02. 2013年10月02日 01:16:44
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JBpress>海外>The Economist [The Economist] ドイツの連立協議:アンゲラの葛藤 2013年10月02日(Wed) The Economist (英エコノミスト誌 2013年9月28日号)見事な勝利を収めた後、アンゲラ・メルケル氏は政権の連立パートナーを選ばなければならない。緑の党に目を向けるべきだ。 ドイツ総選挙で保守与党が大勝 メルケル首相、歴史的3選へ アンゲラ・メルケル首相は9月22日の選挙で歴史的な勝利を収めた〔AFPBB News〕 5年前に金融危機が勃発して以来、欧州の大半の大国――英国、フランス、イタリア、スペイン――では、指導者が有権者にあっさり捨てられてきた。 しかし、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は9月22日に地滑り的な勝利を収め、同氏の率いるキリスト教民主同盟(CDU)の得票率は1990年の東西ドイツ統一以降最高を記録した。 政権を取ってから8年も経った後、これほど難しい時期にこれほど見事な勝利を収めたことで、メルケル氏はドイツのみならず欧州全体にとっても、誰もが認める指導者になった。 だが、連立相手だった自由民主党(FDP)が1949年以来初めて、ドイツ連邦議会(下院)での議席確保に必要な5%の得票率に届かなかったために、メルケル氏の勝利は色あせてしまった。これは残念なことだ。というのも、FDPはドイツ政界で唯一、自由市場、サプライサイドの改革、減税など、本誌(英エコノミスト誌)が好む経済自由主義を支持する政党だったからだ。 悲しいかな、外相のギド・ヴェスターヴェレ氏や経済相のフィリップ・レスラー氏を含むFDPの指導者は、政権で力を発揮できなかった。FDPが新しい体制の下で、もっと説得力のある自由主義の提唱者として立て直しを図ることが期待される。 SPDとの大連立が望まれているが・・・ CDUが絶対多数を確保できなかったため、メルケル氏は2つの中道左派政党のどちらかを新たな連立パートナーに選ばなければならない。連立協議は何週間も続き、ドイツの新たな推進力を切望する欧州の人々を苛立たせる可能性がある。 2005年の首相就任時と同様、メルケル氏が最初に選ぶのは、社会民主党(SPD)との大連立だ。この大連立は、有権者と、CDUの大半が望んでいるものだ。中道左派は既にドイツ連邦参議院(上院)で多数を占めているため、大連立となれば、強力な政府が誕生することになる。 だが、SPDはメルケル氏には以前ひどい目に遭わされたと思っている。2009年、メルケル氏と連立を組んで4年経った後の選挙で、SPDの得票率は戦後最低を記録したからだ。 再びメルケル氏と組む場合、SPDが求める対価は大きい。メルケル氏は、高い最低賃金、富裕層に対する新税導入、大半の改革の却下など、SPDが掲げる政策の中でも特にひどいものも飲まねばならないだろう。 SPDの一部議員は、連立協議から離脱し、緑の党と極左政党と一緒に「赤・赤・緑*1」連合を組む衝動に駆られるかもしれない。 *1=ドイツでは一般に政党カラーで連立・連合が示される。赤・赤・緑は、社会民主党(SPD)と左翼党、緑の党の連合を指す これを未然に防ぐ意味でも、メルケル氏は、下野して8年経ち、権力を切望する緑の党の良識ある人々に働きかけ、連立に引き入れる努力をすべきだ。 メルケル氏にしてみると、緑の党と話し合う妥当な戦略的理由がある。同党との連立協議は、SPDに馬鹿げた政策を捨てさせると同時に「赤・赤・緑」連合のリスクを排除するための最善の方法だからだ。 それでも緑の党と組むべき理由 CDUと緑の党の「黒・緑」連立は、扱いが難しい。ハンブルクやザールラントのような小さな州で試された時には成功しなかった。1つには、緑の党の党員と幹部がSPDよりも左に来るほど左傾化したためだ。だが、左寄りの指導部はこのほど辞任し、後任は緑の党のリアロ(現実主義)派から出てきそうだ。また、メルケル氏が突然決めた脱原発も、両党の環境政策を近づけた。 こうした状況はどれも、ドイツとその他欧州諸国との関係を変えるものではない。メルケル氏は間違いなくヴォルフガング・ショイブレ氏の財務相留任を望むだろうし、財政規律とユーロ圏の競争力強化を求める主張を和らげることもなさそうだ。債務の共有化については、SPDと緑の党の一部が支持しているとはいえ、どんな形の共有化もタブーであり続ける。 また、メルケル氏はドイツの納税者を保護することに従来以上に熱心になるだろう。有権者がその姿勢を支持しているだけでなく、反ユーロを掲げる新党「ドイツのための選択肢(AfD)」が連邦議会で議席を獲得する寸前まで行き、来年行われる欧州議会選挙でも善戦が見込まれているためだ。 しかし、メルケル氏のパートナー選びは、ドイツ自体に大きな違いをもたらす可能性がある。大連立は、不和で諍いの多い政権になるだけでなく、極右や極左に対する支持を増やしてしまう恐れもある。最小限の共通項で結ばれた政府として、政策は停滞する公算が大きい。これは憂慮すべき展開だ。 経済成長の見通しは暗い。ドイツが最後に改革を行ったのは10年前だ。ドイツは、労働市場と製品市場の規制を緩和し、サービスとエネルギーに一層の競争を導入し、インフラ投資を増やすために、もっと多くの対策を講じる必要がある。 すべてを考慮すると、メルケル氏は緑の党と組んだ方が、上記の懸案事項をより多く処理できるかもしれない。これは、欧州の事実上のリーダーがこの先決断を迫られる幾多の難しい選択の最初の選択になる。
JBpress>海外>Financial Times [Financial Times] イタリア首相、連立相手に激怒 ベルルスコーニ元首相の策略で政権崩壊の危機 2013年10月01日(Tue) Financial Times (2013年9月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
伊5閣僚辞意で政権崩壊の危機、来月2日に信任投票 連立政権崩壊の危機に立たされたエンリコ・レッタ首相〔AFPBB News〕 イタリアのエンリコ・レッタ首相は5カ月前から連立を組む相手に激怒し、共同で運営してきた政権を崩壊させることにしたシルビオ・ベルルスコーニ元首相の決断を「常軌を逸した無責任な行為」と非難した。 金融市場は9月30日に、ベルルスコーニ氏の最新の策略がイタリアに与えるコストを判断することになるが、事態を動かしているのは、狂気ではなく、ベテラン運動家のマキャベリ的な政治へのアプローチだ。 9月29日に77歳になったベルルスコーニ氏は、レッタ内閣が27日夜に、10月1日に予定されている付加価値税(VAT)増税を阻止しないことを決定したことに対し、自身の率いる中道右派政党・自由国民所属の5人の閣僚に辞任を命じたと主張している。 レッタ氏はこの声明を「イタリア国民が見透かす大嘘」と呼び、ベルルスコーニ氏は8月1日に脱税で有罪が確定した結果、上院からの追放と公職禁止に直面する個人的な窮地を免れるために危機の引き金を引いたと非難した。 ベルルスコーニ氏が巧妙に準備した罠 9月27日の閣議に出席したあるイタリア政府高官は、匿名を条件に、ベルルスコーニ氏は巧妙に準備した罠を仕掛けたと言う。 レッタ首相は閣議でVATの税率引き上げに代わる代替策を提案した。ガソリン価格の引き上げを含め、VAT以外の負担増を伴う内容だった。だが、ベルルスコーニ氏の配下の閣僚らは、VAT増税を断行することに同意し、連立政権を崩壊させるために必要な口実を作ったのだという。 「ベルルスコーニはギャンブラーだが、狂っているわけじゃない」と先の高官は言う。「彼は選挙公約には税金問題を据えるしかなく、自分の法廷闘争を争点にできないことを知っている」 イタリアの財政赤字をブリュッセルと合意した国内総生産(GDP)比3%という上限以内にとどめる方法について与党2党間の困難な交渉にかかわった別の政府当局者も、レッタ首相とファブリツィオ・サッコマンニ財務相がVAT問題で状況を読み誤り、本来は歳出削減のようなもっと大胆な措置を講じるべきだったと見ている。 ベルルスコーニ氏が解散総選挙を要求するつもりにせよ、その影響力を駆使して今後2カ月間の予算審議で政府の財政政策を意のままに操るつもりにせよ、政治危機の脅威が決して遠ざからないことは、はっきりしている。 「市場はイタリアの機能不全の政治には慣れっこになったが、今や事態が手に負えなくなりつつある感があり、イタリアとユーロ圏に潜在的に危険な結末をもたらす恐れがある」。ロンドンのソブリン債務アナリストのニコラス・スピロ氏はこうコメントした。 「しばらく前から、イタリアの問題はもう、切望される改革が実行できるか否かではなく、むしろ、麻痺状態のレッタ政権がクリスマスまで持つかどうかが争点になっていた」 レッタ首相が味わう屈辱、批判派の誤りを証明できるか? レッタ氏が抱く屈辱感は目に見えるようだ。47歳の首相は先週ニューヨークで潜在的な投資家を相手に、「若く、高潔で、信頼に足る」国としてイタリアを売り込んだと思いきや、翌日ローマに戻ると、自身の政権がベルルスコーニ氏に人質に取られたことを知る羽目になったのだ。 セックスとジョーク、ベルルスコーニ伊首相の遺すもの シルビオ・ベルルスコーニ元首相〔AFPBB News〕 メディアの評論家から善意を抱く弱い政治家と評されるレッタ氏は、ブリュッセルに課せられた財政上の制約と、連立相手の工作の板挟みになっている。連立相手の自由国民は、自分たちの指導者は左派に支配されている司法の手で政治的に失脚させられたと考え、工作に走っている。 レッタ氏は、断固たる行動を取るよりは、むしろ交渉による妥協に傾きがちなキリスト教民主主義者としての原点に根差しているとの印象を拭いきれないでいる。 しかし、レッタ氏が譲歩することなくベルルスコーニ氏の威嚇を退け、中道右派や野党・5つ星運動の反乱分子を味方に引き込むことで政権崩壊を回避することができれば、自身が所属する民主党内でも、首相の座を狙うフィレンツェ市長のマッテオ・レンツィ氏からの挑戦を退けられるかもしれない。 9月30日か10月1日に行われると見られるレッタ氏の議会演説は、批判勢力が間違っていることを証明するチャンスかもしれない。 By Guy Dinmore in Rome
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