01. 2013年9月19日 11:04:01
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日本株続伸、米緩和縮小見送り−金融、素材中心に全業種高い 9月19日(ブルームバーグ):東京株式相場は続伸して始まった。米国の金融当局が市場予想に反し債券購入ペースの縮小を見送り、金融緩和による景気下支えや流動性相場継続への期待が広がっている。投資家のリスク資産選好の動きから、証券やその他金融など金融株、非鉄金属など素材関連、不動産などを中心に東証1部33業種が全て高い。 TOPIX の始値は前日比12.60ポイント(1.1%)高の1205.67、日経平均株価 は175円4銭(1.2%)高の1万4680円40銭。 米連邦公開市場委員会(FOMC)は17−18日に開いた定例会合後に声明を発表、毎月850億ドルの債券購入ペースを維持する方針を示した。連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、「今日の労働市場をめぐる状況はわれわれ全員が望むような状態からはなお程遠い」との認識を示し、「委員会は最近数カ月に金融状況が急速に引き締まったことが、景気を減速させる影響を与えた可能性があると懸念している」と語った。 市場予想に反しFOMCが量的緩和縮小を見送ったことを好感し、18日の米国株は上昇。S&P500種株価指数 は前日比1.2%高の1725.52、ダウ工業株30種平均 は1%高の1万5676ドル94セントといずれも最高値を更新した。米10年国債利回り は16ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.69%と、2011年10月以降で最大の低下となった。 ただ、日米金利差が拡大するとの期待が後退したことで、前日の海外時間にドル・円相場は一時1ドル=97円76銭と8月29日以来となる円高に振れており、相対的に輸出関連セクターの上値は限定的となっている。東証1部33業種の上昇率上位はその他金融、非鉄金属、証券・商品先物取引、不動産、鉄鋼、海運、パルプ・紙、銀行など。 いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「マーケットは米国の量的緩和縮小を織り込んだ動きとなっていたことから、見送りはサプライズだった」と指摘。世界的にはリスクオンの動きが広がるが、「日本株は円高が上値を抑える形になり、短期的には出遅れる可能性もある」と話していた。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 岩本正明 miwamoto4@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 更新日時: 2013/09/19 09:17 JST
長期金利 4か月ぶり0.6%台 9月19日 10時58分 19日の東京債券市場は、アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が、今の量的緩和の維持を決めたことで、世界的な金融緩和が当面続くという見方から日本国債を買う動きも強まり、長期金利は一時、0.680%まで低下し、およそ4か月ぶりに0.6%台の水準まで低下しました。 19日の東京債券市場は日本国債を買う動きが強まり、償還までの期間が10年の国債の利回りは、一時、0.680%まで低下しました。 長期金利が0.6%台まで低下するのは、ことし5月以来およそ4か月ぶりです。 これは、アメリカのFRBがいまの量的緩和の維持を決めたことで、引き続き大量の国債が買い入れられるとしてアメリカの国債が買われるなかで、世界的な金融緩和は当面続くという見方から日本国債も買われためです。 市場関係者は「中長期的にはアメリカの量的緩和が縮小されるという見方は変わっていないため、金利が一方的に低下する状況にはなっていない」と話しています。
貿易赤字が14か月連続 最長に 9月19日 9時13分 先月の日本の貿易収支は、原油など燃料の輸入額が膨らんだことから9603億円の赤字となって、貿易赤字はこれで14か月連続となり、統計が比較できる昭和54年以降では最も長くなりました。 財務省が19日に発表した8月の貿易統計によりますと、先月の日本の輸出額は5兆7837億円と、去年の同じ月に比べて14.7%増加しました。 これは、円安でアメリカや中東向けの自動車の輸出が増えたことや、中国向けのペットボトルの原料となる化学製品の輸出が増えたことなどによるものです。 一方、輸入額は6兆7440億円と、去年の同じ月に比べて16%増加しました。 主な要因は、円安で主にドル建てで輸入される原油やLNG=液化天然ガスの輸入額が円換算で増えたことなどによるものです。 この結果、輸出から輸入を差し引いた先月の日本の貿易収支は9603億円の赤字と、8月としては過去最大となりました。 また、貿易赤字はこれで14か月連続となり、第2次オイルショックで赤字が続いた昭和55年8月までの期間に並んで統計が比較できる昭和54年以降では最も長くなりました。 財務省は「国内すべての原発の運転が停止していることや円安で燃料費などの輸入額が減ることは当面考えにくく、貿易収支の赤字傾向が続く可能性は高いとみている」と話しています。
米 長期金利の低下で原油は急騰 9月19日 10時46分
アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が、今の量的緩和を当面維持すると決めたことを受けて、18日のニューヨーク市場では、アメリカの長期金利が大きく低下した一方、原油の先物は前日より2.5%の大幅な上昇になりました。 18日のニューヨーク債券市場では、FRBが今の量的緩和を当面維持すると発表し、景気を下支えするために引き続き大規模な国債の買い入れが続けられることになったことから、アメリカ国債を買う動きが強まりました。 このため長期金利の代表的な指標となっている、10年ものの国債の利回りは大きく低下し、およそ1か月ぶりに2.6%台をつけました。 一方、ニューヨーク原油市場では、いまの量的緩和が当面続けられることで景気の押し上げが図られるという見方が出て、原油の先物に買い注文が広がりました。 このため国際的な原油取引の指標となるWTIの先物価格は、前日の終値より2.5%の大幅な上昇となり、1バレル=108ドル7セントで取り引きを終えました。 市場関係者は「量的緩和の縮小が見送られたことを、市場は意外感をもって受け止めた。引き続きFRBの金融政策の行方に注目が集まりそうだ」と話しています。
米FOMC、量的緩和の縮小見送り:識者はこうみる 2013年 09月 19日 10:34 JST [ワシントン/東京 19日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は18日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、これまで行ってきた月額850億ドルの資産買い入れを当面継続する方針を表明した。 市場関係者のコメントは以下の通り。 ●両論併記はQE縮小がワンオフの可能性を示唆 <三井住友銀行 市場営業推進部 チーフストラテジスト 宇野大介氏> これまで、米連邦準備理事会(FRB)の主張には顕著な変化はなかったとはいえ、量的緩和(QE)解除の工程表を5月に示すなど「思わせぶり」な行動や「前のめりなQE縮小への情報提供」を受けて、金融市場はQE停止やゼロ金利解除を織り込んで価格形成を進めてきた。 前日の金融市場の反応は、市場と当局の認識のギャップに修正が入った証しといえるだろう。バーナンキ議長は記者会見で「第一弾は年内に可能」と述べたが、一方で、「市場は政策行動を指示できない」としたうえで「失業率が6.5%を大幅に下回るまでは(ゼロ金利解除は)実現しない」とし、QE縮小の織り込み過ぎを明確にけん制した。 今回の両論併記は、QE縮小がワンオフ(1回限り)であることさえ示唆していると考えられ、1回縮小したからといって、その延長線上に近い将来のQE停止がないことや、1回の縮小がゼロ金利解除の入口ではないことを市場に伝える意図があるとみられる。 為替市場では、QE停止やゼロ金利解除を想定してドル買いポジションを膨らませてきた経緯があり、前日のドル/円の下落を見るに、テーパリング開始にベットした短期的なポジションは概ね一掃されたものと見込まれる。しかし、5月以降の中長期的なドル買いポジションはこれから圧縮される可能性が高いとみており、当面はドルの戻り売りが続くだろう。 次回10月のFOMCまでのドル/円のレンジは95―100円と見込む。 ●緩和縮小には一段と強い指標が必要 <BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏> 米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和縮小を見送った背景として、緩和縮小に前向きだったサマーズ氏が次期議長を辞退し、政治的に縮小を手掛ける必要性が薄れていたことが挙げられる。米経済指標については、捉え方次第で縮小を開始する理由にも見送る要因にもなり得るが、今回見送られたことで一段と強い経済指標が出てこないと緩和縮小できないということになる。緩和縮小のタイミングを逸した可能性があり、年内に加え、バーナンキFRB議長最後のFOMCとなる年明け1月の実施も難しくなってきた。縮小緩和は次期議長に委ねるのではないか。 市場は緩和縮小をだいぶ織り込んでいたが、緩和縮小実施の時期が遠のいたことで株式市場には追い風となる。外為市場はドル安/円高に進んだが、この反応は行き過ぎだ。米量的緩和が続けられることで景気重視の姿勢がより鮮明となった。米景気の回復が続けば株高につながり、為替も最終的にはドル高/円安に進むとみている。 ●市場のオーバーシュートに要注意 <みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏> 米連邦公開市場委員会(FOMC)が資産買い入れ縮小を見送ったことに関して、財政の緊縮を含む債務上限の引き上げ問題、住宅ローン金利の上昇の悪影響を足場に慎重な安全策をとったと受け止めている。 米株式市場の過去最高値更新はうなずけるが、米長期金利の急低下とドル安に関してはややパニック的な動きで、行き過ぎたところがある。そのため、このまま一方的に金利が下がることにはならないとみている。金融政策の方向としては、資産買い入れ縮小・停止は変わっていない。問題はタイミングだ。今回は慎重に対応したが、白紙撤回されたわけではない。市場のオーバーシュートには要注意という感じだ。需給的に良好な円債市場は米金利が一段低下し、円高のため追い風となりやすい。 10年最長期国債利回り(長期金利)は節目の0.7%割れを試す動きになりそうだ。ただ、需給や一時的な外部環境の好転で金利低下を後押しし続けるとは思っていない。むしろ節目水準では戻り売りも入り、もみあいになることも想定できる。 ●サプライズ、株高は反転の可能性 <アクション・エコノミクスのグローバル通貨分析部門マネジングディレクター、ロナルド・シンプソン氏> あらゆる市場関係者にとってサプライズとなった。ドルは下落し、株式は上昇、債券利回りは低下した。おそらく外国為替市場はドルのショートに傾きかけていたものの、誰も量的緩和の縮小見送りを想定していなかった。 株式市場では反転が見られるかもしれない。何も行動しないことは、経済に関する警告と受け止められる可能性があるからだ。 ●不透明感やや強まる、短期的にはハト派維持へ <シュワブ・センター・フォー・フィナンシャル・リサーチ(コロラド州)のディレクター、ブラッド・ソーレンセン氏> 米連邦準備理事会(FRB)が送りたかったメッセージは明らかだ。政策スタンスは依然として非常に緩和的であり、現時点ではハト派寄りに傾いている、というものだ。きょうの市場の動きが今後も維持されるかは、中・長期的な問題だ。 先行き不透明感が若干強まった。 今後1─2カ月以内に新FRB議長が指名されるという問題もあり、これも市場が嫌う不透明要因となる。 とはいえ、インフレ圧力はなく、FRBは少なくとも短期的には、非常にハト派的な姿勢を維持するだろう。株式を含めリスク資産にとってはプラス要因だ。 ●景気の弱さ懸念、超緩和長期維持のリスクを選択 <PIMCOのモハメド・エラリアン共同最高投資責任者> FRBは依然、経済全般の停滞を懸念しており、早すぎる引き締めリスクでなく、過度に緩和的な政策を過度に長期間維持するリスクの方を選んだ。経済データは、FRB独自の方法に基づく予想を下回り続けている。 ●金・石油価格反発へ、FRBは一段のインフレ望む <アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルドフ氏> 米連邦公開市場委員会(FOMC)が緩和縮小に踏み切らなかった背景には、このところの景気鈍化やさえない雇用増、デフレに対する懸念がある。 特にドル建て商品などの資産に対する金融(政策上の)支援は続くことになる。 米連邦準備理事会(FRB)の資産買い入れ縮小・停止を織り込み、このところ下落していた金や石油の価格は反発するだろう。FRBは一段のインフレを望んでおり、逆の状況を目指していない。 ●買い入れ縮小は来年以降に先送り <レイモンド・ジェームズの債券資本市場責任者、ケビン・ジディス氏> FRBは依然、今行動を起こすには米経済の成長が安定していないと判断した。これを受け株価は上昇、米債券利回りは8─15ベーシスポイント(bp)低下した。目先は金利低下、株高となるだろう。 バーナンキ議長は会見で、米経済は「緩やかに」拡大、雇用の伸びは引き続き「一様ではない」との考えを示した。財政の逆風が成長を押し下げ、経済指標は資産買い入れの縮小を「正当化しない」とFOMCが結論付けたと述べた。 これは緩和縮小が来年まで先延ばしされることを示している。今後の消費回復や雇用の伸びも鈍い公算が大きい。 ●FRB、金利急上昇を懸念している可能性 <グローバル・インカムの副社長兼ポートフォリオマネジャー、エリック・ステイン氏> 縮小のシグナルを出しながら見送ったことは驚きだ。だが、市場や経済状況に縮小を正当化できるほどの大きな変化がない中でFRBが縮小を示唆しているとみえたのはなぜだろう。声明はかなりハト派的だった。 連邦準備理事会(FRB)メンバーの間では利上げ開始の予想時期が後ずれした。買い入れ縮小を見送りながら、文言と金利ガイダンスはハト派的だった。 FRBは、金利が過度に急速に上昇したことを懸念している可能性がある。金利は過去1カ月ほど安定しているが、3カ月ほど大幅に上昇した。FRBは、緩和縮小をフェデラルファンド(FF)金利の見通しから切り離すという難しい課題に向き合ってきた。 ●FRBは経済情勢に一層神経質に、政治混乱も懸念 <コモンウエルス・フィナンシャルの最高投資責任者(CIO)、ブラッド・マクミラン氏> 資産買い入れの縮小は見送られた。市場はFRBの刺激策継続を歓迎しており、株式市場での短期的な観点からは、縮小見送りは好材料と受け取られるだろう。 実体経済の観点からみると、FRBは一般に考えられている以上に経済情勢に神経を尖らせていると言えるだろう。 FRBはこれまで一定の水準のインフレ率と雇用を確認することを望んでいるほか、政治的な混乱の可能性をかなり懸念視していると考える。現時点で刺激策の縮小に着手することは、今後数週間で必要となるかもしれない景気支援策を取り除くことになりかねないだろう。 ●12月が焦点、縮小規模大きくなる可能性 <ウェルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、サム・ブラード氏> 100億ドル(の債券買い入れ縮小)を見込んでいたが、連邦準備理事会(FRB)は縮小を見送った。声明発表前は縮小の時期は問題ではなく、規模が問題だった。何もしないとは驚きだ。 FRBは政策金利の引き上げは段階的になるとしていた。メンバーの利上げ開始予想をみると2015年の利上げ開始を予想するメンバーが前回から2人減った。 今後の焦点は12月だ。バーナンキ議長が縮小について説明する機会になる。きょうは縮小が見送られたことから、縮小のペースは速まる可能性がある。量的緩和に関する表現の変更がない限り、縮小規模は大きくなるだろう。「小幅な縮小」との見方は後退する。 ●円安方向は不変、リスクシナリオも念頭に <みずほ銀行 国際為替部 マーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏> ドル/円は大きく円安方向にあることには変わりはない。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は年内の量的緩和(QE)縮小方針に変わりはないと言っているので、引き続きテーパリング(緩和縮小)を気にして、ドルが買われて円が売られるという局面が年内に来ると思っているが、気になるのは来年半ばにQEが終わるという話に今回触れなかったことだ。よって、ここが後ずれする可能性があり、年内に始まると言いつつ、始まらない可能性もリスクシナリオとして持っておいた方がいい。前回言ったから触れなかっただけで、後ずれするから言わなかったというのは曲解かもしれないが、万が一そうなった場合は円高に振れるリスクがあり、100円未満で越年する可能性も否定できない。 ただ、これはあくまでリスクシナリオで、基本的には円高になるとはみていない。年末103円くらいの着地を見込んでいたものが、101円くらいになる程度の話だろう。FRBが出口を見ていて、日銀は出口を見ていないという構図に変わりはなく、ドルと円の立ち位置からすれば、較差はどうしても大きくなる。また、円を取り巻く需給環境は引き続き円を売りたい人の方が多い。98円割れでは相当のドル買い/円売り意欲があり、相場をサポートしそうだ。 ●米政治不透明で金融政策に負荷も <SMBC日興証券 チーフ金利ストラテジスト 森田長太郎氏> 米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和縮小先送りが決定された。10月のFOMCは議長会見が予定されていないため、緩和縮小は12月に先送りされるとの見方が強まるだろう。判断にあたっては経済指標がサポートされるかどうかがポイントとなる。 米緩和縮小先送りの理由の一つに、米政治状況に不透明感が強まる中、財政問題の審議に対する多少なりの配慮があったと推測される。 仮に政治的な配慮があったとすれば、その議論の推移を見極める必要がある。シリア問題以降、オバマ政権の政策運営が後手に回っている印象がある。FOMCの決定を見る限り、オバマ政権の政治基盤弱体化で金融政策に負荷がかかりやすい構図が見え隠れする。 市場は、サマーズ氏のFRB議長指名辞退で利上げ期待が大きく後退。緩和縮小先送りの決定が加わって、米金利が急低下した。しかし、FOMCメンバーの予測以上に、利上げ時期が遅れると市場が判断するだけのファンダメンタルズの材料があるわけでない。米金利低下余地も大きくならないだろう。 日本の10年最長期国債利回り(長期金利)は朝方に、0.7%を割り込んだ。元々利上げ織り込みの全く生じていない円金利が、米金利に多少お付き合いをした程度だ。現段階で投資家が相場に対する見方を抜本的に変更して、0.6%まで買い進むとの判断はしにくい。 年内の長期金利は0.65─0.8%のレンジを想定している。
焦点:米緩和縮小見送り、銀行融資の伸び悩みが一因か 2013年 09月 19日 09:44 JST [18日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を見送ったことについて、銀行融資の伸び悩みが一因ではないかとの見方が出ている。
ノーザン・トラストの元チーフエコノミスト、ポール・カズリエル氏によると、商業銀行の融資・リースは、景気の谷に当たる約4年前から4.0%しか伸びていない。景気後退後の融資・リースの伸びとしては1960年代以降で最低という。 同氏によると、90年7月─91年3月の景気後退の後は、同じ期間で融資・リースが現在の4倍のペースで拡大していた。 カズリエル氏は「銀行融資の状況と景気全般の状況を踏まえると、今回量的緩和の縮小を見送ったのは非常に賢明だったといえる」と述べた。 市場では、今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)に先立ち、量的緩和の縮小観測から長期金利が上昇していた。これを受け、住宅ローンは減少、商業融資も伸びが鈍化している。 FRBは今回のFOMC声明で、住宅ローン金利が一段と上昇していると指摘。「過去数カ月に金融状況の引き締めが見受けられ、継続すれば経済および雇用市場の改善ペースを減速させる可能性がある」と表明した。 FOMC声明をみると、FRBが資産バブル防止と景気支援の間で、難しいかじ取りを迫られていることがわかる。 量的緩和を縮小すれば、市場の過熱感を抑制できるが、一方で与信の収縮を招きかねない。多くの経済指標は、景気回復の足取りが重いことを示している。 <低迷する融資需要> 問題は、借り手の資金調達意欲が薄いことだ。 ウェルズ・ファーゴの商業銀行部門トップ、ペリー・パイロス氏は、銀行融資が伸び悩んでいることについて「銀行から追加で資金を調達しようというニーズがない」と指摘。 ある地銀の商業融資担当幹部も「3─5年前に比べて、リスク回避の傾向が強まっている」と述べた。 背景には、今後の経済動向への不安や、大企業を中心に社債発行など銀行融資以外の選択肢が存在することがあるというのが、金融関係者の見方だ。 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのグローバル経済リサーチ担当共同ヘッド、イーサン・ハリス氏は「企業の財務状況は良好だ。企業は景気回復を疑問視している」と指摘。 リージョンズ・フィナンシャルのビジネス・サービス・グループ担当ヘッド、ジョン・アズベリー氏によると、現在実行されている商業融資の多くは、生産拡大ではなく、旧式設備の更新に充てられている。 特に伸び悩んでいるが住宅ローンだ。抵当銀行協会(MBA)によると、30年物住宅ローン金利は、少なくとも2011年以来の高水準にある。金利上昇を背景に、住宅ローンの借り換え申請は、9月初旬に2008年11月以来の水準に低下した。 <量的緩和の縮小、銀行融資に影響ないとの見方も> もっとも、一部の金融関係者は、量的緩和が銀行融資の拡大に寄与しなかったように、量的緩和の縮小も銀行融資には影響しないと分析している。 FRBは過去5年間の量的緩和で、約2兆8000億ドルを金融システムに供給。一方、ニューヨーク連銀に預けられている銀行の余剰準備は金融危機前の20億ドル以下から現在2兆1700億ドルにまで膨らんでいる。 実質的には、FRBが供給した資金の約3分の2が連銀内にとどまっていた計算になる。 ウェルズ・ファーゴのパイロス氏は「流動性が非常に潤沢な銀行システムに資金を供給しても意味はない。したがって、流動性を吸収しても影響はないだろう」と指摘した。 クレディ・スイスによると、大手8行の預貸率は今年第2・四半期時点で81.4%。5年ぶりの高水準だった2008年第2・四半期の104.2%はおろか、景気の谷に当たる2009年第2・四半期の92.3%も大幅に下回っている。 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのハリス氏は「銀行融資は金融政策の重要な経路の1つだが、それが目詰まりを起こしている。全く機能していない」と述べた。 (Peter Rudegeair記者;翻訳 深滝壱哉 編集 佐々木美和) |