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〈日曜経済講座〉消費増税は誰のため? 日本は欧米の「現金支払機」なのか 編集委員・田村秀男(ZAKZAK) 
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/620.html
投稿者 かさっこ地蔵 日時 2013 年 9 月 24 日 10:25:54: AtMSjtXKW4rJY
 

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130924/ecn1309240906000-n1.htm
2013.09.24


 18日昼、安倍晋三首相が苦悩の末、消費税増税を決断したと聞いたとき、ふと、「9月は日本にとって因縁の月か」と思った。「平成バブル」へと日本を導いたプラザ合意(昭和60年)、米中が裏で示し合わせてアジア通貨危機対策での日本の主導権を葬り去った国際通貨基金(IMF)・世界銀行香港総会(平成9年)、そして日本のデフレ不況を加速させたリーマン・ショック(20年)も9月の出来事である。日本はそのつど、国運を狂わせた。

 リーマン・ショック直後に財務相に就任したのは故中川昭一氏で、20年10月10、11の両日にはワシントンで先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議などを精力的にこなした。

 以下は氏から直接聞いた秘話のメモである。

 10日、ポールソン米財務相、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長らに対して公的資金投入による金融危機対策を厳しく迫った。11日にはブッシュ大統領主催のホワイトハウスでの歓迎パーティーに出席。そこに飛び込んできたのは、北朝鮮に対する米国の「テロ国家指定解除」という重大ニュースだった。中川さんはそれを耳にするや、前日にも会って面識のあるブッシュ大統領に走り寄った。「大統領、どうしてですか。日本人などの拉致問題をどうするのか」と詰め寄る。大統領は「あそこにいるコンディ(コンドリーザ・ライス国務長官)に聞いてくれ」と逃げ出した。

 中川さんは帰国後、訪ねてきた米共和党の要人に向かって、口頭でホワイトハウスへの伝言を託した(筆者はこの場に居合わせた)。内容は、「いくら世界のためだ、黙ってカネを出せと言われても、日本はキャッシュ・ディスペンサー(CD、現金自動支払機)になるつもりはない」。遺言だな、と今思う。

 筆者が知る限り、国際金融の舞台での致命的とも言える日本の弱さにいらだちを強く感じ、激しく行動した政治家は、中川さんしかいない。

 消費税増税問題を国際金融の次元でとらえ直すと、日本は増税によって米欧のための「キャッシュ・ディスペンサー」の役割を確約したといえるかもしれない。

 日本は世界最大の外国向け資金の提供国であり、その基本的な担い手は家計である。家計金融資産の多くは銀行など金融機関に預け入れられる。金融機関は資金の多くを日本国債や外国証券に投資して運用する。財務省は外国為替資金特別会計を通じて金融機関から円資金を調達して米国債を購入、運用する。

 家計は10年以来の「15年デフレ」の間、消費を抑えてひたすら金融資産を増やし続けてきた。今年6月末、名目国内総生産(GDP)は9年末比で44兆円減だが、家計金融資産は305兆円、対外金融資産は398兆円増えた。

 リーマン後の増減が本グラフである。名目GDPはマイナスが続くのに、金融資産増に加速がかかっている。しかもその増分相当がそっくり海外での金融資産に充当されている。ドル換算すると、対外金融資産総額は今年6月末時点で約1兆7千億ドル増えた。このカネは米連邦準備制度理事会(FRB)が増刷したドル資金約1兆5千億ドルをしのぐ。FRBマネーは紙切れでいくらでも刷れるが、しょせんはあぶく銭だ。日本が出すのは本物のカネであり、国民の勤勉な労働の産物である。

 FRBが量的緩和政策の縮小に動く中で、動揺する米欧の株式や債券市場にとって、これほど頼りになるカネはない。日本はデフレで国内資金需要がないから、余剰資金は海外に流れ出る。デフレ圧力を一層高める大型消費税増税に日本が踏み切ることは米欧の投資ファンドにとって死活的な利害といえよう。米欧の国際金融マフィアが牛耳る国際通貨基金(IMF)は2年以上前から日本の消費税増税をせき立ててきた。G7、G20(新興国を含む20カ国)もそうだ。

 英フィナンシャル・タイムズ紙(FT、アジア版)は13日付の社説で、消費税増税を「挑戦するに値するギャンブル」、「さいは投げられた」として安倍首相の増税決断を先回りして褒めたたえた。ウォール街など国際金融市場の利害を反映する他の金融中心の米欧メディアも同様だ。

 今の日本には中川さんのような「国士」が見当たらない。それどころか、得体のしれない「国際世論」を重視し、国内世論を無視し、増税を「国際公約」同然とうそぶいて恥じない風潮が言論界や政界に蔓延(まんえん)している。中川さんがもし健在なら、首相にどう助言するだろうか。


 

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コメント
 
01. 2013年9月24日 11:09:03 : 7OpGsifAXA
欧米の緩和縮小のインパクトを薄めるための遅れてはじめた日本の異次元緩和だとすると、いったい日本の緩和縮小の時は誰が手伝ってくれるのか。それを手伝えるような国がこの地球上に残っているのか。
AAの「ここは俺が支えるから構わず逃げろ」の図そのままではないか。

02. 2013年9月24日 11:27:34 : L3oWjvNiyM

だから言ってる、公共投資をやれと、国内に投資するのだ。

馬鹿な愚民どもが、公共事業=悪、土建=悪と、国内投資を嫌う外国勢力に

ころりんと騙されておる、愚民な馬鹿ども。


03. 2013年9月24日 11:31:23 : nJF6kGWndY

本当に、全くわかってないな


04. 2013年9月24日 11:57:59 : SPy57Samwc
>>03

じゃあお前が具体的に理由を説明しろ!


05. 2013年9月24日 14:05:45 : niiL5nr8dQ

真の危機は「法の支配」の崩壊だ - 『劣化国家』池田 信夫

劣化国家
ニーアル ファーガソン
東洋経済新報社 


このタイトルを見て、いま世界一有名な歴史学者が日本についての本を出したのかと思う人もいるかもしれないが、ご心配なく。彼のテーマは「西洋文明の衰退」である。18世紀に中国が西洋に覇権を譲ったように、いま西洋は新興国に覇権を譲ろうとしている。それは宿命かもしれないが、避けることはできないのだろうか――これは西洋文明のコピーである日本にも共通の課題である。

欧米の経済的停滞を金融・財政政策で是正できると主張するクルーグマン(著者の論敵)などの経済学者を著者は嘲笑し、そういう政策が一時的に衰退を止めることはできるかもしれないが、問題はもっと深く大きいと論じる。それは西洋文明のエンジンだった国家の劣化なのだ。

これは「見えざる手」が社会の主役だと信じる経済学者の見解とは違うが、歴史的事実である。イギリスを初めとする西洋諸国が、彼らよりはるかに洗練された文明と豊かな富をもっていた中国を追い抜いて世界を経済的に制覇したのは、国家が軍事力で世界を植民地支配したからであって、その逆ではない。資本主義を生んだのは国家の暴力なのだ。

このときイギリスが優位に立った原因は、国債というイノベーションだった。徴税には限界があるが、国債で民間資金を調達し、それによって新大陸やアジアから強奪した富を出資者に高利で返済するシステムを確立したことが、名誉革命の最大の意義である。このとき国債の償還を保証し、恣意的な課税を防ぐ制度が法の支配だった。

したがって近代社会のコアは民主制ではなく法の支配であり、納税者の同意なく課税しないという原則である。バークは、国債は将来世代からの徴税であり、世代間の協同事業であると述べて、その濫用を戒めた。この意味で、国債の規模が欧米や日本でかつてない規模に膨張した現状は、近代国家の原則からの逸脱だ。

問題は財政がかつての中南米のように破綻することではなく、将来世代の可処分所得を大きく浸食することだ。たとえば日本では、将来世代の所得の60%以上は国家に奪われるだろう。このような財政の劣化を覆い隠すため、欧米も日本も中央銀行が「量的緩和」と称して国債をファイナンスしているが、その規模が拡大すればするほど、納税者は将来の増税の不安から消費や投資を抑制する。

だから近代国家の真の危機は不景気やデフレではなく、法の支配が崩壊していることだ。アメリカでは政治家の37%が弁護士出身で、彼らはロビー活動を行なう弁護士と結託して財政を食い物にしている。法の支配は「法律家による支配」に堕落したのだ。日本では、法的根拠もなく原発が止められ、毎年3兆円以上が浪費されている。

これに対して著者の提案するのは、国家に依存しない市民社会を取り戻そうという呼びかけだ。具体的には、教育機関を全面的に民営化して塾のような独立した私立学校にし、それに対する補助は教育バウチャーのような形で学生に与えるシステムだ。こうした試みは、イギリスや北欧で始まっている。

近代国家は大きくなりすぎ、タレブのいうフラジャイルな制度になってしまった。財政破綻や金融危機などの問題は、あまりにも複雑でコントロール不可能だ。これから世界の成長の主役になるのは主権国家ではなく、上海、ムンバイ、リオデジャネイロなど1000万人以上の人口を集めるメガシティである。こうした都市は、ダイナミックな競争によってアンチフラジャイルな未来のシステムになるだろう。

追記:文中でバークがしばしば「バーグ」と誤記されているのは、重版で直したほうがいい。
http://agora-web.jp/archives/1559638.html

 


 

 


 

2013年09月21日23:22
カテゴリ

中身のない「語りおろし」本
ファーガソンにバカにされているクルーグマンの「語りおろし」本。実はタレントや有名人の本のほとんどは語りおろしだといわれるが、正直に書いてあるのは珍しい(もちろんリンクは張ってない)。

語りおろし本は読みやすいが、中身が薄いのが特徴だ。特に本書は、クルーグマンが日本経済の現状を知らない上に、聞き手(山形浩生)が経済学を理解してないので、とても読むに堪えない。中身は15年前の論文(邦訳には致命的な誤訳がある)の繰り返しだ。
クルーグマンは15年前と同じく「2%のインフレ期待が実現すれば日本経済はよくなる」というが、どうやってその「期待」を実現するのかという波及経路は何も語らない。現在の日本経済についての具体的データもなく、図が3枚しか出てこない。彼らは物価統計さえ見てないのだろう。実際には、コアコアCPIはマイナスで、予想インフレ率(BEI)も消費増税込みで1.3%(実質マイナス)。クルーグマンの「期待」は外れたのだ。

後半は話がもたなくなって、バラマキ財政を(自民党の公共事業の中身も知らないで)賞賛し、「10年後の世界経済」などの雑談が続く。正味179ページに聞き手の一知半解の「解説」を付け足して、なんとか本の体裁にしたという代物だ。PHP研究所も、こんないい加減な本を出していると、出版社としての矜持が問われますよ。
http://cruel.org/books/krugman/


 


 
2013年09月14日20:09
カテゴリ

グローバル資本主義という暴力

イギリスは「産業革命」による技術革新と株式会社による資本蓄積で産業資本主義を生み出し、世界各地に植民地を建設して自由貿易による富で大英帝国を建設した――と教科書では教わるが、本書の紹介する最近の歴史学では、これは間違いである。

CraftsやClarkなどの計量経済史的な研究によれば、18世紀後半のイギリスの生産性上昇率は年1%程度であり、産業革命と呼ばれるほど急速な技術革新はみられない。主要な産業は手工業だったので、大規模な機械制工場もなかった。
ではイギリスに初めて資本主義が生まれた原因は何だったのか。これについてはいまだに論争が絶えないが、本書によると奴隷貿易が大きな役割を果たした可能性は否定できない。ポメランツも、資本主義を生み出したのは1200万人の奴隷貿易と国営の海賊を使って新大陸やアジアの富を掠奪した「血まみれの手」だという。これは左翼のアジテーションではなく、アメリカ歴史学会長の見解である。

日本人が教えられてきた「自立した近代的個人」が市民社会をつくった、という類の歴史は、西洋人がみずからを美化するための「勝者の書いた歴史」なのだ。株式会社によって資本主義ができたというのも嘘で、川北稔氏によれば、初期のイギリスの製造業に株式会社はほとんどなかった。そのような大規模な資金調達を必要としたのは東インド会社による植民地支配であり、これは国家事業である。

つまりマルクスが『資本論』で書いたように「資本は頭のてっぺんから足の先までのあらゆる毛穴から、血と油を滴らせながらこの世に生まれてくるのである」。それも彼が考えたよりはるかに大規模な虐殺と掠奪によって、グローバルな本源的蓄積が行なわれたのだ。ヨーロッパの西端の小国イギリスが世界最大の植民地国家になったのは、海賊を使って制海権をスペイン無敵艦隊から奪ったからである。

このように最近の研究では、資本主義の本質はマルクスの描いたように暴力と搾取だという見方が有力になりつつある。ボウルズもいうように、合理的な消費者の効用最大化のために企業が完全競争市場で競争する、という新古典派経済学のユートピア資本主義は、その血なまぐさい実態を隠蔽するためにつくられた神話である。

イギリス帝国は「見えざる手」に導かれた自由貿易国ではなく、海賊と奴隷貿易で世界を征服した国家資本主義であり、新古典派の教科書より今の中国に近い。よくも悪くも急成長期の資本主義とはそういうものであり、それにどう対応するかを考えるには、新古典派もDSGEも何も教えてくれない。10月から始まるアゴラ読書塾パート2では、こうしたリアルな資本主義の姿を明らかにし、日本人がそれにどう対応すべきかを考える。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51871799.html


06. 2013年9月24日 14:09:28 : niiL5nr8dQ
2013年09月21日10:48
カテゴリ本
法人減税の目的は「租税競争」である

【徹底解明】タックスヘイブン グローバル経済の見えざる中心のメカニズムと実態
消費増税がやっと決まった。この半年の迷走は、安倍首相の優柔不断と「ブレーン」の程度の低さを印象づけた。政権が変わっても「決められない政治」は変わらない。おまけにそれとワンセットで出てきた法人税の減税も、「賃上げした企業の法人税を割り引く」などの意味不明な裁量的減税だ。

基本的なことだが、法人税を下げたらその分だけ賃金が上がるということはありえない。法人税は、賃金などの経費を控除した利益にかかるので、それが下がったら企業の収益力が上がるということもありえない。逆に法人税が40%から60%に上がったとしても、企業の目的は税引き前利益を最大化することだから、企業行動は変化しないのだ。
では何のために法人税を下げるのか。それは次の図(野口悠紀雄氏のコラムから転載)のように日本の法人税の実効税率が、主要国ではアメリカに次いで高いからだ。租税特別措置などを含めると、それほど高くないという意見もあるが、問題はシンガポールや台湾などの2倍にのぼることだ。トヨタやホンダも、最新鋭の工場はもう日本に建てない。どうせ海外で売るのだから、日本で高い法人税を払うより現地生産して現地法人に再投資したほうがいい。

つまり法人税を下げる目的は賃上げや所得分配ではなく、こうした国際的な租税競争の中で国内への投資を増やすためなのだ。本書によれば、世界のマネーストックの半分がタックスヘイブンを経由し、海外直接投資の1/3がタックスヘイブンにプールされている。対外総資産の残高でみると、トップはイギリス(6800兆ドル)だが、第4位の日本に次いでケイマン諸島(1900兆ドル)が入っている。

これに対する対策は、ヨーロッパで起こっているように、少なくともライバル国と同じぐらいに法人税を下げることだ。アジアでは台湾やシンガポールの実効税率は13〜17%なので、それに対抗できるぐらいまで下げないと、投資は日本に戻ってこない。この租税競争は「囚人のジレンマ」だから、最終的なナッシュ均衡は法人税がゼロになることしかない。

租税理論からみても、法人所得税と個人所得税は二重課税であり、企業の借り入れ(経費として控除)との扱いが非対称なので、企業金融にゆがみをもたらす。所得税や相続税も租税回避しやすいので、将来の税体系は消費税や固定資産税のような「逃げられない税」が中心になるだろう。これもグローバル資本主義の必然的な帰結である。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51872516.html


 


2013年09月23日01:42
カテゴリその他
「半沢直樹」の不在

ちょっと前に食事中に30分ぐらい見ただけでアホらしくなって見てなかった「半沢直樹」について、ツイッターで藤沢数希氏が「何が面白いかわからない」と書いているので「私もそう思う」と書いたら、すごい反響がきてびっくりした。

そこで念のため、そのとき録画したビデオを早送りで見たが、印象は同じだ。原作はバブル期の話で、それを現代に舞台を移しているのだと思うが、今どきあんな単純な不良債権でメガバンクが大騒ぎになるはずがない。90年代に私も不良債権の現場をたくさん取材したが、最大の違いはドラマのように個人の責任は問わないということだ。
原作者は元銀行員だから、それを知って脚色していると思うが、日本の会社では不祥事の責任は関係者全員で負うのだ。もちろん実際には責任者がいるが、それは外部にはわからない。90年代に100兆円もの不良債権が出たのに、役員が刑事訴追されたのは日債銀や長銀などごくわずかで、それも無罪になった。有罪になったのはイトマンの河村社長ぐらいで、日住金の庭山社長は何も刑事責任を問われなかった。

現実はドラマとは逆に、半沢みたいな現場が暴走して過剰融資し、それも何年も先送りしてあちこち飛ばすので、本当の責任者は誰かわからないことが多い。その責任を役員が形式的にとるが、ほとぼりがさめると復帰することも多かった。大蔵省でも、日住金の破綻処理を阻止して住専問題の原因になった寺村銀行局長は、なんと全銀協に天下りした。これが『「空気」の構造』でも論じた実質的権力と形式的権威の分離による無責任の体系である。

「半沢直樹」はドラマとしてはおもしろいのかもしれないが、日本の銀行の実態を真逆に描いている。最大の問題は、役所でも銀行でもどこに責任があるかわからない構造なのだ。政府も国会も実態調査をせず、日銀が部外秘で報告書をつくったらしいが、非公開だから実態も責任者も結局わからない。これから国債バブルが崩壊したときも、同じような迷走がまた始まるだろう。

一般視聴者は、日本の会社をだめにしているのはああいう悪い役員で、半沢のような現場がそれを追及すればよくなると思うのだろうが、残念ながらそういうヒーローは存在しえない。日本の会社では「みんなで決める」ので、追及すべき責任者がいないからだ。それが日本企業がグローバル競争で負け続ける最大の原因である。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51872700.html#more


 

2013年09月22日08:31
カテゴリ経済
「解雇できない特区」をつくってみた

朝日新聞の「解雇しやすい特区」という記事がおもしろい。そんな名前は誰もつけてないのに、国家戦略特区を「解雇特区」と名づけて「働き手を守る仕組みは大きく後退する」だの「労働基準法や労働契約法をゆがませる」だのと主観的なコメントを記者が書いている。普通はこういう意見は「有識者」に語らせるものだが、最近の朝日の社会部記者はそういう基本的な訓練も受けてないのだろうか。
そこで逆に彼らの理想らしい解雇できない特区を考えてみた。これは隗より始めよで、朝日新聞東京本社のある築地にしよう。まず解雇は全面禁止だから、コピー取りも守衛も掃除のおばさんも全員、正社員(無期雇用)になる。朝日新聞の好きな平等主義で、彼らにも記者と同じ年収1300万円を払うことにしよう。もちろん終身雇用だから、コピー機がなくなってもコピー取りの「坊や」を65歳まで雇い続けなければならない。

マスコミは非正社員の多い職場で、だいたい正社員の2倍はいるから、彼らをすべて正社員にすると、連結で7800人の朝日の社員が1万5000人ぐらいに倍増するだろう。彼らに年1300万円の給料を払ったら、1950億円。朝日の92億円の連結営業利益なんて吹っ飛んで、たちまち倒産だ。会社がつぶれたら「働き手を守る」ことはできない。こんな簡単なことも、社会部記者にはわからないのだろうか。

全社員の解雇を禁止するなどということは、こういう統制経済にしない限り、不可能なのだ。日本は資本主義だから、仕事がなくなったら労働者を解雇するのはしょうがない。もちろん彼らにも生活があるから、一定の金銭的な補償をして合意の上で退職してもらうルールづくりが必要だ。そういう世界の当たり前のルールを日本でもつくろうというのが今度の「特区」構想である(本来は全国でやるべきだが)。

今の労働基準法や労働契約法は「働き手を守る仕組み」ではなく、正社員の既得権を守る仕組みである。彼らの解雇が実質的に禁止されているために、新規採用が減って若者の仕事がアルバイトしかなくなる。そういう非正社員が今や労働者の4割近い。こういう身分差別を生み出して労働市場を「ゆがませている」元凶が、規制強化を続けてきた厚労省だ。

それを応援する朝日新聞は「正義の味方」を気取っているが、業界では社内の身分差別が一番ひどいことで有名だ。子会社の社員を偽装請負で差別したとして訴訟を起こされたこともある。そのうち世界各国の新聞社のように、朝日もつぶれるだろう。そのとき初めて頭の悪い記者も、柔軟な労働市場が必要なことに気づくだろう。


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