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http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20130925-00028395/
2013年9月25日 11時55分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
9月も残り少なくなりました。でも、なかなか涼しくなりませんね。
いずれにしても今週末にはあまちゃんも終わり、そして、来週火曜日からは10月となる。
10月になると言っても、日本では、それほど何かが変わるという感じはないのですが‥しかし、アメリカは違います。
何故か? それは、10月から新年度が始まるからなのです。
「アメリカの学校は、9月から新学期が始まるよね、10月ではなく‥」
それはそうなのですが‥政府は10月からが新年度を迎えるのです。つまり、10月から新しい会計年度に入る、と。そして、新しい会計年度に入るということは、新しい会計年度の予算が必要であり‥そして、そのための借入権限を連邦政府に認める必要があるということなのです。
では、アメリカは、準備万端なのか?
答えは、その反対! 何にも決まっていないと言ってもいいほど。それにまたしても連邦政府の借入限度枠が問題になっているのです。つまり、連邦政府の借入額が限度ギリギリになっており、このままの状況では10月の半ばには限度を超すことになり、連邦政府は資金繰りがつかなくなってしまうことが懸念されているのです。
「またなの?」
そうなのです。またしても同じことを繰り返すアメリカ! 何故そのようなことが繰り返されるかと言えば‥一言で言うならば、議会が捻じれているから。下院は共和党が多数を占め、その反対に上院は民主党が占めているからなのです。
「妥協はあり得ないの?」
妥協があり得ないのかと聞かれれば‥全然妥協があり得ない訳ではないものの、最後まで突っ張りとおすことが当たり前みたいになっているのです。
しかし、いずれにしても、今までも散々世界中の人々を心配させながらもどうにかやってきている訳であり‥というか、本来であれば、債務限度枠の問題や財政の崖の問題で、米国の経済が大変深刻な状況に陥っていてもおかしくないのに‥実際には拍子抜けをするほどまあまあどうにかやっているのです。
ということで、益々アメリカの政治家たちは高を括っているようにしか思えないのです。
お互いに足の引っ張り合いのようなことを続ければ、本当に政府機関の閉鎖や、財政の破綻という最悪の事態が発生するかもしれないというのに‥まさか相手方が最後まで突っ張りとおすことはないだろうという思いでチキンレースを続けているのです。
「今は、何が一番問題なの?」
依然としてオバマ大統領が導入した医療保険制度が問題になっているようです。共和党の方は、どうにかしてオバマケアを潰してしまいたい、と。一方の、民主党は、それこそが弱者のための政策のシンボルだから、どうしても維持したい、と。
私は、普段はオバマ大統領にシンパシーを感じることは少ないのですが‥このオバマケアについては、大統領の考えの方が正しいような気がします。というよりも、一旦成立したオバマケアをいつまで経っても認めようとしない共和党の人々の考え方が理解できない、と。
いずれにしても、今回もまたタイムリミットぎりぎりまでチキンレースが続くものと予想されます。しかし、その一方で、慣れてきたせいか多分今回も危機は回避されるであろうと予想する人々が殆どではないでしょうか?
今年の始めの財政の崖の問題も、あれだけ大騒ぎをさせながら特段支障が出ているようにも見えない訳ですから‥アメリカのことについて真剣に考えるのはバカバカしいと感じている人が多いのではないでしょうか。
しかし、そのようなときこそ危ないのです。多分なんとかなるだろうと皆が思うから、気が緩んでしまうのです。
そして、仮に本当に連邦政府が資金繰りがつかなくなってしまうと、一時的かもしれませんが、米国債が暴落するような局面も想像できないではないのです。
では、そうした事態に仮に陥ったとして、日本にはどのような影響を及ぼすのでしょうか?
円が逃避通貨とみなされ、円高が進むのか? それとも、日本の国債に関しても連想ゲームで暴落してしまうのか?
難しすぎてなんとも言えません。ただ、日本としては急激な円高が進むのも、逆に、国債が暴落して円安がさらに進むのも、どちらにしても深刻な影響を及ぶすことが懸念されるのです。
何故かと言えば、再び1ドル80円台前後にまで円高が進めば、心理的に相当のダメージを与えるだけではなく、これまでのアベノミクス効果が全て剥ぎ取られてしまうからです。そして、逆に国債が暴落するようなことが起きれば、仮に円安が進んでも、長期金利の急上昇を伴うので、それもまた経済を混乱させてしまうからなのです。
以上
小笠原 誠治
経済コラムニスト
小笠原誠治(おがさわら・せいじ)経済コラムニスト。1953年6月生まれ。著書に「マクロ経済学がよーくわかる本」「経済指標の読み解き方がよーくわかる本」(いずれも秀和システム)など。「リカードの経済学講座」を開催中。難しい経済の話を分かりすく解説するのが使命だと思っています。
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