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2013年09月21日 世相を斬る あいば達也
以下の日経の記事は、米国金融業界の急回復ぶりを強調している。覇権国アメリカに世界の資金が流れるトレンドは、リーマン・ショックの経験を経ても、何ら変わることなく継続されていることを示している。現実を容認すれば、それが世界経済の安定に寄与するのであれば、それはそれで致し方ない部分はある。しかし、そもそも論の観点に立てば、金融がデモクラシー政治体制における資本主義のメイン・プレィヤーであると云う事実は、伝統的資本主義の時代が終焉を迎えていることを示唆する。
しかし、伝統的資本主義が持つ、“ひと・もの・金”を一体的にダイナミックに連動させる人類の発展に貢献するメカニズムが成立し難い時代が来たことを予言している。伝統的資本主義が生みだした“労働者”の概念も様変わりし、資本家対労働者と云う概念を忘れさせる勢いだ。概ね、金融業界に職を得た人々は年収が最低でも1千万以上になり、思考経路は経営者的になるので、労使対立が顕在化することはない。
金融資本主義は、極論すれば伝統的資本主義の“人・もの・金”のダイナミックな連動から、“人・もの”を排除しているのが特徴だ。金融資本主義では、投資家の金と、それを運営する僅かな人々で成立する。“もの”は一切動かない。再び、IT産業と金融産業が米国経済を牽引する構図が現れているが、そこには“人・もの”が介在する余地は極めて低い。ITと金融は相互に補完する、金融資本主義の主たるプレィヤーであり、そこには資本家と対立する労働者は不在と云うことになる。
これでは、貧富の格差が最大化する傾向を止める事は、ほぼ不可能に近い時代が到来したことを予見させる。≪米国では金融規制改革法(ドッド・フランク法)の細目を決める作業が大詰めを迎え、厳しい規制には反対してきたウォール街の旗色は悪い。≫と言われる、「金融規制改革法(ドッド・フランク法)」だが、本当に成立するか、筆者などは懐疑的に見ている。金融産業の手足を縛って、米国の世界の資金を利用して生き残るメカニズムを、自ら放棄する方向を示すもので、伝統的資本主義への回帰の道は遠そうだ。
バラク・オバマが鬼の形相で、米国製造業の復権を恫喝的に実行しようとする流れは、本来の資本主義の復活により、“人・もの・金”のダイナミックな連動による経済の活性化が狙いなのだろうが、現時点で復活とは裏腹な結果を生んでいる。方向は間違っていないのだろうが、金融業界の意向を無視して、「金融規制改革法(ドッド・フランク法)」を骨抜きではない形で実行することは、一旦米国経済が奈落を見なければならないわけで、そう簡単な事ではなさそうだ。
≪ 米金融株、存在感再び 時価総額IT並みに
【ニューヨーク=川上穣】リーマン・ショックから5年が経過し、米株式市場で金融株の存在感が高まっている。業種別の時価総額は最大のIT(情報技術)に再び接近。住宅など米景気の回復に伴う収益の改善がマネーを呼ぶ構図だ。自己資金による高リスクの投資から、債券の引き受けといった伝統的な業務への回帰も進む。金融規制への懸念はくすぶるが、危機を脱した米金融の「正常化」が株高を下支えしている。
■業績面で安心感
米主要500社で構成するS&P500種株価指数の業種別をみると、「金融」の時価総額は18日時点で約2兆5千億ドル。今年に入って約27%増え、同13%増の「IT」(約2兆7千億ドル)に接近している。米住宅バブルの崩壊への懸念が強まった2008年5月に金融はITに首位の座を譲った。その後もIT業界が全体をけん引してきたが、このところは金融の巻き返しが目立つ。
背景にあるのは業績面での安心感だ。住宅を軸にした米景気の緩やかな回復を映し、各行の不良債権の処理コストが大幅に減少。JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスといった金融大手は4〜6月期の純利益が2ケタ以上の伸びになった。
資本市場も活性化しつつある。米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズは11日、米企業で過去最大となる総額490億ドルの社債を発行した。米企業がM&A(合併・買収)に前向きになり、ウォール街では投資助言や株式・債券の引き受けといった投資銀行業務が息を吹き返す。
過剰な負債を抱えていた金融危機の反省もあり、各行の自己資本の積み増しも進む。「危機前と比べずっと強固な経営体質になった」。モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)はこう語る。
ダウ工業株30種平均が金融危機後の安値を付けた09年3月を起点にすると、ウェルズ・ファーゴやバンク・オブ・アメリカの株価は4倍前後の水準まで上昇。2倍強のダウ平均をしのぐ。
ITも時価総額は拡大しているが、昨年前半までの勢いはみられない。スマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)を主戦場とした競争が激化。勝ち組の代表格だったアップルもiPhone(アイフォーン)販売の伸びが鈍り、過去最高値を付けた約1年前に比べて株価は3割以上安い水準にある。
ヘッジファンドにはIT大手の株式を手放し、保険大手AIGなど金融株に乗り換える動きも加速。嗅覚の鋭い投資家ほど金融を新たな収益源にしようとする動きがある。
■新規制には懸念
もっとも、金融復活も盤石とは言い切れない。米国では金融規制改革法(ドッド・フランク法)の細目を決める作業が大詰めを迎え、厳しい規制には反対してきたウォール街の旗色は悪い。
安定経営の象徴だったJPモルガンが昨年、デリバティブ取引で巨額損失を出し、このほど米英金融当局との間で9億2千万ドルの罰金支払いで合意するなど経営のリスクも表面化。ワシントンでは自己資本の積み増しなど規制の一段の強化を求める動きもあり、先行きに不透明感が漂う。
金融危機を経て、米金融大手は六大グループに集約された。負債に過度に依存した経営からは脱却したものの、総資産の拡大など図体が大きくなっているのは否めない。「銀行の『大きすぎてつぶせない』という問題は解決していない」(ポールソン元米財務長官)とリスクに警鐘を鳴らす向きもある。 ≫ (日経新聞)
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