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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130922/dms1309220738003-n1.htm
2013.09.22 「日本」の解き方
FRB(米連邦準備制度理事会)次期議長に就くことで最終調整に入ったと報じられたローレンス・サマーズ氏が指名を辞退した。
このニュースは、知人が15日のホワイトハウスのホームページに載っていることを教えてくれて初めて知った。15日はリーマン・ショックから丸5年で、ホワイトハウスのブログでも言及があった重要な日だった。
サマーズ氏をFRB次期議長に起用しようという政治的な動きがあったのは確かだが、与党内でも反対の声が多かった。
FRB議長の選任には議会の承認が必要で、まず与党内を固めなければいけない。ところが、たとえば上院銀行住宅都市委員会の民主党委員のうち既に5人が反対していた。同委員会の構成は民主党12人、共和党10人で、民主党のうち5人が反対してはいかんともしがたいのだ。
これらの上院議員がサマーズ氏に反対する理由は、彼が財務長官・副長官時代(1995〜2001年)に行った銀行規制緩和などがリーマン・ショックの遠因になったというものだ。もっとも、それは建前で、本コラムでも指摘したように、議員たちはサマーズ氏の傲慢な態度が気に食わなかったのだろう。
そうした不満が出るのはわかっていたはずなのに、オバマ政権は積極的な議会工作を行わなかった。特に今年7月、民主党の上院議員54人中20人がジャネット・イエレン氏を次期議長に指名すべきだという書簡を大統領に出しても、特に動きがなかったのが不可解だ。
その一方で、政権からのリークによって「サマーズ氏有力」との情報が出てきた展開に、民主党内から拒否反応が出たのだろう。
これで、FRB次期議長にイエレン氏が指名される公算が高まった。オバマ大統領を支持する女性団体などは、女性蔑視とされる発言もあったサマーズ氏の起用に反対で、イエレン氏への支持を表明している。イエレン氏以外を指名することは事実上、男性候補を指名することになるので、なかなかやりにくくなっただろう。
サマーズ氏とイエレン氏を比べると、本コラムで既に書いたが、サマーズ氏はタカ派で早期に金融引き締め、イエレン氏はハト派で金融緩和継続だろう。株式市場から見れば、サマーズ氏は好まれないので、目先の市場はサマーズ氏の辞退を好感するだろう。
今回の人事で、オバマ政権は議会との関係がギクシャクしていることが露見した形だ。議会の同意を取り付けたいシリア問題でも、軍事介入のこぶしを威勢よく振り上げたものの、シリアの化学兵器を国連で管理するというロシアからの絶妙な外交戦術に押された格好だ。
国連が、ようやくシリアでロケット弾によるサリン攻撃が使われたとの報告書を出したが、欧米各国は政府軍によって使われたことを示すものだと主張したのに対し、ロシア側は反政府勢力のものと反論している。いずれにしても、軍事行動よりまず外交的努力が優先されることになる。そして、オバマ政権には試練が続くだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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