http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/643.html
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特定のサークルに属する生身の人たちが決めている事柄だから、当然、情報漏洩もあるとは思う。バーナンキ議長に限らず、FRBのメンバーは、9月のFOMCで量的緩和の縮小を行わない(行うとしても10億ドルレベルといった象徴的なものでとどめる)ことを“知っていた”。そのような情報が、金融界の大立て者たちに伝わることなくきちんと秘匿されていたと考える方がナイーブであろう。
冗談はともかく、今回の「量的緩和縮小延期」は、FRBの言動を少しでもまじめにフォローしている人なら“読み筋”の決定である。
予測があたっても、アナリストでも予想屋でもないから自慢に意味はないし、投機活動はしないのでメリットもないが、末尾に引用させて貰うように、私ごときでも、9月のFOMCでの「量的緩和縮小延期」は予測できた事柄である。
9月のFOMCで「量的緩和縮小」が決定されると考えていたプロが多数派だったのなら驚くばかりである。
このようなことから、転載する記事で触れられた金取引にかかわる“7ミリ秒の疑惑”も、きわどい事前漏洩があったと考えるより、ずっと前からわかっていながら意図的にギリギリのタイミングを狙って買いを入れただけの話とみたほうがしっくりくる。
記事より経緯引用:「18日のFOMC声明文発表直前まで、金市場は「9月量的緩和縮小発表」を織り込み、売りが先行する中で1300ドルの大台での攻防が続いていた。しかし、大方の予想に反し、「緩和縮小延期」となったので、声明文発表直後に1340ドル台まで急反騰し、更に同日の大引けまでには1370ドルまで続騰した。先物市場での空売り投機筋が、一斉に損切りの買い戻しを入れた」
また、日本で5月に起きた「長期金利上昇」も、黒田日銀の金融緩和策批判の中心材料として大きく利用されたにもかかわらず、10年物国債の利回りがゆっくりと低下していくなかで忘れ去られている。
(0.8〜0.9%だった10年物国債の利回りは、現在、0.6〜0.7%に低落している)
異次元の量的緩和で長期国債の利回り(長期金利)が上昇すると煽ったり、それを理由に黒田日銀や安倍政権を批判したりした経済評論家や主要メディアは、頬被りせず、きちんと総括してもらいたい。
※ 参考
● 米国の量的緩和策継続問題
「外国人投資家の資金 韓国市場から流出始まる:韓国に緩和後流入25兆円:バーナンキ発言は景気が回復したらの条件付き」
http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/557.html
「バーナンキ氏は、自分の発言に反応して投機活動に躊躇心が湧き起こったことで、してやったりと思っているだろう。
バーナンキ氏は、米国の景気が回復したら量的金融緩和政策を終わりに向かわせると、従来からの発言を繰り返しただけなのに、多くの投機家が瞬く間に反応するから面白い。
FRBは、実体経済が思わしくないなかで進む金融緩和政策にのった株式市場の活況や家計所得の伸びとかけ離れた住宅価格の急上昇に“チェック”を入れたかったのであろう。
株式市場はともかく、長期金利の上昇は、米国債に絶好の買い機会を与えているようだ。
ほぼ金融緩和政策だけに依存していると言える米国経済の実状を考えたら、出口に向かうと考えるより、QE4・QE5と続くと考えたほうがいいように思える。」
● 日本における「長期金利上昇騒動」
「野口氏の正論は空論:「インフレターゲット」は建前だけの冗談:日本にとっての出口戦略は金利上昇なきインフレ」
http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/491.html
「アベノミクスの目的は、来年4月と再来年10月に予定されている消費税税率アップが経済社会に与える打撃を財政出動でできるだけ緩和することであり、残高が750兆円にも達する「国債サイクル管理」をスムーズなものにするとともに、国債を膨大に保有している「銀行の経営健全性維持」を図ることである。
「銀行の経営健全性維持」とは、ひとえに保有国債の価値維持である。
このようなことが理解できていないから、5月に起きた「長期金利の上昇」の“意図”が読み取れないのである。
野口氏も、「長期金利の上昇は、期待インフレ率の上昇に応じて、前述の調整が現実に進んでいることの証拠」と勘違いしている。
現在も0.8%から0.9%のあたりである10年物国債の利回りは、アベノミクスの“副作用”の結果として生じたわけではなく、日銀が意図的に誘導した金利水準なのである。
毎月7兆円強の“介入資金”があり、市場参加者との意見交換も行っている日銀は、全ての年限について迅速にというわけにはいかないが、長期金利の水準もある範囲で収めることができる。
《中略》
日銀が長期金利を上昇させた目的は、地方銀行が保有する国債の平均年限を短縮させる(都銀より長い国債を保有)ことであり、生保など非預金金融機関に“高利回り”の国債を移行させることである。
(住宅ローン金利の上昇は意図していたわけではないだろうが、消費税増税前の駆け込み需要が期待できる今、少しは期待していた可能性がある)
ざっくり言えば、日銀が買いオペしない状況で、地方銀行が残存期間の長い国債を多めに売却すれば、価格が下落(利回りが上昇)する。それを長期の国債が欲しい生保が安く(高利回りで)購入したわけである。地銀は売却したお金で、より短い国債を買うか、日銀当座預金に預けることになる。
今月11日の日銀政策委員会後の記者会見で、黒田総裁は、長期金利の変動率が大きいことは問題だとしたが、その水準を問題視している様子は見せなかった。
今後、地銀をはじめとする銀行が保有国債の平均年限を短くする一方で、生保など非預金金融機関の保有国債の平均利回りを引き上げるめどが付けば、長期金利は0.5%前後まで低落して落ち着くと考えている。
金利が低落して落ち着けば、生保などは、現金が必要なとき、安く(高利回りで)購入した国債を高い価格で売ることができる。(生保は、日銀当座預金を利用したり日銀からの融資を受けたりすることはできない)
銀行に関して言えば、国債残存期間が3年を下回れば、国債(3年物利回り0.14)を保有していようが日銀当座預金(付利0.1%)に預けていようが決定的な違いはない。」
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7ミリ秒の疑惑 FOMC声明文が事前漏洩か[豊島逸夫の金のつぶやき]
2013/9/25 10:22
9月18日、米国東部時間午後2時に米連邦準備理事会(FRB)から発表された「緩和縮小延期」声明が、7ミリ秒(7/1000秒)以内にトレーダーに伝わっていたとの疑惑が生じて議論を呼んでいる。
取引員たちの目はアルゴリズム売買のモニター画面に集中(ニューヨーク商品取引所)
ナネックス(シカゴの調査会社)が指摘して、FRBも調査を始めている。この声明文は、ワシントンで午後2時(米国海軍天文台が設定する時刻)に発表されたが、その7ミリ秒内に、シカゴで金売買やE−miniフューチャーズ(個人向け少額先物取引)で、売買が成立しているというのだ。
光速通信を駆使してもワシントンからシカゴまで7ミリ秒以内で情報を伝達することはできないはず。人間のまばたきが300ミリ秒という。
アルゴリズム取引では、「緩和縮小延期」の情報がインプットされた瞬間に、人間の力の届かない「ブラック・ボックス」の中で、自動的に金であれば「買い」注文が出される。では、実際にどのように、この声明がメディアに流れるか、そのプロセスを追ってみよう。
まず午後1時半に、各通信社の記者がロックアップ・ルームと呼ばれる鍵のかかったFRB内の部屋に入る。各自、事前に機密漏えい禁止に関する厳しい書類に署名している。午後1時45分には、その部屋に鍵がかけられ、出入りは出来なくなる。そこで、声明文のコピーが配布され、各記者が急ぎ読み込んで午後2時からの報道に備える。そのような環境下で、果たして、外部への情報伝達が可能か否か、FRBが調査中なのだ。
当局が神経質になるのは、今年に入り、同様の出来事が生じているからだ。
1月には、米エネルギー情報局(EIA)が天然ガスリポートを発表する400ミリ秒前に、天然ガス先物売買が急増したという事例が話題となった。6月には米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した製造業景況感指数を超高速取引トレーダーが15ミリ秒早く入手して事前に売買を実行したとの疑惑も明らかにされた。
更に、大手通信社が「特別会員」にミシガン大学消費者信頼感指数を午前10時の正式発表より早く午前9時54分58秒に伝えていたことが議論の対象となった。このような事例は、データ・プロバイダーのビジネスとして既に定着している。実際、大手通信社が提供するサービスでは、普通会員でも午前9時55分には、データにアクセスできる。これが、「情報格差」の例とされたのだ。
そして、今回のFOMC声明文。さすがにFRBも無視できなくなったようだ。
特に、18日のFOMC声明文発表直前まで、金市場は「9月量的緩和縮小発表」を織り込み、売りが先行する中で1300ドルの大台での攻防が続いていた。しかし、大方の予想に反し、「緩和縮小延期」となったので、声明文発表直後に1340ドル台まで急反騰し、更に同日の大引けまでには1370ドルまで続騰した。先物市場での空売り投機筋が、一斉に損切りの買い戻しを入れたわけだ。
超高速取引が支配する市場では、7ミリ秒のアドバンテージは大きい。筆者は今年5月と9月にニューヨーク商品取引所を訪問しているが、ピット(売買の場)では、取引員がブースに備え付けのアルゴリズム売買モニター画面に見入り、また、タブレットで電子取引の最新売買状況を常にチェックしている姿が印象的だった。
もはや、場立ちの出る幕はない、と嘆く旧知のベテラン・フロアトレーダーもいた。今のトレーダーに必要なスキルは、テレビゲームで鍛えられた、瞬時にキーボードをたたくスピードである。
http://www.nikkei.com/money/gold/toshimagold.aspx?g=DGXNMSFK25008_25092013000000
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