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北京市内で開催された不動産物件を紹介する展示会。各地で「地王」が出現している =今年4月(共同)
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130927/frn1309271531003-n1.htm
2013.09.27
中国の不動産市場で今「地王」という新造語がはやっている。国有地使用権譲渡の入札で競争相手を圧倒する大金を出し意中の土地を手に入れた開発業者のことだ。今月初旬から各地で破天荒な「地王」が続々と出現したことが大きな話題を呼んでいる。
まずは4日、北京市内の農業展覧館の敷地にある2・82ヘクタールの土地が21億元(約336億円)で取得された。1平方メートルあたりの単価で7・3万元(約117万円)だ。中国で国有地譲渡が始まって以来の単価最高記録という。
翌5日、上海、杭州、蘇州の3つの大都市でも「地王」が現れた。上海市内の徐家匯界隈(かいわい)、杭州市内の華家池界隈、蘇州市内の金鶏湖界隈にある3つの1等地がそれぞれ、217億元、136億元、47億元で落札された。
そして18日、天津市内の「黄金地帯」にある国有地が130億元で業者に譲渡された。これも天津市国有地譲渡史上の最高額である。
狂気とも思われるような「地王」がなぜ続出するのか。著名な経済学者で中央テレビ局特約評論員の馬光遠氏は今月6日のブログでこう分析している。
曰(いわ)く、今の「地王現象」は地方政府と不動産開発業者との共謀の産物である。全国の地方政府の負債総額が20兆元にも達している中、返済に迫られた各地方政府は巨額の土地譲渡金を獲得しようとする。一方、業者たちは「地王現象」を華やかに演出することによって、「今買わなかったら後になって不動産価格はさらに上がるぞ」との空気をあおり、一般の人々に物件購入を急がせようとたくらんでいるのである。
つまり、業者たちは乾坤一擲(けんこんいってき)の販売促進のため、あえて「地王」となったわけだが、その大いなる賭けを支えているのはやはり、一般消費者が今後、より高い価格で不動産を大量に買ってくれるとの熱い期待であろう。しかしそこには、大変危険な落とし穴があるのである。
ちょうど「地王現象」が話題を呼んでいるこの9月、全国の商業銀行による住宅ローン業務停止の動きが急速に拡大しているのである。
国内紙の『毎日経済新聞』は11日、北京、上海、広州、深センなどで複数の商業銀行が住宅ローン業務を停止していると伝えた。数日内に多くの国内メディアも同じ情報を流したから事実なのであろう。それから1週間、成都・重慶・済南・南京・洛陽・合肥などの地方都市でも、多くの商業銀行が住宅ローン業務の停止あるいは貸し出しの制限に踏み切ったという。
金融不安が拡大している中で、中国の商業銀行は保身のためにリスクの高い不動産関係融資から手を引こうとしているのだ。まさに、7月4日掲載の本欄が予想した通りの展開になっているのだが、問題は不動産市場に与える深刻なダメージである。
「地王」たちが巨額の資金を投入して土地を購入すれば、当然それを高く売らなければならない。だが、銀行の住宅ローン停止が今後も続くなら、一体誰が彼らの作った高い不動産物件を買おうとするのだろうか。そのままでは、「地王」たちを待っているのは、もはや破滅的な結末でしかない。
そして「地王」の破滅は結局不動産バブル崩壊の引き金となろう。不動産価格が暴落すれば銀行の不良債権はさらに膨らみ、金融不安の危険性はよりいっそう高まる。そうすると銀行はさらなる保身策に走り、ますますお金を貸さなくなる。
その結果、不動産市場はさらに冷え込み、企業活動も萎縮してしまう。中国経済は、果てのない転落の道をたどっていくであろう。
上述の馬光遠氏も指摘したように、今の異様な「地王現象」はまさに、中国経済の「最後の狂気」のように思えてしかたがない。
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【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
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