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消費増税と法人税減税の論理矛盾 グローバリズムとナショナリズムの矛盾に通ず
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/9928d2d97c0ea58cf4d1b1c2e37e92c3
2013年09月20日 世相を斬る あいば達也
余りに無茶苦茶な安倍晋三の政策を一々批判することさえ疲れてきた。“コントロール下に置かれている汚染水”にしても、グローバリズムとナショナリズム根性にせよ、今回の消費税増税と法人税減税や低所得者への現金給付と言い、余りに使い古された“飴と鞭”の連鎖政策だ。声なき国民の声を伝えると長谷川幸洋は言うが、このコラムを語る前提自体マヤカシがある。
消費税増税法の趣旨は、肝は「社会保障制度改革」が前提であり、同時に行政改革を同時進行させると言っている。また、社会保障の安定財源とすることも明記している。その上で、所得、消費 及び資産にわたる税体系全体の再分配機能を回復させると云う「一体改革」なので、一括実施は法律の趣旨として当然のことだ。社会保障制度改革の議論は、会議は踊る状態。論議の中では“福祉の切り捨て”だけが論じられている。バカバカしく、考えるのも無駄骨だ。
そもそも「増税する前にやることがある!」のすべてが置き去りになっているわけで、中央集権再配分構造の転換にメスを入れない限り、それ以外の政策が功を奏するわけはない。社民党と生活の党が参議院での統一会派結成の動きは歓迎できるが、衆議院置き去りは中途半端な連携を思わせる。仮に「オリーブの木」を目指すなら、民主党リベラル勢力を抱き込めるくらいのダイナミックを望みたい。早晩コケル安倍自民の出鱈目バラマキ政治に終止符が打たれる前に、オリーブの木が実ることを望みたい。
≪ 消費増税+経済対策という財政政策の矛盾を、「声なき国民」はどう評価するか
消費税引き上げ問題の決着が迫ってきた。来年4月に予定通り8%に引き上げて、同時に景気の落ち込みを防ぐために5兆円規模の経済対策を講じる方向だ。そんな増税と景気政策ミックスをどう評価するか。
■消費税を増税するなら、別項目で減税すべき
私はいまでも「増税を先送りすべきだ」という意見に変わりはない。9月6日公開のコラムで書いたように、増税の必要があるなら、景気が過熱したときに実行するほうが望ましい。今回のように、右手で増税しながら、左手で景気が心配だから経済対策というのは、そもそも財政政策の方向として矛盾している。 景気が心配なら、単純に増税を先送りして、増税しても絶対に大丈夫というまで景気が改善するのを待てばいいだけだ。「経済対策が必要だ」というのは一見、もっともらしいが、実は「景気が完全に回復していない」ことを認めている証拠である。
そういう基本の話を前提に考えると、経済対策のあるべき姿もおのずとあきらかになる。消費税を増税するなら、別の税目で減税するのだ。
たとえば、消費税を3%引き上げるなら、1%が2.7兆円に相当するので、3%なら8.1兆円の税負担増になる。その8兆円分をそっくり、法人税や所得税 などで減税すれば、国民経済全体として税負担は変わらない。実質的に増税先送りと同じになる。あとは、税配分の問題が残るだけだ。
消費税は家計を直撃する。だから、その分は所得税減税や低所得者への現金給付で、という考え方もできるし、景気の落ち込みを防ぐのが先決だから、法 人税減税とか投資減税で、という考え方もある。ただし先のコラムで書いたように、消費増税による冷や水効果を法人税減税や投資減税、あるいは賃上げの見返 りに実施する減税で補うのは、実際にはかなり難しいだろう。
■5兆円の使途をめぐる官邸と財務省の攻防
各紙報道によれば、政府は「経済対策は補正予算と減税の組み合わせ」を検討しているという。減税ならまだしも、補正予算でばらまきとなると、話はまったく違う。
まず、増税による増収効果はずっと続く一方、予算でばらまくのは1回限りという事情がある。加えて増税分を公共事業などに使ってしまっては、そもそ も増税の趣旨が異なる。カネに色はついていないから、増税してしまえばどこにカネが流れるかを議論しても意味はないが、国民向けの建前でも「社会保障の充 実」だったはずではないか。財政再建という大義名分もあった。
ところが補正で公共事業のばらまきとなると、これは単に政府のサイズを大きくするだけで、とどのつまり、道路や橋に予算を箇所付けする際に国会議員の出番 を増やすだけだ。財務省にとっては議員に恩を着せつつ、自分たちの予算配分権=権力の源泉を拡大する話になる。だから、財務省は経済対策の策定が避けられ ないなら、落としどころとして減税よりも1回限りの補正を目指している。
現状は5兆円に届くかどうかという対策の規模、そして中身をめぐる安倍晋三首相+菅義偉官房長官の官邸ライン(ここに甘利明経済財政担当相も加えていいだろう)と財務省+麻生太郎財務相の攻防である。
まず、5兆円をどう考えるか。先に書いたように、増税が約8兆円であるのに対して、5兆円をすべて減税に回せば、実質増税分は差し引き3兆円にな る。これは消費税の約1%分だ。イェール大学名誉教授の浜田宏一や本田悦郎・両内閣官房参与は引き上げる場合でも1%ずつの小刻みにとどめるよう提言して きたので、実質的に浜田・本田案に近くなる。
安倍・菅ラインは5兆円をすべて減税に回す案を念頭に置いている。補正によるばらまき案には与していない。これに対して財務省は実質的に8%増税をフイにするような減税案には、まったく後ろ向きだ。減税案だと予算編成でばらまいて、霞が関の各省や国会議員に恩を売るうまみがないので、財務省は絶対に認めたくないのだ。
■安倍首相が財務省・田中局長を一喝した理由
関係者によれば、財務省の田中一穂主税局長はこれまでの調整で、官邸に対して減税に実質ゼロ回答を提示した。これに対して、安倍首相が「ふざけるな! 顔を洗って、もう一度出直せ」と一喝した場面もあった。官邸と財務省の攻防は、それほど激しくなっている。
安倍が怒ったのには、わけがある。実は、財務省が手にする新たな財源は消費税引き上げによる8兆円だけではないのだ。昨年11月以来の円安株高効果 があって、ことしの税収が前年実績より、もう4兆円も増えている。景気が良くなると、赤字企業が黒字に転換したりして、法人税などはすぐ増えるからだ。い わゆる自然増収である。
つまり、いま現在で計12兆円もの増収効果を計算できるのだ。年度末になったら、もっと増えるのは確実である。この増収分を財務省はまったく手放そうとしない。
安倍からみれば「4兆円の自然増収はいったい、だれのおかげか。アベノミクス効果だろう。財務省は増税を言うだけで、自分たちが自然増収を目指す政 策を考えたことがあるのか」という思いであるに違いない。5兆円の減税論には、増税抜きでも4兆円の増収という根拠があるのだ。
私のような先送り論の立場からすると、あまりに財務省がケチならば、財務省が提示する減税に見合った分だけ増税すればいい、と言いたくなる。5兆円減税も認めないなら、この際、増税も5兆円だ。それなら2%引き上げて税率は7%になる。
9月19日付の産経新聞によれば、2%引き上げ案もあったが、安倍が「大勢を押し返せなかった」という。だが、財務省案の提示を見届けたうえで、最後の瞬間に数字を決めるのは安倍である。
新聞紙面には増税を前提に数字ばかりが躍っているが、肝心の国民はと言えば、しらけた気分になっているのではないか。共同通信による最新の世論調査によれば、いまだに国民の半数が来年4月の増税に反対している。
政策に対して最終的に審判を下すのは国民である。選挙は当分、先になるだろうが、その前に各種経済指標が政策について実績を示して、金融市場が評価を下す。それらは内閣支持率に跳ね返る。
国民は世論調査と新聞への投書、あるいはツィッターやフェイスブックくらいでしかモノを言えない。ジャーナリストは政府を取材して書くだけが仕事ではない。今回は「声なき国民」に取材して書いたつもりだ。 ≫(現代ビジネス:ニュースの深層・長谷川幸洋)
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