まった1986年というのは、まさにその好例です。
つまり、2020年から日本ではバブルが始まる。そうなれば、日経平均株価が10万円を目指す上昇基調が、おそらく2024年頃まで続くでしょう」
まさに日本経済はこれから、とてつもない変動を迎える。その幕開けの瞬間に、いま、われわれは立ち会っているのである。
「週刊現代」2013年10月5日号より
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