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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130924-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 9月24日(火)17時43分配信
2020年の東京オリンピック開催が決定し、日本中が浮かれています。しかし、世界的には東京オリンピックの開催を危ぶむ声も多いのです。最悪の場合、中止やボイコットもあり得るという見方もあります。その理由は明確です。
福島第一原子力発電所の汚染水問題です。
安倍晋三首相はオリンピック招致プレゼンテーションで、「汚染水問題はコントロールされている」と発言しました。誰の目から見ても嘘であるこの発言によって、海外の不信感は増大しています。海外メディアは安倍首相の嘘に敏感に反応しましたが、最も鈍感なのが日本のメディアと日本人です。メディアにとってオリンピックは極めて大きな利益をもたらすために、世界的な嘘にさえ目をつぶっているのです。
東京オリンピックのために膨大な予算がつき、豪奢な施設の建設やインフラ整備が行われていきますが、被災地は取り残されたままで、復興は計画通りに進まない状況です。安倍首相はオリンピックを「アベノミクス第4の矢」と称し、デフレ回復の切り札として息巻いていますが、経済復興優先で原発処理問題を後回しにする姿勢は、やがて世界からも批判されていくでしょう。
お祭り騒ぎの今こそ、その背後に潜む危険に目を向けなければならないのです。かつてチェルノブイリ事故を体験したソ連は、その事故処理に膨大なリスクを負うことになり崩壊しました。日本もそのリスクを背負っていることを忘れてはいけません。
●大きく傾くアメリカ経済
アメリカでは国を分裂させるほどの問題が発生しています。シリア問題です。軍事介入を進めようとするオバマ政権に対し、アメリカ軍のデンプシー統合参謀本部議長は反対の姿勢を示し、真っ向から対立しました。国内の世論も二分しており、まさに分裂状態です。
さらにアメリカの国家安全保障局(NSA)は、イギリスの機関と組んでインターネットの暗号を解読していたことが露見しました。金融取引の暗号や、Facebookやグーグルの暗号も勝手に解読していたのです。さらに、ソフトウェアにあらかじめ「のぞき穴」を入れていたという疑惑も浮上しています。国家がハッカーまがいの犯罪を行っていたということで世界中に衝撃が走っています。アメリカの国際的信用も失墜しました。
アメリカの経済も不安定です。アメリカ国内の住宅ローン申請件数も下がっており、不景気が訪れています。またアメリカでは80年前のような銀行と証券の分離を進めており、今後銀行がヘッジファンドにお金を貸せなくなります。これにより「静かな金融」へと戻っていくでしょう。世界同時好景気ということは起こらなくなるのです。
アメリカはグローバル経済を支えていたポンプを自ら止めようとしているのです。これまでアメリカという親亀の上に乗って繁栄していた日本や中国は、国のあり方さえ変えていかなくてはならない局面を迎えることでしょう。
●これから始まるグローバルな変化の時代
しかし、日本の政府や大企業は、このような変化を予知できていないようです。これまでの古い考え方で経済を考え、今後の経済対策を計画しています。グローバルな変化が訪れた時、それらは破綻し、恐慌を招きかねません。オリンピックで浮かれている場合ではないのです。
オリンピック景気で株が上がったといわれますが、それは嘘です。株が上がったのは、アメリカがシリアへ軍事攻撃をしないことがわかったからです。最悪の状況が回避されたことによりドル高になり、株が上がったのです。たまたまオリンピックと重なったことで、オリンピック景気が訪れたように錯覚しただけです。どうやら日本全体が、オリンピック開催に浮かれて物事の本質が見えなくなってきているようです。
安倍政権の財政再建は、原発問題によって暗礁に乗り上げる可能性が大きいでしょう。東電の後処理や汚染水問題の解決、エネルギー問題対策が大きな足かせになるからです。財政再建を嘘によって解決することはできません。被災地の復興と原発問題の解決を優先する「真の再建」なしに、本当の日本の復興はあり得ないのです。
これからは「大きなものが瓦解する時代」です。古い考えに縛られた政府や大企業が揺らぐとき、いくつもの隙間が生まれます。それはちょうど財閥解体が行われた戦後と似ています。その時、現在の日本経済を支えているソニーやホンダなどの新興企業が勃興したのです。これからまさにその時代に突入します。政府や大企業に頼らず、個人の力がさらに大きな力になる時代となります。
オリンピックに浮かれることなく、冷静に足元を見つつ時代をつくっていく人が、これからの成功者となるでしょう。
藤原直哉/経済アナリスト、シンクタンク藤原事務所会長
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