http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/595.html
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高額医療費の負担見直しで、検査もおちおち受けられなくなる?!
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130922/dms1309220738001-n1.htm
2013.09.22 大前研一のニュース時評
厚生労働省は9日、医療費の支払いが高額になった場合、上限を設けて自己負担額を軽減する「高額療養費制度」について、仕組みを見直す方針を示した。
それによると、70歳未満の高所得者(会社員の夫と妻、子供1人のモデル世帯で年収約790万円以上)の負担上限額(月額約15万円)を引き上げるほか、年収約210万〜790万円の一般所得者(負担上限は約8万円)も細かく分けて、所得に応じた負担を徹底させる。つまり、「これからは、高所得者にはどんどん負担を求めるぞ」ということだ。
日本の所得税は、所得が増えれば税率が高くなるという累進課税で、もともと高所得者は高率の税金を納めている。日本は所得とともに税率が55%まで上がっていくので納める絶対額は累進的に上がっていく。
なのに政府は、公立高校授業料無償化について、世帯年収910万円以上の高所得層への支援を打ち切るという所得制限を新たに導入し、今度は高額医療費に手を突っ込んできた。だったら、税率は皆、同じにしてほしいところだ。
日本の累進課税に対して、スイス、ロシア、シンガポールなどの国では「フラット・タックス」という所得税率が一律の税制を採用しているために金持ちが正直に申告して税収は累進制の頃よりもむしろ増えている。日本の金持ちは会社名義にして経費として落とすなど、むしろ補捉が難しくなっている。
特にロシアでは、フラット・タックス導入と同時に脱税の厳罰化を推進したところ、「一律で安い税なら正直に払ったほうがいい」とばかり、地下経済の闇のカネまで表に出てきた。こういった税制議論も併せてやらないといけないのではないか。
高所得者に対しては、税率も高い、アッチも高い、コッチも高い…と、政府のいろいろな部門から手が伸びてくる。これはやはり、高所得者が少数派だから選挙には影響が少ないだろうと政治家が考えているからだ。
しかし、この先、75歳以上の高齢者はどんどん増えてくる。となると、こういった能天気な政策はとれなくなってくるのではないか。
もうひとつ、高齢者医療については、こんな問題もある。
大手企業の社員とその家族が加入する健康保険組合連合会がまとめた2012年度決算は、2976億円の赤字となった。4割以上の組合が保険料率を引き上げたため、収入は増えたものの、65歳以上の高齢者医療制度に払う支援金の負担が増加し、支出が上回った。
高齢者医療への支援は、今後も増え続けることは確実で、厳しい財政運営が続く。赤字組合の比率は8割というところで定着している。赤字組合が潰れたときには、どこかが負担しなければいけない。
このままだと国民皆保険という制度そのものが、崩壊しかねない。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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