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9月18日 東京新聞「こちら特報部」
いよいよ、お台場カジノが実現するのか。浮かんでは消えしてきた日本のカジノ構想が、東京五輪開催決定を機に勢いづいている。推進派は、外国からの観光客を呼び込み、成長戦略の起爆剤になると期待する。だが、依存症や治安問題など慎重意見は根強い。そもそも五輪会場近くに置くことが妥当なのか。カジノ構想を考えた。 (林啓太、鈴木伸幸)
「今から法整備を始めれば、二〇二〇年の東京五輪の開催に間に合う。外国人に大勢、来ていただく機会を生かしたい」。超党派の国会議員でつくる「国際観光産業振興議員連盟」事務局長の萩生田(はぎうだ)光一衆院議員(自民)は強調する。
日本でカジノ構想を実現するためには、刑法の賭博罪で処罰対象とされているカジノ行為を合法化する法律が必要だ。
議連は通称カジノ議連とも呼ばれ、この秋の臨時国会に、日本でカジノが可能となるカジノ法案の提出を目指している。法案の正式名称は「特定複合観光施設区域整備推進法案」。自治体からの申請に基づき国が認めた特区ではカジノを解禁する。カジノだけでなく、レクリエーション施設や展示場、ホテルなどが一体となった「統合型リゾート(IR)」とする構想だ。
安倍政権もカジノ開設に乗り気だ。安倍晋三首相は三月の衆院予算委員会で「シンガポールやマカオが、カジノで世界からたくさんの人たちを呼び込むことに成功している。私自身はメリットは十分にあると思う」と答弁し、前向きな姿勢を示した。六月に発表した成長戦略に盛り込もうという動きもあった。
議連には共産党と社民党を除く約百八十人が所属。最高顧問に安倍首相や麻生太郎副総理、日本維新の会の石原慎太郎共同代表、生活の党の小沢一郎代表ら大物議員が名を連ねる。
東京都の猪瀬直樹知事は六月、東京を訪れる外国人数を増やす取り組みの一環として、臨海副都心地区でカジノの設置を目指す考えを表明。「一日も早い法整備を期待している」と話した。ここにきて東京五輪開催が決定したことで、法案成立が現実味を帯びてきたのだ。
これほどまでに、カジノに期待するのはなぜなのか。
大阪商業大アミューズメント産業研究所の藤本光太郎研究員は「カジノの生み出す経済波及効果は膨大だ」と説明する。藤本氏によると、東京にカジノを開設した場合、民間のカジノ運営業者の売り上げは「年間約一兆円」が見込まれる。国や自治体も、運営業者から納付金を得るシステムにすれば、財政的な利点はかなり大きい。
雇用増も見込める。藤本氏は「東京のIRの従業員数は少なく見積もって一万人。ほかに清掃や周辺のコンビニなどで一万五千人の雇用効果が生まれる可能性がある」という。IR建設に伴う投資額も多大だ。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの太下義之主席研究員は「ひとつのIRで数千億円単位が投じられるとみられる。経済効果は投資額の二〜三倍になる」とそろばんをはじく。
カジノ関連株も反応。偽札を調べる装置で世界シェア七割を握る日本金銭機械(大阪市)の株価は東京五輪開催が決まった直後から急上昇した。
東京都以外にも、千葉・幕張、北海道・小樽、愛知・常滑、大阪、長崎・ハウステンボス、沖縄など各地でカジノ誘致の動きがある。
これまで、カジノ構想は浮かんでは消えを繰り返してきた。
一九九九年に東京都知事に就任した石原慎太郎氏は「お台場でカジノをやっては」と財政再建策の一つとして打ち上げた。石原氏は実現に向け実験的な施設を造ろうとするも、法的な問題をクリアできず、二〇〇三年に断念に追い込まれた。
推進派は「大人の社交場」というイメージを打ち出すが、世界的にはどちらかといえば、消去法で選ばれた「経済対策としてのカジノ」というところが多い。
グランカジノで知られるモンテカルロも、モナコ王室が経済的な苦境に陥った一八六三年に開業された。米ラスベガスも一九二九年の大恐慌で地元経済が急激に落ち込んだネバダ州が、三一年にギャンブルを合法化して一気に開発された。
前出の藤本氏は「幸いにも日本経済は、世界大恐慌後のネバダ州のようにまでは落ち込まなかった。それが、日本でカジノができなかった大きな理由」と分析する。
一方で、日本の近隣諸国では、マカオが〇二年に外資導入を認めて米資本のカジノが参入。中国の経済発展を背景に急成長した。シンガポールでも一〇年にカジノが開業すると観光客が増えた。韓国でカジノを楽しむ日本人観光客も増えている。世界的にカジノ市場の成長率は、欧米で鈍化する中、アジア太平洋地域で急成長している。
そもそも日本はギャンブル大国。競馬や競輪などの公営ギャンブルがあり、パチンコは二十兆円ビジネスだ。米カジノ業界も「次は日本が標的」と、ビジネスチャンスを狙っている。
社民党政策審議会の担当者は「ギャンブル依存症による家庭崩壊といった社会問題が現実にある。その対処もせずに、カジノ解禁の議論は拙速。欧米では東京のような大都市にはカジノはなく、それには理由もあるはず。治安の悪化や青少年への悪影響はどうなのか」と懸念する。
「五輪ブームに乗じて、カジノの合法化も何となく進んでしまうことが怖い。五輪の前、カジノの前に、まずは、福島原発の汚染水処理問題といった目の前の差し迫った問題が山積していることを忘れては困る」と付け加えた。
「カジノを所管する新たな公務員の天下り先をつくるだけでは」との見方もある。「マネーロンダリング(資金洗浄)の舞台になるのでは」という懸念もある。
青少年に悪影響を与えかねない施設を五輪会場の近くに建設することについての議論もあるだろう。NPO法人「ギャンブル依存ファミリーセンター ホープヒル」(横浜市)の町田政明代表は「ギャンブル依存症は世界保健機関(WHO)も認めている病気。依存症から抜けられずに借金を重ねて、犯罪に手を染める人が後を絶たない。治療法もあるのに、パチンコ業界には警察官が天下っていることもあり、国家がそれを黙認している」と声を上げる。
「この状態でカジノが合法化されれば、依存症患者が増えるばかり。米国でもギャンブル依存症は社会問題だが、カジノ業界はそれを認め、売り上げの一部を依存症対策費として拠出している。カジノを合法化するなら、いっそのこと米国の会社に任せては。少なくとも対策費は出してくれる」と皮肉った。
<デスクメモ> カジノに行ったことはない。海外で体験した人の話では、とても楽しませてくれる場所だそうだ。観光産業として有望なのは分かるが、射幸心という人の弱い部分をついて景気に結びつけようという根性が気になる。しかも、政官財の利権が絡むとなると、どうなんだろう。ここはよく考えたい。 (国)
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