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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130920/dms1309200727000-n1.htm
2013.09.20
消費税増税による景気失速懸念から、景気対策を実施するという流れになっている。規模は5兆円程度といわれているが、9月13日、麻生太郎財務相は、経済対策では基本的には国債発行をしない方向で検討するとの認識を示した。
財政再建のために増税し、それでは景気が危ないからといって、補正予算を組むだけでも、愚か者といわれそうだ。まして、その補正予算に財源が足りないというので国債発行したら、それこそ大馬鹿者といわれそうだ。それをなんとか回避したいために、財務省は補正予算では国債発行しないようだ。
補正予算の財源は何があるか。まず、2012年度の一般会計剰余金1兆2952億円がある。このほかに、復興分として1兆1252億円の剰余金もある。これは東日本大震災復興特別会計に繰り入れる予定であるが、その分、復興予算に余裕ができる。カネに色はついていないので、補正予算財源になりうる。
また、12年度の特別会計剰余金も35兆5211億円ある。このうち国債の大量償還を円滑に行うために、借換債を前年度に前倒して発行する「前倒し債」などで必ずしも財源とは言いにくい国債整理基金特別会計を除いても13兆719億円もある。
このうち積立金として積み立てられたのは3兆8225億円、13年度当該特会の歳入に繰り入れられたのは7兆2222億円、13年度一般会計に繰り入れられたのは1兆9633億円。その積立金は一応「必要」なものとして積み立てたが、本当に必要かどうかをよく精査すべきだ。これは、小泉政権の時に行われた「埋蔵金」である。財政当局は必要だといいつつ、結果として40兆円の財源がひねり出せた。
さらに、13年度一般会計予算では、国債費22兆2415億円を計上しているが、その内訳は債務償還費12兆3388億円、利払費等9兆9027億円だ。債務償還費は国債整理基金特別会計への定率繰り入れで必要というが、それは世界でもまれな制度だ。世界標準で定率繰り入れを止めれば、財源となる。
これまでも何回も定率繰り入れは日本でも停止したことがあるが、それで問題になったことはない。利払費では、予算積算金利が1・8%と市場金利より高めになっているので2〜3兆円ぐらいの財源捻出は容易だ。
このほかにも、景気回復による自然増収もある。景気回復局面での税収弾性値(名目GDP=国内総生産=が増えるごとに税収が増える割合)は3程度なので、4〜6月期のように名目4%成長であれば、4兆円以上の税増収が期待できる。
以上でわかるように、財源はたっぷりとある。しかし、財務省は、特別会計関係や利払費等は一切言わずに、一般会計剰余金が1・3兆円と、少なめに見積もった自然増収だけで景気対策を組もうとするだろう。
その背景には、自然増収分を早く処理して、自然増収だけで財政再建が可能であると悟られないようにするという意図がある。名目4%成長になるとほぼ財政再建できるが、それは増税を主張したい財務省に不都合な事実なのだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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