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オバマ大統領の存在感が薄れて金融界にも悪影響がおよぶ(AP)
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130925/ecn1309250732004-n1.htm
2013.09.25 森岡英樹の金融スクープ
FRB(米連邦準備制度理事会)・バーナンキ議長の、事実上の幕引き会合となるとみられた17、18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)。だが、議長が発した市場へのメッセージは、予想に反して「量的金融緩和の縮小見送り」だった。労働市場が予想ほど改善していないというのが主要因だが、実際は、シリア問題や当局による個人情報収集など議会対策で窮地に立つオバマ大統領への配慮が優先されたとみるべきだ。
10月中旬には懸案となっている債務上限の引き上げ問題も控えている。議会との調整が難航して債務上限が引き上げられない場合、米国はデフォルト(債務不履行)に陥る可能性もある。
シグナルはFOMCの2日前にあった。FRB次期議長の最有力候補とみられていたローレンス・サマーズ元財務長官が15日、次期議長の指名を辞退したのだ。オバマ大統領に送られたサマーズ氏の書簡には、「今、この国は複雑な時期にあります。私は、自分のFRB議長就任承認のプロセスは厳しく、FRBや政権の利益、ひいては現下の景気回復の利益に資しないだろう、という結論を不本意ながら下しました」とつづられていた。「不本意ながら」に、サマーズ氏のじくじたる胸の内がにじみでている。
当初、9月のFOMC前までには決定するとみられたオバマ大統領の次期FRB議長指名は先送りされ、量的金融緩和の縮小も先送りされたことは、オバマ大統領の求心力低下を強く印象付けた。金融分野におけるオバマ大統領の譲歩は際立っている。成立から3年を経ても本格実施に踏み込めない金融規制改革法はその象徴である。
バーナンキ議長は18日の会見で次のように語っている。
「最も悔やまれることは、危機を未然に防げなかったことだ。危機というのは、ひとたび始まると阻止するのが極めて難しいと考えている。われわれが持っていた権限を考えると、可能なことはやったと思っている」
2008年9月のリーマン・ショック。米国最大の経済危機を未然に防げなかったことが、議長の胸にとげのように突き刺さっている。危機を2度と起こしてはならない。そのための金融規制改革法ではなかったのか。
2010年7月に成立した同法。銀行によるリスクの高い自己資金での投資を禁止し、金融システムを安定させる規制は、最終的に800ページを超える。だが、400近い条項のうち、最終的に決定したものはわずか40%にすぎない。多くはいまなお議論の最中にあり、“風前のともしび”だ。
背景には、金融業界の強烈なロビー活動がある。今月19日には、ウォール街のロビー団体が、銀行が商品取引で果たす役割を擁護する報告書をまとめ、議会関係者に手渡した。
「アメリカ国民は、ウォール街の過ちのツケを2度と払うことはなくなる」
こう豪語したオバマ大統領だが、その筋道は不透明となりつつある。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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