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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE98N02V20130924
2013年 09月 24日 12:51 JST
[東京 24日 ロイター] - 為替市場で、ドル高/円安シナリオが見直しを迫られている。米国の量的金融緩和(QE)縮小の見送りをきっかけに、米経済に対する疑念が浮上。米金利も低下し、ドルのサポート体制が揺らいでいる。
実需の買いが支えているが、投機筋はいったん様子見。年末時点の予想を修正する金融機関も増えてきた。
<米景気への不安高まる>
これまでの堅調なドル相場は、「米経済の独り勝ち」、「金融緩和策の出口に最も近い」との見方を背景に余剰資金がドル資産に流入したことでサポートされてきた。しかし、ここへ来て、米国の景気の雲行きが怪しくなってきたことに加え、これまでの米景気回復が本物だったのかと疑問を呈する声も上がっている。
米連邦準備理事会(FRB)がQE縮小を見送った理由の1つは米雇用の回復が鈍いからだった。失業率は低下基調にあるが、労働参加率の低下が要因であるほか、ティーンエージャーの失業率は22.7%、黒人の失業率は13.0%と構造的な問題を抱えている。
また米経済をけん引してきた住宅市場にも不安が強まっている。 「米雇用や消費が良くないことは明らかだが、米住宅市況の回復は、個人の買い替えや新規取得がけん引するものではなく、投機筋が、モーゲージREIT(不動産投資信託)で様々な物件を物色した結果であって、本物の回復とは言い難い」(国内機関投資家)。
住宅市場で膨らんだ投機的ポジションは、米長期金利が想定以上に上昇したことで、巻き戻しを迫られている。米財務省証券10年物利回りは5月1日の1.6140%付近から9月6日には3.007%付近まで上昇。米金利の急激な上昇により、広い意味でのドル・キャリートレードが巻き戻され、投機筋は調達面と運用面の両サイドで損失が拡大した。
<薄らぐ米金利のサポート>
米金利の急激な上昇は、投機筋の損失を拡大する一方で、ドル/円相場の下支え要因となってきた。しかし、QE縮小見送りで、米金利は低下。ドル/円相場は金利面からのサポートも失いつつある。
JPモルガン・チェース銀行、債券為替調査部長の佐々木融氏は、「QE縮小の延期を受けて米金利に低下余地が広がっていることや、日本の政治状況の不透明感、キャピタルゲイン課税に備えて個人投資家が株をいったん売却する可能性があることなどから、10月のリスクは円買戻し方向だとみている」と述べる。下値のメドは95円割れの水準だという。
JPモルガン・チェース銀行は前週末、ドル/円の年末時点の見通し水準を105円から100円に引き下げた。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁は23日、経済には依然支援が必要としたうえで、失業率が6.5%に低下した後、長期間利上げを見送ることも可能であるとの認識を示した。
<興味失いつつある投機筋>
市場では、テーパリング(量的緩和の緩やかな縮小)期待がしぼむにつれ、ドル/円相場への投機筋の参加が減っているという。「アベノミクスの進展も不透明ななかで、これまで執拗に(ドル/円の)押し目買いを続けてきたファンド勢も、次第に興味を失いつつあるようだ」(外銀)とみられている。
目下、ファンド勢に代わってドルの下値を支えているのは、本邦の輸入企業だとされ、現時点では98円割れの水準から買い意欲を示しているという。他方、99円台では輸出企業のドル売り需要があるとされる。
今後の焦点は、年末にかけて投機筋がドル高/円安でもう一勝負かけるのか、それとも、これまで構築されてきたドル買い/円売りポジションをさらに圧縮するのかだが、現時点では「ドルを大幅に持ち上げるのは至難の業」(投資家)との意見が多い。
(森佳子 編集:伊賀大記)
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